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小細胞肺がん 新規抗体薬物複合体Rova-T 有効性を示唆 DLL3をターゲット ASCO2016

[公開日] 2016.06.10[最終更新日] 2016.06.10

目次

6月3日~6月7日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO:あすこ)のAnnual Meeting(年次会議)にて、「少なくとも1次治療が終了した小細胞肺がん患者を対象としたRovalpituzumab tesirineの臨床試験結果」が、米メモリアル・スローン・がんケタリングセンターのCharles M. Rudin氏によって発表された。本演題は、Late-Breaking Abstracts(最新演題の抄録;LBA)となり、「免疫療法および腫瘍標的に関する演題」として6月5日に記者会見が開かれた。 Rovalpituzumab tesirine(ロバルピツズマブ・テシリン;以下Rova-T)は、DLL3抗体に細胞傷害性物質を結合させた抗体薬物複合体(Antibody-Drug-Conjugate:ADC)であり、分子標的薬の一種となる。腫瘍細胞表現に多く発現しているタンパク質に対する抗体に細胞傷害性物質を結合しており、言わば、ホーミングミサイルのような薬剤である。 小細胞肺がん患者の約80%にはDLL3が高発現していると言われており、Rova-TはDLL3抗体であるロバルピツズマブが細胞傷害性物質であるテシリンを小細胞がん細胞に運ぶというメカニズムとなる。 *抗体薬物複合体の説明動画はコチラ(外部サイト) 今回ファーストインヒューマン試験(初めて人に投与する試験)となり、74人の小細胞肺がん患者が登録され、Rova-Tを0.05~0.8mg/kgを3週毎または6週毎使用した。

DLL3高発現患者の奏効率55%。分子標的薬としては初めて小細胞肺がんに対して効果を示唆した

投与量0.2~0.4 mg/kgにて使用された患者の効果に関する結果は以下のとおりである。 図1 生存期間の中央値は、全体で8か月。また、現状、3次治療として治験に参加した患者のうちDLL3高発現の10人の内4人は6か月以上の生存を確認している。(8か月、15か月、18か月2人) 安全性に関しては、グレード3以上(中等度から重度)の副作用漿膜滲出液(serosal effusions)14%、血小板減少12%、皮膚症状8%となっていた。 現在、DLL-3発現小細胞肺がんに対する3次治療として臨床試験が実施中であるとのこと。残念ながら日本では実施されていない。 Rudin氏は「我々は小細胞肺がんに対する近年まれにみる成功を垣間見た。この結果は途中結果であるが、ロバルピツズマブ・テシリンは小細胞肺がんに対して効果を示すことが出来る最初の分子標的薬である可能性があり、DLL3は小細胞肺がんのバイオマーカーとなりえる。」と述べた。 Safety and efficacy of single-agent rovalpituzumab tesirine (SC16LD6.5), a delta-like protein 3 (DLL3)-targeted antibody-drug conjugate (ADC) in recurrent or refractory small cell lung cancer (SCLC).(ASCO2016 Abstract LBA8505) SC16LD6.5 in Recurrent Small Cell Lung Cancer(NCT01901653) 注:本情報はAbstract(LBA8050)を元にしており、ASCOのニュースリリースの方が新しい情報となります。 New Antibody Drug Conjugate Shows Early Promise in Small Cell Lung Cancer Potential.(ASCO News Releases) 記事:可知 健太
ニュース 肺がん 肺がん

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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