本態性血小板血症 Imetelstatは有効の可能性 第2相試験結果


  • [公開日]2015.09.07
  • [最終更新日]2015.10.21

Imetelstat(イメテルスタット)の本態性血小板血症に対する第2相試験結果が、世界5大医学誌の1つニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されました。Imetelstatは競合的テロメラーゼ阻害薬であり、骨髄増殖性疾患に対する有効性が期待され、現在は骨髄線維症とほぼ同時進行で臨床試験が進んでおり、今回は、本態性血小板減少症についての報告です。

ポイントは以下の通りです。

・第2相試験では、18人の患者に7.5m/kgまたは9.4mg/kgを週1回投与し、血小板数が約25〜30万個/µLになるまで投与された。 この試験の主要評価項目は血液学的奏効である。

・結果は、16/18人で血液学的完全寛解が得られ(奏効率89.0%)、さらにはJAK2V617F変異(JAK2遺伝子変異)が確認された患者7/8人で分子学的奏効が得られた。

・従って、本態性血小板血症に対するImetelstatの第2相試験の結果から、効果が早く現れ、血液学的、分子学的に2つの良好な反応がえられたと結論付けられた。

Telomerase Inhibitor Imetelstat in Patients with Essential Thrombocythemia(Baerlocher et al, NEJM, 2015; 373: 920-8)

本態性血小板減少症とは

■病態
造血幹細胞レベルの異常から主に血小板が著しく増加する血液疾患となります。血液 (末梢血※1)中の血小板数が増加し、ほとんどの患者で60万個/µLを超え、100万個/µLを超えることも珍しくはなく、時に200万個/µLを超えることもあります。(基準値は15万から40万個/µL程度)。さらに骨髄で血小板を産出する巨核球が著明に増加しており、白血球や赤血球も増加していることがあるが、増加していても血小板の増加ほどには著明ではありません。血液所見以外では脾腫(脾臓が腫れ大きくなる)が認められることが多いです。
※1末梢血とは血管の中を流れている通常の血液のことであり、骨髄中にプールされている血液や臍帯血などと区別する為に末梢血と呼ぶ。通常行われる腕から採血する血液検査は末梢血の検査である。

疫学
諸説ありますが、本態性血小板血症の発症率は年間10万に対して2.5人と報告されており、発症ピークは50~70代とのことです。

■症状
末梢血中の血小板が増加することにより痛み・痺れ等の血栓症の症状、あるいは逆に血小板の機能の異常や凝固因子の欠乏により紫斑や鼻血などの易出血症状が出ることもあり、なかでも頭痛を訴える患者は比較的多いです。他には倦怠感・めまい・耳鳴・視覚異常・先端紅痛症などが見られることがあります。しかし、著しい血小板の増加にも関わらず無症状のことも多く、健康診断や他の疾患の検査等で見つかることが多いです。特徴的な症状ではないが、脾腫による左わき腹の違和感・痛みを訴える患者もいます。

その他の本態性血小板減少症対象の臨床試験情報

A Phase 3, Randomized, Double-blind Active-controlled Study Evaluating Momelotinib vs. Ruxolitinib in Subjects With Primary Myelofibrosis (PMF) or Post-Polycythemia Vera or Post-Essential Thrombocythemia Myelofibrosis (Post-PV/ET MF)(clinical trials.gov;英語)

記事:前原 克章

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