多発性骨髄腫 第二世代プロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブ(カイプロリス) 承認取得 / イキサゾミブ 承認申請


  • [公開日]2016.07.11
  • [最終更新日]2017.06.30

第二世代プロテアソーム阻害剤カルフィゾミブ承認、同イキサゾミブは承認申請

7月4日、小野薬品工業株式会社は、プロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブカイプロリス)を「再発又は難治性多発性骨髄腫」の適応として製造販売承認を取得したと発表した。一方、同日、武田薬品工業株式会社は、プロテアソーム阻害薬イキサゾミブ(米国商品名NINLARO;ニンラロ)を「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の適応として製造販売承認申請したと発表した。

多発性骨髄腫は骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がんで、日本国内における総患者数は約18,000 人と報告されている。

現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在しますが、寛解と再発を繰り返し進行する、もしくはどの治療法も有効でなくなる難治性の病状に移行する場合も少なくない。また、長期的な治療では副作用や合併症が報告されており、治療に難渋する場合がある。これらのことから、多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が期待されている。

ボルテルゾミブ耐性にも効果が期待でき、末梢神経障害が少ないことが特徴

カルフィルゾミブおよびイキサソミブは、高い選択性を有する第二世代プロテアソーム阻害剤。プロテアソームは細胞内に存在する酵素複合体で、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有しており、細胞の増殖、分化および機能的細胞死を制御している。カルフィルゾミブやイキサゾミブはプロテアソームを阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導することができる。また、第一世代プロテアソーム阻害剤としてはボルテゾミブ(ベルケイド)が上市されているが、末梢神経障害等の副作用が問題となる。しかしながら、第二世代プロテアソーム阻害剤は末梢神経阻害が少ないことがわかっている。さらに、イキサゾミブは経口薬であることも特徴となる。

ベルケイドとカルフィルゾミブの優越性比較試験である第3相臨床試験(ENDEVOR)の結果、カイプロリスはベルケイドに比べて無憎悪生存期間(病態進行するまでの期間)を18か月から9.4か月と約2倍に延長した。

一方、イキサゾミブ群(イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン)とプラセボ群(プラセボ+レナリドミド+デキサメタゾン)とを優越性比較試験である第3相臨床試験(TURMALINE-MM1)の結果、イキサゾミブ群はプラセボ群に比べて無増悪生存期間を20.6月から14.7月と約36%のリスク軽減した。

米国においては、カイプロリスは2012 年7 月に、イキサゾミブは2015年11月に承認を取得している。日本においては、カルフィルゾミブは2015年8月に、カルフィルゾミブ、イキサゾミブは2015年2月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定する効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。

小野薬品工業のプレスリリースはコチラ

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記事:可知 健太

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