5月29日~6月2日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO:あすこ)のAnnual Meeting(年次会議)にて、毎年、応募される5000演題の中で4つしか選出されないプレナリーセッション(学問的に優れた演題)の発表がありました。今年のプレナリーセッションのテーマは「患者のケアに対して最高の科学的利点と最大の影響をもつと考えられる演題」とのことです。

うち1つの演題として、米Mayo Clinic Cancer Center(マヨクリニックがんセンター)のJan C. Buckner氏にて「脳転移を有する患者に対して放射線手術後に全腦放射線照射を行うか否かの場合の認知機能への影響を確認する第3相試験の結果」を発表されました。

この試験では、腦に1~3個の小さな転移を有する213人が登録されました。うち最も多かったのは肺がんの脳転移で68%を占めました。

ポイントは以下の通りです。
1.放射線手術後に全脳照射を行うと脳転移がんを大きくなるのを抑える割合は高くなる。6か月間のコントロール率は全脳照射なし66.1% vs 全脳照射あり88.3%。(統計学的にも証明;P<0.001)
2.ただし、全脳照射の実施の有無によって、生存期間には差がない。全脳照射なし10.7か月 vs 全脳照射あり7.5か月(統計学的には非証明;P=0.93)
3.それどころか、認知機能の低下する。3か月後に認知機能の低下した割合は、全脳照射なし63.5% vs 全脳照射あり91.7%(統計学的にも証明;0.0007)

Jan C. Bucknerは「脳転移患者の認知機能を維持するために、放射線手術後に綿密にモニタリング行い、症状の進行後に全脳照射を実行すつことを推奨する」と述べました。

参照
The ASCO POST(英語)
ASCO2015 Abstract(英語)
ASCO DAYLY NEWS(英語)
この試験の情報:Clinical trials.gov(英語)

*本記事での放射線手術とは「定位放射線照射(ガンマナイフなど)」のことです。
記事:カチ


人気記事