5月2日、ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー( Journal of Clinical Oncology; JCO )にて、いくつかの進行固形がん患者を対象とした免疫チェックポイント阻害薬抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(米国商品名キイトルーダ/キートルーダ)の第1b相臨床試験(KEYNOTE-012試験)の結果が掲載されました。

この試験は、進行トリプルネガティブ乳がん、胃がん、尿路上皮がん、頭頸部がんを対象としていますが、今回の報告は進行トリプルネガティブ乳がんにフォーカスされています。

トリプルネガティブ乳がん(Triple negative brest cancer; TNBC)とは、ホルモン受容体(エストロゲン / プロゲステロン)やヒト上皮成長因子(HER2)受容体ががん細胞に発現しておらず、治療を施し一旦治療に奏効しても早期に再発するハイリスクに分類されています。ホルモン療法もハーセプチンなどのHER2標的の分子標的薬の効果が乏しいため、主な薬物治療は全身化学療法となります。

進行トリプルネガティブ乳がんであっても、PD-L1陽性であれば奏効する可能性を示唆

試験概要

この試験には、化学療法を実施した進行トリプルネガティブ乳がん患者にて、PD-L1発現が認められた乳がん患者32名を対象にキートルーダを2週間に1度、10mg/kgにて点滴投与した。
図10

参加した32名の患者のこの試験に参加するまでの治療数と治療薬は以下の通り。

図2

図4

効果に関する結果

18.5%の方の腫瘍が一定以上縮小(奏効率)。また、25.9%の方で腫瘍の進行が抑えられた(腫瘍制御率)。

図3

腫瘍の増大が抑えられた期間の中央値は1.9か月であったものの、6か月時点での腫瘍制御率は24.4%であった。

図5

生存期間の中央値は11.2か月。6か月時点の生存率は66.7%、12カ月時点では43.1%であった。

図6

図7

安全性に関する結果

有害事象(副作用)については、今まで報告されている臨床試験と大きい違いは認められていない。しかし、32名中1名が播種性血管内凝固症候群にて亡くなっている。

図8

図9

まとめ

◆ 乳がんは進行トリプルネガティブ乳がん患者に対して、キートルーダ注射は、容認できる有効性と許容できる安全性が示された。
◆ 本試験はキートルーダの用法用量は、10mg/kgを2週ごとに投与するものだったが、現在、3週に1回、200mgを投与するフェーズⅡ試験が進行中。
◆ 副作用発現では、1omg/kgを2週ごとに投与した非小細胞肺癌や悪性黒色腫(メラノーマ)の試験で観察された内容とほぼ同じような内容と頻度だった。

その他

【参考】
Study of Pembrolizumab (MK-3475) in Participants With Advanced Solid Tumors (MK-3475-012/KEYNOTE-012)(NCT01848834)
Pembrolizumab in Patients With Advanced Triple-Negative Breast Cancer: Phase Ib KEYNOTE-012 Study(JCO JCO648931; published online on May 2, 2016)

【日本で実施中の試験】
転移性トリプルネガティブ乳がん 免疫CP阻害薬ペムブロリズマブ単剤投与の第2相試験
転移性トリプルネガティブ乳がん 免疫CP阻害薬ペムブロリズマブと抗がん剤単剤を比較する第3相試験

記事:可知 健太
キーワード pembrolizumab Keytruda ペンブロリズマブ 免疫チェックポイント阻害剤


この記事に利益相反はありません。

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