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卵巣がん 標準化学療法後の2年間のアバスチン維持療法は有効且つ忍容 ECC2015

[公開日] 2015.10.12[最終更新日] 2015.10.12

目次

 卵巣がん1,201名に対する初回治療として、ベバシズマブ(商品名アバスチン)+カルボプラチン(商品名パラプラチン)+パクリタキセル(商品名タキソール)併用療法治療後、アバスチンのみの継続使用を長期に行った(最長36サイクル、2年)際の主に安全性を検討する第3相試験結果が、9月25日から29日までオーストリア ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会学術集会(ECC2015)でカナダ トロント大学 プリンセスマーガレット病院のA.M. Oza氏によって発表されました。 【試験概要】  ◆がん種:上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん(FIGOステージ2B~4、FIGOステージ1~2aのグレード3、明細胞がん、癌肉腫)  ◆初回治療として、アバスチン注射+パラプラチン注射+パクリタキセル併用療法を実施後、アバスチン注射単独維持継続投与を24か月または病勢進行、許容できない有害事象の発現まで継続  ◆参加人数:1,021人 【薬剤の投与方法】  ・アバスチン注射:3週間毎  ・パラプラチン注射:3週間毎(4〜8サイクル)  ・パクリタキセル注射:1日目に投与し1週間毎もしくは1日目、8日目、15日目に投与し3週間毎(4〜8サイクル)  (用量については記載を割愛していますが、標準的な用量にて治療しているとお考えください)

安全性や有効性は以前の臨床試験結果を再現 より確実なデータが蓄積

ポイントは以下の通りです。 【副作用(1,021例、重症度が高いグレード3以上)】  ・全体では53.8%に認められました   ‐ 好中球減少29.3%、発熱性好中球減少は2.9%、高血圧は24.7%、血小板減少症9.8%、タンパク尿は3.8%、血栓症は2.9%、消化管穿孔1.4%  ・アバスチン治療後22週前後で層別したグレード3以上の副作用   ‐ 好中球減少、高血圧、血小板減少、タンパク尿、血栓症、消化管穿孔の多くは、22サイクル以内に発現しており、23サイクル以降の増加は認められませんでした。  ・高血圧によるアバスチンの中止は2.9%、タンパク尿はグレード1/2が多く、アバスチン注射の中止に至ったのは5.4%でした。  →上記を要約すると、全体での副作用発現率は50%程度であり、グレード3以上(中等度~重度)の副作用はアバスチン投与22サイクル以内に発現して、それ以上発現しなかったということとなります。アバスチンの副作用の特徴として高血圧などが懸念されますが、それも23サイクル以降はグレード3以降の副作用は認められないこととなります。 【無増悪生存期間(がんの進行を抑える期間)】  ・中央値は25.5か月  ・1年間のがんの進行を抑えられた方の割合は82.6%  ・2年間のがんの進行を抑えられた方の割合は53.0% 【アバスチン注射の投与サイクル数(アバスチンを使用した期間)】  ・投与期間中央値は23サイクル、投与期間中央値は15.5か月  ・12か月以上投与は632名(62%)  ・15か月以上投与は537名(53%)  ・24か月以上投与は298名(29%) 【結論】  主要評価項目の安全性(副作用発現)について、すでに報告されているランダム化比較フェーズ3試験(GOG-218試験、ICON7試験)と同様の副作用発現内容であることが確認され、許容できるものでありました。副次評価項目の無増悪生存期間中央値も同様の結果であったとし、「アバスチン注射15mg/kg投与群では副作用発現の内容はほぼ同等ながら、無増悪生存期間がより改善した」とAM Oza氏は結論づけました。  さらに、A.M. Oza氏は、「現在、アバスチン注射の単独維持継続投与の期間は15か月までが最適かもしくは30か月までかを比較検討するフェーズ3試験(BOOST試験:ブースト試験 : NCT01462890)が進行中であり、その結果が待たれる」とコメントしました。 Evaluation of Optimal Initial Treatment Duration of Bevacizumab in Combination With Standard Chemotherapy in Patients With Ovarian Cancer (BOOST) 【補足:FIGO(フィーゴ)ステージとは】  ・国際婦人科連合で定めれている病期分類です。  ・卵巣がんFIGO分類を基準に、ステージを同定して治療方針が決定されます。 ECC2015 Abstract No.2702 記事:前原 克章(加筆修正:可知 健太)
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