FOLFIRI(ふぉるふぃり)療法にラムシムマブを上乗せする第3相臨床試験の最新結果

 ラムシルマブ(商品名:サイラムザ注射)は、がん細胞が引き起こす、栄養を運ぶための血管の新生を阻害し、兵糧攻めといった形で細胞の増殖を抑制する治療薬です。
日本において現在、切除不能進行再発胃がんの2次治療として承認されており、また、非小細胞肺がんにおいても有効性が大規模第3相臨床試験や、日本の患者を対象とした第2相臨床試験で有効性が示されました。

 進行大腸がんの2次治療に対するラムシルマブへの有効性と安全性は、2015年1月に米国サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)にて、第3相臨床試験(RAISE試験)が発表され、その後、6月に米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)でも有効性や安全性解析の6月時点での最新の解析結果が発表になりました。

 この試験の内容は、FOLFIRIとラムシルマブの併用とFOLFIRIとプラセボの併用を比較した試験です。

 FOLFIRIは5-FU注射、アイソボリンン注射、カンプト注射の3剤を組み合わせた治療法であり、FOLFOX(ふぉるふぉっくす)とともに代表的な大腸がんの抗がん剤治療となります。

 9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会学術集会(ECC2015)では、RAISE試験における全生存期間の有効性を示す要因について、ベルギーUniversity Hospitals Leuven and KU LeuvenのE. Van Cutsem氏によって発表されました。

RIASE試験の概要

【対象】標準的な1次治療にベバシズマブ(薬剤名:アバスチン注射)、オキサリプラチン(薬剤名:エルプラット注射)、フルオロピリミジン(薬剤名:5-FU注射)併用治療中、または治療後に病態が進行した患者
【目的】標準的な2次治療であるFOLFIRIへのラムシルマブ追加の上乗せ効果と安全性について評価
【投与方法】2週間おきにFOLFIRIとラムシルマブ(8mg/kg)の併用投与を行う群(以下、ラムシルマブ群)とFOLFIRIとプラセボの併用投与を行う群(以下、プラセボ群)に患者を1対1に割り付け。

がんの進行を抑える期間や生存期間をともに延長 KRAS変異に関係なく効果を発揮

(KRAS変異があると、EGFRというたんぱく質を標的にする分子標的薬が効果を発揮しづらいことがわかっています。)

ポイントは以下の通りです。

◆生存期間中央値
<KRASに変異がない(野生型)>
 ラムシルマブ群(267人):14.4カ月
 プラセボ群(275人):11.9カ月
→ 18%の有意な生存メリットが得られた。(統計学的にも証明)

<KRASに変異がある患者>
 ラムシルマブ群(269人):12.7カ月
 プラセボ群(261人):11.3カ月
 →11%の生存メリットが得られる結果でしたが、統計学上には証明されなかった。

◆腫瘍の進行を抑えた期間の中央値
<KRASに変異がない(野生型)>
 ラムシルマブ群:5.7カ月
 プラセボ群:4.7カ月
 →ラムシルマブ群で33%のメリットが得られた。(統計学的にも証明)

<KRASに変異がある患者>
 ラムシルマブ群:5.6カ月
 プラセボ群:4.3カ月
 →ラムシルマブ群で16%のメリットが得られる結果でしたが、統計学上には証明されなかった。

◆ 安全性
<KRASに変異がない(野生型)>
 ラムシルマブ群(263人):1件以上治療関連副作用が発生した方は、全グレードが98.9%、グレード3以上が77.6%
 プラセボ群(269人)では、全グレードが98.1%、グレード3以上が63.2%。

<KRASに変異がある患者>
 ラムシルマブ群(266人):1件以上治療関連副作用が発生した方は、全グレードが98.5%、グレード3以上が80.5%、
 プラセボ群(259人)では、全グレードが98.5%、グレード3以上が61.4%。

 以上の結果から、ラムシルマブ群はKRAS変異の有無に関わらず一定の有効性が認められることが明らかとなり、また安全性についても
KRAS変異の有無で差がないことも判明しました。

 最後に「進行大腸癌に対する2次治療としてFOLFIRIとラムシルマブの併用が、FOLFIRIとプラセボの併用よりも全生存期間(OS)を有意に
延長できることを示すことができた」と、Van Cutsem氏は結論づけました。

【参考】
ECC2015 abstract No.2108
A Study in Second Line Metastatic Colorectal Cancer(Clinical trials.gov)
記事:前原 克章(一部修正加筆 可知 健太)


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