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進行肝細胞がん ネクサバールに対して病態進行が認められた方にレゴラフェニブ(スチバーガ)が有効

[公開日] 2016.07.01[最終更新日] 2016.07.01

目次

2016年6月30日、バイエル薬品はソラフェニブ(ネクサバール®)による 治療後に病勢進行が認められた切除不能な肝細胞癌(HCC)患者を対象に、レゴラフェニブ(スチバーガ®)を評価する第3相臨床試験(RESORCE試験)の結果を発表した。 本試験には、レゴラフェニブとプラセボ(偽薬)を比較した二重盲検試験であり、プラセボ群に比してレゴラフェニブ群が全生存期間を延長した(統計学的にも証明)。 本試験には、573人をレゴラフェニブ群、または、プラセボ群に2対1の割合で無作為に割付けしている。被験者は、レゴラフェニブ160 mgまたはプラセボを1日1回3週間服用した後、1週間休薬する28日間を1サイクルとする投与を受けている。

スチバーガ生存期間延長。肝細胞がんの全身療法として有望な結果は2剤目

本試験の結果、レゴラフェニブ群はプラセボ群に対して38%の死亡リスクを低下(HR0.62(0.50-0.78 ; p<0.001)、全生存期間の中央値は、プラセボ群の7.8カ月に対してレゴラフェニブ群は10.6カ月となる。 その他、無増悪生存期間(病態進行すまでの期間)の中央値はプラセボ群の1.5カ月に対し、レゴラフェニブ群は3.1カ月だった(HR 0.46 ; 0.37-0.56 ; p<0.001)。病勢コントロール率(完全奏効+部分奏効+安定)はプラセボ群の36.1%に対しレゴラフェニブ群は65.2%(p<0.001)、奏効率(完全奏効+部分奏効≒一定以上腫瘍が縮小)はプラセボ群の4.1%に対しレゴラフェニブ群は10.6%(p=0.005)だった。 安全性と忍容性はレゴラフェニブの今までに認められている事象と概ね一貫おり、最も多く見られたグレード3(中等度~重度)以上有害事象は、高血圧(レゴラフェニブ群15.2%、プラセボ群4.7%)、手足皮膚反応 (同12.6%、同0.5%)、疲労(同9.1%、同4.7%)、下痢(同3.2%、同0%)だった。 バイエル社は、RESORCE試験から得られたデータを根拠資料として、2016年に切除不能な肝細胞がんの 治療を適応とするレゴラフェニブの製造販売承認事項一部変更承認申請を行う予定とのこと。 なお、肝細胞がんに対しては、ソラフェニブ以降、スニチニブ(スーテント)やアキシチニブ(インライタ)などの開発が試みられたが失敗に終わり、長い間、「2剤目」が出てこなかった。そういった意味で、今回の試験結果は価値のあるものと言える。 RESORCE試験、ならびにHCCを対象にソラフェニブを検討した第3相臨床試験SHARPの 治験責任医師を務めたジョディ・ブルーシュ氏は次のように述べている。 「HCCの発症は世界中で増加を続けています。HCC患者さんに対する全身療法として確立し、承認を得ている治療選択肢は1つしかなく、進行HCC患者さんに対する二次治療として現在承認されている、または、有用性が証明されている治療選択肢はありません。RESORCE試験で得られた レゴラフェニブのデータは、医師、看護師や他の医療提供者に切望されているHCC治療における2つ目の選択肢を提供することにより、患者さんのさらなる期待に応える可能性があります。今後、患者さんの 治療成績を向上させるうえで重要なことは、有用性が証明された両方の全身療法を受ける機会を提供し、適切な全身療法を適切なタイミングで開始することと考えられます」(プレスリリース転載) なお、6月30日、バルセロナにて開催されている第18回世界消化器癌学会(WCGC)にて発表されたとのことであるが、日本においても、7月28日~30日に開催される第14回日本臨床腫瘍学会学術集会中、アンコールセッションにて急遽発表されることが決まっているとのこと。 バイエル薬品のプレスリリースはコチラ 記事;可知 健太
ニュース 肝臓がん スチバーガ(レゴラフェニブ)

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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