目次
- 0-1
■この記事のポイント ・新規アスパラギナーゼであるクリサンタスパーゼが急性リンパ性白血病適応にて承認申請された。 ・急性リンパ性白血病はアスパラギン合成できないため、アスパラギナーゼが有効。 ・今まで、約3割程度がアレルギー反応によりアスパラギナーゼを使用できなかった。 ・そういった患者に対して本薬剤は有効。
12月17日、大原薬品工業は、日本で開発を進めてきた抗悪性腫瘍酵素製剤クリサンタスパーゼ(開発コード︓OP-01)を、急性リンパ性白血病及び悪性リンパ腫に関する製造販売承認申請を⾏ったと発表しました。 クリサンタスパーゼは、細菌から分離されたアスパラギナーゼです。 ⼩児急性リンパ性白血病を中心とした幾つかの血液がんは、アミノ酸の一つであるアスパラギンを合成する酵素を殆ど持っておりません。 外部から補給されたアスパラギンがアスパラギナーゼで分解されてしまうと、腫瘍細胞の増殖に必要なアスパラギンが枯渇し蛋白合成ができなくなるため、腫瘍細胞は死滅してしまいます。 このため、大腸菌由来アスパラギナーゼが日本で承認され、他の抗がん剤との併⽤で血液がんの治療に既に使われております。 血液がんは抗がん剤に良く反応し、治療成績は近年格段と上がってきました。 しかし、アスパラギナーゼの欠点の一つとして、アレルギー症状を起こしやすいことが知られており、蕁麻疹以外にアナフィラキシーショックなどのアレルギー症状を起こし、治療継続が不可能となる患者さんが3割ほど発⽣します。 本剤は、大腸菌と異なるErwinia chrysanthemiという細菌から作られるため、大腸菌由来アスパラギナーゼによってアレルギー症状が起こり治療継続できなくなった患者さんにおいても使⽤が可能となり、本剤は世界中の患者さんや医師から望まれている薬剤です。