2月17日、アストラゼネカ株式会社は、生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移性乳がん患者さんの治療薬として、医師が選択した標準的な化学療法とオラパリブ(米国商品名リンパルザ)を比較した第3相試験(OLYMPIAD試験)の良好な結果を発表した。オラパリブ(リンパルザ)による治療を受けた患者は、化学療法(カペシタビン、ビノレルビン もしくはエリブリンのいずれか1つ)による治療を受けた患者と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な無増悪生存期間(PFS)の延長を示たとのこと。

オラパリブ(リンパルザ)は、革新的なファースト・イン・クラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。

日本では未承認となるが、「プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効している(完全奏効または部分奏効)プラチナ製剤感受性再発BRCA遺伝子変異(生殖細胞系/体細胞系)、高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんの維持療法」として単剤使用がEUで薬事承認されており、また、「3回以上の化学療法による前治療歴のある、生殖細胞系BRCA遺伝子に病的変異あるいはその疑いのある変異を有する(FDAより承認された検査で検出)、進行卵巣がん患者さんの単剤療法」として米国で承認されている。

OLYMPIAD試験データの詳細な評価は現在実施中であり、今後学会発表を目指してその結果を投稿予定とのこと。

BRCA遺伝子変異とPARP阻害薬

BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復に関わるタンパク質をコードする遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たす。これらの遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成しないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されない可能性があります。その結果、細胞のがん化につながる、さらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなる。

BRCA1およびBRCA2の特定の遺伝的変異は女性の乳がんおよび卵巣がんのリスクを高めるとともに、その他の複数種類のがんのリスク上昇と関連するとされてきた。BRCA1およびBRCA2遺伝子変異を合わせると遺伝性乳がんの約20~25%を占めており、すべての乳がんの約5~10%を占めている。更に、BRCA1およびBRCA2の遺伝子変異は卵巣がん全体の約15%を占めている。BRCA1およびBRCA2遺伝子変異に関連する乳がんならびに卵巣がんは、非遺伝性の患者さんに比べ若年期に発症する傾向がある。

PARP阻害剤

記事:可知 健太


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