■この記事のポイント
・CD20というタンパク質が発現している前駆B細胞急性リンパ性白血病患者は30~50%。
・この患者に標準的な抗がん剤治療に分子標的薬であるリツキサンを上乗せした場合の有効性を証明。
・先日開催した米国血液学会でのプレナリーセッション(学問的に優れた研究発表)の1つ。


12月5日~8日に、米オーランドで開催された米国血液学会(ASH2015)Annual Meeting(年次会議)にて、「CD20陽性フィラデルフィア染色体陰性の成人前駆B細胞急性リンパ性白血病(BCP-ALL)患者に対して、標準的な抗がん剤治療にリツキシマブ(商品名リツキサン)を投与する臨床試験結果」が、フランスHopital Henri MondorのSebastien Maury氏によって発表されました。 本発表はAASH2015のプレナリーセッション(学問的に優れた研究発表)の1つです。

リツキサンは、CD20という「成熟したB細胞」や「がん化した成熟B細胞(代表:慢性リンパ性白血病やB細胞リンパ腫)」に発現しているタンパク質に結合して抗腫瘍効果を示す分子標的薬です。ほとんどの「がん化したB細胞」においてCD20が発現しているため、リツキサンの効果が期待できます。
一方、未成熟である「がん化した前駆B細胞」の場合は、CD20は発現していない場合が多く、前駆B細胞急性リンパ性白血病患者のうち、30~50%が発現しているといわれています。

CD20陽性の前駆B細胞急性リンパ性白血病患者に標準治療にリツキサンを追加することの有用性が証明

CD20陽性フィラデルフィア染色体陰性の成人前駆B細胞リンパ性白血病患者に対して、標準的な強化化学療法(大量な抗がん剤を投与する治療方法)を使用した104人と、標準的な強化化学療法にリツキサンを加える群105人の効果や安全性を確認しました。これらの薬剤は16~18回投与されています。
ポイントは以下の通り。

1.どちらの群においても完全奏効率は90%程度であったものの、そのうち2年経過しても再発していない患者の割合は、標準治療のみで52%に対して、リツキサンを追加した場合は65%となった。統計学的にも証明(p=0.038)。

2.30カ月のフォローアップ期間中の累積再発率は、標準療法のみで30.5%に対して、リツキサンを追加した場合は18.5%と低下。統計学的にも証明(p=0.02)

3.感染系の重篤な有害事象は、標準療法で55人、リツキサンを加えた場合は71人に確認されたが、著明に増加するには至っていない。

Addition of Rituximab Improves the Outcome of Adult Patients with CD20-Positive, Ph-Negative, B-Cell Precursor Acute Lymphoblastic Leukemia (BCP-ALL): Results of the Randomized Graall-R 2005 StudyClinically Relevant Abstract

前駆B細胞急性リンパ性白血病とは
リンパ性白血病は、リンパ球由来の白血病のことを指します。リンパ球とは、主に免疫系に関要する細胞であり、抗体を生産するB細胞と異物を直接的に攻撃するT細胞(代表的なもの:キラーT細胞)に分類されます。日本人のうち、B細胞由来のものは6割程度であり、前駆B細胞(B細胞として成熟する前の細胞)が腫瘍化したものを前駆B細胞急性リンパ性白血病といいます。なお、「急性」とあるのは、この病態は急に悪化するためです。

記事:可知 健太


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