6月3日から7日までシカゴで開催された第52回米国臨床腫瘍学会のAnnual Meeting(年次総会)で、米Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMaura N. Dickler氏によって「前治療歴を有するホルモン受容体陽性進行乳がんに対するCDK4/6阻害薬アベマシクリブの臨床試験結果」が発表された。

CDK4/6(サイクリン依存性キナーゼ4/6)阻害薬アベマシクリブの単剤投与が、内分泌療法、化学療法後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに有効である可能性が明らかとなった。第2相試験MONARCH1で抗腫瘍効果と許容可能な安全性が認められた。

試験概要

MONARCH1試験は、内分泌療法、化学療法後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんを対象にした試験である。測定病変(腫瘍の状態の測定が可能)を有し、パフォーマンスステータス0~1の中枢神経系に転移がなく、少なくとも1治療以上のタキサン系(タキソール、タキソテールなど)の抗がん剤を含む化学療法歴を持つ進行乳がん患者を対象に行われた。
患者にはアベマシクリブ200mgを12時間おきに病勢進行となるまで継続投与した。主要評価項目は奏効率であった。

試験では132人が投薬を受けた。年齢中央値は58歳(36-89)で、44.7%がPS 1、90.2%に内臓転移(肝転移が70.5%)があり、50.8%が3カ所以上の転移が認められていた。前治療歴の全身療法歴数中央値は5(2-11)で、全員がタキサン系抗がん剤の投与歴があった。転移病変に対する化学療法歴数中央値は3(1-8)で、タキサン系抗がん剤を投与されていたのは68.9%、ゼローダ錠投与をされていたのは55.3%だった。

有効性に関する結果

・奏効率(全てPR:部分奏効 一部腫瘍が縮小)は19.7%(13.3-27.5)
・臨床利益率(CR:完全奏効、PR:部分奏効、6カ月以上のSD:病勢安定)は42.4%
・奏効までの時間の中央値は3.7カ月
・奏効期間中央値は8.6カ月
・6カ月奏効率は70.4%、12カ月奏効率は28.2%
・無増悪生存期間中央値は6.0カ月(4.2-7.5)
・全生存期間中央値は17.7カ月(16.0-NR:測定不能)

安全性に関する結果

・治療関連副作用で多く認められたもの
– 下痢(全グレードが90.2%、グレード3が19.7%)
– 倦怠感(全グレードが65.2%、グレード3が12.9%)
– 吐き気(全グレードが64.4%、グレード3が4.5%)
– 食欲減退(全グレードが45.5%、グレード3が3.0%)
– 腹痛(全グレードが38.6%、グレード3が2.3%)
– クレアチニン上昇(全グレードが98.5%、グレード3が0.8%)
– 白血球減少(全グレードが90.8%、グレード3が27.7%)
– 好中球減少(全グレードが87.7%、グレード3が22.3%、グレード4が4.6%)

・重篤な副作用発現は24.2%
・投薬中止となったのは7.6%
・49.2%の患者で減量が行われ、下痢によるものが20.5%、好中球減少によるものが10.6%だった。

今後について

臨床試験の有効性と安全性の最新データは、今後の主要学会で発表される予定である。

MONARCH1: Results from a phase II study of abemaciclib, a CDK4 and CDK6 inhibitor, as monotherapy, in patients with HR+/HER2- breast cancer, after chemotherapy for advanced disease.(ASCO2016 Abstrat 510)

記事:前原 克章


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