9月25日から29日までオーストリアのウィーンで開催されていた欧州臨床腫瘍学会学術集会(ECC2015)にて、治療を受けたにも関わらず進行または転移を有する腎細胞がんに対し、免疫チェックポイント阻害薬抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ注射)は、mTOR阻害薬エベロリムス(商品名:アフィニトール錠)よりも全生存期間(OS)を有意に延長することがMDアンダーソンがんセンターのPadmanee Sharma氏の発表で、明らかとなりました。

1~2種類の治療歴のある腎細胞がん患者821人の確認

 本発表は、ニボルマブとエベロリムスを比較する第3相臨床試験(CheckMate-025)で示されたもので、日本人の患者も含まれています。
試験はニボルマブ群で計画していた期間よりも早く有効性が示され、早期中止となりました。

 この試験は、前治療歴を有する淡明腎細胞がん(腎細胞がんの中で最も多い組織型)の患者821人をニボルマブ群(2週おきに3mg/kgのニボルマブを投与、410人)とエベロリムス群(毎日エベロリムス10mgを投与、411人)に割り付けられました。

生存期間は27%リスク軽減 PD-L1の発現の有無は無関係

 ポイントは以下の通りです。

【結果】
◆最短観察期間の14カ月時点での全生存期間中央値
 ・ニボルマブ群:25.0カ月
 ・エベロリムス群:19.6カ月
  →ニボルマブ群は27%でリスク軽減(統計学的にも証明)

◆全生存期間が延長した要因の解析結果
 ・米国メモリアルスローンケタリングがんセンターで決められたMSKCCリスク分類で状態のよくない患者でも効果が認められています。
 ・抗血管新生療法治療歴が1つの患者の方が2つの患者よりもニボルマブの効果が高かったことも判明しました。

◆PD-L1の発現による有効性の検討
〈1%以上の患者(全体の24%)〉
 ・ニボルマブ群:21.8カ月
 ・エベロリムス群:18.8カ月
  →ニボルマブ群で21%のリスク軽減

〈1%未満の患者(全体の76%)群〉
 ・ニボルマブ群:27.4カ月
 ・エベロリムス群:21.2カ月
  →ニボルマブ群で23%のリスク軽減

 従って、PD-L1の発現に関わらずニボルマブ群で良好でした。

◆奏効率
 ・ニボルマブ群:完全奏効(腫瘍消失)が1%、部分奏効(一定上の腫瘍縮小)が24%。奏効率は25%
 ・エベロリムス群は完全奏効(腫瘍消失)が1%、部分奏効(腫瘍縮小)が5%。奏効率は5%

◆有害事象(安全性)
〈グレード3 / 4〉
 ・ニボルマブ群:19%
  主なものは 倦怠感(34%)、吐き気(14%)、重度のかゆみ(14%)
 ・エベロリムス群37%
  主なものは口粘膜の炎症(30%)、貧血(24%)
  →ニボルマブ群で少ない結果でした。
〈投薬中止に至った副作用(全グレード)〉
 ・ニボルマブ群:8%
 ・エベロリムス群:13%
  →治療関連死に至った症例はニボルマブ群では認められず、エベロリムス群で2症例発生しています。

 Padmanee Sharma氏は、「今回の試験結果から、ニボルマブは前治療歴のある患者の進行腎細胞がんの新たな治療選択肢となる」と結論付けています。なお、本試験結果は世界5大医学誌の1つニューイングランドジャーナルオブメディシンに掲載されています。

【参考】
 ・ECC 2015 Press Release: Nivolumab Improves Overall Survival in Patients with Advanced Kidney Cancer: results from the CheckMate 025 trial
・Nivolumab versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma(The New England Journal of Medicine/September 25, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1510665)
*NEJは誰でも全文閲覧可能です。詳細なデータが開示されています。
・Study of Nivolumab (BMS-936558) vs. Everolimus in Pre-Treated Advanced or Metastatic Clear-cell Renal Cell Carcinoma (CheckMate 025)(Clinical trials.gov)
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)が、治療歴を有する進行期腎細胞がん患者を対象とした第Ⅲ相試験において、標準治療に対して優れた全生存期間を示す(小野薬品工業プレスリリース)

【オプジーボと腎細胞がん対象の日本で募集中の試験情報】
未治療の進行性又は転移性腎細胞がん患者を 対象に,ニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の複合免疫療法とスニチニブ(スーテント)の単剤療法を比較する第3相臨床試験情報はコチラ(clinical trials.gov英語)

記事:前原 克章(加筆修正可知 健太)


この記事に利益相反はありません。

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