ALK阻害剤ブリガチニブ(AP26113)の第1相および第2相試験の結果が、9月6日から9日まで米国デンバーで開催された世界肺癌学会(WCLC)で、米国エール大学がんセンターのScott N. Gettinger氏によって発表されました。なお、同試験はまだ継続中であり、今回の発表は中間解析の結果となります。なお、日本は参加していません。

 試験結果対象はALK陽性非小細胞肺がん患者79名が登録され、解析対象患者数は70名となりました。

70名中、50名が一定以上がんの縮小が認められ、うち4名は完全奏効(腫瘍消失)

 ポイントは以下のとおりです。(注目は太字にしています)

【奏効率(がんが一定以上縮小した割合)】
 ・90mg内服(全体13名) : 10名が一定上縮小(77%)、ただし、完全奏効(腫瘍消失)者は0名
 ・90mgを7日間内服 → 以降180mgへ変更(全体24名) :19名(79%)、完全奏効(腫瘍消失)者は2名(8%)
 ・180mg内服(全体23名) : 15名(65%)、完全奏効(腫瘍消失)者は2名(9%)
 → 全体合計は50名(71%)の患者で奏効し、完全奏効(腫瘍消失)者は4名(6%)となります。

【がんの悪化を抑える期間(用法用量による比較)】
 ・90mg内服(全体14名) → 10.9ヶ月
 ・90mgを7日間内服→以降180mgへ変更(全体24名) : 13.4ヶ月
 ・180mg内服(全体25名) : 11.1ヶ月

【がんの悪化を抑える期間(治療期による比較)】
 ・一次治療でザーコリ錠による治療後、ブリガチニブを使用 : 13.4ヶ月
 ・ブリガチニブ錠を一次治療で使用:70%以上の患者でがんの悪化を抑える期間が継続しており、統計学上記録できない状況

【生存期間(用法用量による比較)】
 ・90mg経口投与群(全体14名):1年生存率83%、臨床試験の計画時からの2年生存率56%
 ・90mgを7日間内服→以降180mgへ変更(全体28名):1年生存率86%、臨床試験の計画時からの2年生存率は統計学上記録できない状況
 ・180mg内服(全体25名):1年生存率79%、臨床試験の計画時からの2年生存率74%

【生存期間(治療期による比較)】
 ・一次治療でザーコリ錠による治療後、ブリガチニブを使用 : 1年生存率81%、臨床試験計画時から2年生存率は72%
 ・ブリガチニブ錠を一次治療で使用:1年生存率および臨床試験計画時から2年生存率ともに100%(全患者生存)

【安全性 (重篤な副作用:グレード3以上)】
 ・90mg投与群(全体18名)
 → 消化不良が6名、アミラーゼおよびリパーゼ上昇が11名
 ・90mgを7日間経口投与後180mgへ変更投与群(全体32名)
 → 倦怠感3名、消化不良が6名、アミラーゼ上昇が6名、リパーゼ上昇が9名
 ・180mg投与群(全体48名)
 → 悪心が4名、倦怠感が2名、空咳が2名、消化不良が4名、アミラーゼ上昇が2名、肝臓AST上昇が2名、リパーゼ上昇が8名、食欲不振が2名、背部痛が4名

【結論】
 有効性は投与量に関わらず高い結果が得られ、脳転移を有する患者においても同様の傾向が得られ(オンコロでは結果は割愛)、副作用発現の安全性において、頻度が高い全体の副作用は悪心、倦怠感、頭痛、空咳であり、重篤な副作用の発現においては、180投与群で増加傾向にありました。
 今後の見通しとして、「90mg投与群と90mg投与から180mgへの変更投与群でかつ、ザーコリ錠の治療歴がある患者のPhase2試験が継続中である」とScott N. Gettinger氏は締めくくっています。

 なお、9月15日に上記P2試験は登録が終了したというプレスリリースが開発元の米ARIAD Pharmaceuticals社から発表され、この結果は来年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016)にて発表予定であるとのことです。

 参考:WCLC2015 ORAL33.06

【臨床試験情報(clinical trials.gov)】
A Phase 1/2 Study of the Oral ALK/EGFR Inhibitor AP26113
A Phase 2, Multicenter, Randomized Study of AP26113 (ALTA)

記事:前原 克章(加筆修正:可知 健太)


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