■この記事のポイント
・治療歴を有する非小細胞肺がんの日本人患者対象としたタキソテールとサイラムザの併用療法が欧米と同様の結果となるかを確認する試験結果が発表された。 ・結果、EGFR変異の有無や薬剤治療歴にかかわらず、有効性も安全性も欧米と同様の結果であった。 ・日本人に対してもある程度の効果が示され、副作用が許容範囲であると結論づけられた。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会学術集会(ECC2015)で、EGFR(上皮細胞成長因子受容体)活性化変異を有し、EGFR−チロシンキナーゼ(以下、EGFR−TKI)阻害剤投与、プラチナ製剤を含む化学療法で進行した日本人の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に、ドセタキセル(薬剤名:タキソテール)とラムシルマブ(薬剤名:サイラムザ)の併用に有効性があり、副作用も想定外のものを認めず、十分対応が可能であることが明らかとなり、金沢大学の笠原寿郎氏によって発表されました。 2014年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)にて、進行非小細胞肺がん患者に、ラムシルマブとドセタキセル併用療法はドセタキセル単独に比べて、生存期間、がんの悪化を抑える期間を有意に改善するという第3相臨床試験(REVEL試験)結果が示されました。 ◆生存期間中央値 「ラムシルマブ+ドセタキセル」10.5カ月、「プラセボ(偽薬)+ドセタキセル」9.1カ月。14%のメリットが得られ、統計学的にも証明。 ◆腫瘍を抑えた期間の中央値 「ラムシルマブ+ドセタキセル」:4.5カ月、「プラセボ(偽薬)+ドセタキセル」3.0カ月。24%のメリットが得られ、統計学的にも証明 今回発表された第2相臨床試験は、日本人においてREVEL試験と同様な結果を得られるかを確認することが目的であり、ステージ4の非小細胞肺癌患者で、プラチナ製剤を含む化学療法の治療中もしくは治療後に増悪した患者が対象になっています。 また、「EGFRチロシンキナーゼを使用した経験がない患者」と「EGFR変異があり、且つEGFRチロシンキナーゼの使用経験のある患者」に分かれて解析されており、2015年7月に開催された日本臨床腫瘍学会にて、「EGFRチロシンキナーゼを使用した経験がない患者」に関しては、REVEL試験と同様に有効性と副作用に対し忍容されることが発表されました。(有効性に関しては以下の通り) 【「EGFRチロシンキナーゼを使用した経験がない」日本人患者対象の結果】 ◆生存期間中央値 「ラムシルマブ+ドセタキセル」15.15カ月、「プラセボ+ドセタキセル」13.93カ月。23%のメリットが得られた。 ◆腫瘍を抑えた期間の中央値 「ラムシルマブ+ドセタキセル」5.22カ月、「プラセボ+ドセタキセル」4.21カ月。17%のメリットが得られた。