進行腎細胞がん FDA(米国) レンビマとアフィニトールの併用療法を承認


  • [公開日]2016.05.24
  • [最終更新日]2017.06.30

5月16日、エーザイ株式会社は、新規抗がん剤レンバチニブ(レンビマ)について「血管新生阻害薬前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスアフィニトール)との併用療法」の適応で米国食品医薬品局(FDA)より適応追加の承認を取得したと発表した。本剤は、FDAよりブレイクスルーセラピーと優先審査品目の指定を受けており、申請から約6カ月で承認を取得したとのこと。

無増悪生存期間および全生存期間を10ヵ月程度延長。日本においては申請協議中。

今回の承認は、血管内皮細胞増殖因子標的薬(スニチニブスーテント等)を前治療とした、切除不能な進行または転移性腎細胞がんの患者様を対象として、VEGF、FGF、PDGFなどを標的としたマルチチロシンキナーゼ阻害薬であるレンビマとmTOR阻害薬であるアフィニトールとの併用投与の有効性安全性を評価した臨床第2相試験(205試験)の結果に基づくものである。

205試験は、上記患者を対象として、「レンビマ(18mg)/アフィニトール(5mg)併用」、「レンビマ単剤(24mg)」、「アフィニトール単剤(10mg)」投与の3群の有効性と安全性を比較し臨床試験であり、欧米で実施され、153人の患者様が各群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。

結果、以下の通り、「レンビマ/アフィニトール併用群」は「レンビマ単剤群」に比較して、がんの進行を抑える期間(無増悪生存期間PFS)の中央値を有意に延長した。

・レンビマ/アフィニトール併用群:14.6カ月
・レンビマ単剤群:7.4カ月
・アフィニトール単剤群:5.5カ月
*「レンビマ/アフィニトール併用群」の「アフィニトール単剤群」に対して60%のリスクを軽減した(HR0.40(95%CI 0.24-0.68)。統計学的にも証明;p=0.0005)。

奏効率(腫瘍が一定以上縮小した方の割合)は以下の通り。
・レンビマ/アフィニトール併用群:43%
・レンビマ単剤群:27%
・アフィニトール単剤群:6%

また、全生存期間OS)の中央値において、6 月3 日から7 日まで米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会の第52 回年次総会(ASCO2016)のAbstract(抄録番号#4553)によると、2015年7月時点におけるアップデート解析で、以下のとおりの結果であった。

・レンビマ/アフィニトール併用群:25.5カ月
・レンビマ単剤群:19.1カ月
・アフィニトール単剤群:15.4カ月

本試験において高頻度に認められた有害事象は、併用投与群では、下痢、食欲減退、疲労であり、グレード3以上(中等度~重度の有害事象)の高頻度に認められた有害事象は、下痢、高血圧、疲労であったとのこと。

Subgroup analyses and updated overall survival from the phase II trial of lenvatinib (LEN), everolimus (EVE), and LEN+EVE in metastatic renal cell carcinoma (mRCC).(ASCO2016 Abstract No.4553)

上記試験には日本は参加していないが、今後日本の当局とも申請に向けての協議を行う予定とのこと。さらに、肝細胞がんを対象とした臨床第3相試験をはじめとして複数のがんを対象とした臨床試験が進行中である。

◆腎細胞がんについて
日本において、腎がんの罹患者数は約1万7千人と推定されている。腎細胞がんは、腎臓におけるがんの90%以上を占めており、尿細管の細胞ががん化したものである。罹患率は50歳代後半以降に増加し、また女性より男性に多く発症するとされている。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率が低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病であるといえる。

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記事:可知 健太

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