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■この記事のポイント ・既存のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性の慢性骨髄性白血病に対する第3世代BCR-ABL TKIポナチニブが国内承認申請された。 ・フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対しても申請。 ・抵抗型で最も高頻度且つ難治性のT315I変異型にも著効している薬剤。 ・米国では2012年には承認済み。早期ドラッグタグ解消が求められる。
1月8日、大塚製薬株式会社は、既存のチロシンキナーゼ阻害薬(グリベック等)に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病とフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病の治療薬である「ポナチニブ(海外商品名:Iclusig;アイクルシグ)」の製造販売承認申請を行ったと発表しました。 今回、国内の第1/2試験臨床試験及び海外の臨床試験結果を併せて申請しています。なお、日本で2015年9月にオーファンドラッグとしての指定を受けています。
難治性タイプにも有効
ポナチニブは、BCR-ABLという酵素に作用するチロシンキナーゼ阻害薬です。
慢性骨髄性白血病および一部の急性リンパ性白血病にみられる異常な染色体のことをフィラデルフィア染色体 Ph染色体)といい、異常な酵素を合成します。この酵素はBCR-ABLと呼ばれ、この働きにより造血幹細胞を無制限に増殖し、これらの白血病を引き起こすことが知られています。
よって、BCR-ABLを抑制することによりこれらの腫瘍細胞の増殖が抑えられるために、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬としてイマチニブ(グリベック)等の分子標的薬が開発され多くの患者さんは寛解できるようになりました。
しかしながら、薬剤を使用し続けることにより、薬剤に対する耐性が発現するケースがあります。
中でも。腫瘍細胞のT315Iという遺伝子が変異することにより耐性を得るタイプは、耐性獲得の変異としては最も多いにも関わらず最も難治性といわれています。
今回、承認申請されたポナチニブはT315I変異に対しても阻害作用を示すように設計されており、既存のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性(効果がなくなった方)または不耐容(副作用などにより薬剤が使用できなくなった方)の慢性骨髄性白血病、再発または難治性のフィアデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、特にT315I変異に代表される変異型BCR-ABLにも効果を示します。
「チロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容を示す疾患患者449名に対してポナチニブを使用する臨床試験(PACE試験)」の結果によると、以下の結果を示しております。
◆チロシンキナーゼ阻害剤治療に抵抗性または不耐容を示す
- 慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML):細胞遺伝学的大寛解(MCyR)→全体で54%、T315I変異の方に限定すると70%
- 移行期(AP)の慢性骨髄性白血病(CML):血液学的大寛解(MaHR)→全体で55%、
- 急性転化期(BP)の慢性骨髄性白血病(CML):血液学的大寛解(MaHR)→全体で31%
◆フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の成人患者:血液学的大寛解(MaHR)→全体で41%
参考:A Phase 2 Trial of Ponatinib in Philadelphia Chromosome–Positive Leukemias(NEJM)



