2018年3月27日、医学誌『Lancet Oncology』にて脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+イピリムマブ(商品名ヤーボイ;ヤーボイ)併用療法、オプジーボ単剤療法有効性を検証した第II相試験(NCT02374242)の結果がUniversity of Sydney・Melanoma Institute Australia・Georgina V Long氏らにより公表された。

本試験は、18歳以上のMRIにより少なくとも5-40mmの頭蓋内病変を有することが確認されているステージIV悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=79人)に対して3週間に1回の投与確認でオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を4サイクル後、2週間に1回の投与確認でオプジーボ3mg/kg単剤療法を病勢進行又は許容できない有害事象(AE)が発症するまで投与継続する群(コーホートA:N=36人)、2週間に1回の投与確認でオプジーボ3mg/kg単剤療法を病勢進行又は許容できない有害事象(AE)が発症するまで投与継続する群(コーホートB:N=27人、コーホートC:N=16人)の3群に無作為に振り分け、主要評価項目としてRECIST 1.1基準より完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を達成した頭蓋内病変の奏効率 (IRR:intracranial response rate)、副次評価項目として頭蓋内無増悪生存期間(iPFS)などを検証した多施設共同オープンラベルの第II相試験である。

なお、コーホートA、コーホートBは頭蓋内病変に対する手術、放射線治療などの治療歴のない脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者、コーホートCは頭蓋内病変に対する手術、放射線治療などの治療後に病勢進行した脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象にしている。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はコーホートAで59歳(53-68歳)、コーホートBで63歳(52-74歳)、コーホートCで51歳(48-56歳)。性別はコーホートAで男性83%(N=29人)、女性17%(N=6人)、コーホートBで男性76%(N=19人)、女性24%(N=6人)、コーホートCで男性69%(N=11人)、女性31%(N=5人)。ECOG Performance StatusはコーホートAでスコア0-1が97%(N=34人)、スコア2が3%(N=1人)、コーホートBでスコア0-1が100%(N=25人)、コーホートCでスコア0-1が94%(N=15人)、スコア2が6%(N=1人)。

頭蓋内病変の個数はコーホートAで1個31%(N=11人)、2-4個29%(N=10人)、5個以上40%(N=14人)、コーホートBで1個24%(N=6人)、2-4個56%(N=14人)、5個以上20%(N=5人)、コーホートCで1個6%(N=1人)、2-4個44%(N=7人)、5個以上50%(N=8人)。標的頭蓋内病変の直径(合計)はコーホートAで19mm(13-37mm)、コーホートBで17mm(12-29mm)、コーホートCで34mm(21-53mm)。頭蓋外転移を有する割合はコーホートAで86%(N=30人)、コーホートBで84%(N=21人)、コーホートCで75%(N=12人)。

BRAF V600遺伝子変異の内訳はコーホートAでBRAFV600Eが40%(N=14人)、BRAFV600Kが11%(N=4人)、BRAFV600Rが3%(N=1人)、コーホートBでBRAFV600Eが44%(N=11人)、BRAFV600Kが8%(N=2人)、BRAFV600Rが4%(N=1人)、コーホートCでBRAFV600Eが69%(N=11人)、BRAFV600Kが6%(N=1人)、BRAFV600Rが6%(N=1人)。前治療歴としてBRAF阻害薬+MEK阻害薬の治療を受けた患者割合はコーホートAで23%(N=8人)、コーホートBで24%(N=6人)、コーホートCで75%(N=12人)。以上のように、頭蓋内病変の個数が5個以上の患者割合はコーホートBよりもコーホートAで多いものの、両群間における患者背景の大きな違いはなかった。

以上の背景を有する患者に対してオプジーボ+ヤーボイ併用療法、オプジーボ単剤療法を投与したフォローアップ期間中央値17ヶ月(8–25ヶ月)の結果、主要評価項目である頭蓋内病変の奏効率 (IRR)は下記の通りである。コーホートAで46%(95%信頼区間:29-63%,N=16人)、コーホートBで20%(95%信頼区間:7-41%,N=5人)、コーホートCで6%(95%信頼区間:0-30%,N=1人)を示した。また、頭蓋内病変の奏効を達成した患者の内、完全奏効(CR)を達成した患者はコーホートAで17%(N=6人)、コーホートBで12%(N=3人)、コーホートCで0%を示した。

副次評価項目である頭蓋内無増悪生存期間(iPFS)中央値はコーホートAで未到達(95%信頼区間:2.9ヶ月-未到達)、コーホートBで2.5ヶ月(95%信頼区間:1.7-2.8ヶ月)、コーホートCで2.3ヶ月(95%信頼区間:1.4-4.3ヶ月)。6ヶ月頭蓋内無増悪生存率(iPFS)はコーホートAで53%(95%信頼区間:38-73%)、コーホートBで20%(95%信頼区間:9-44%)、コーホートCで13%(95%信頼区間:3-46%)。

一方の安全性として、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者割合はコーホートAで54%(N=19人)、コーホートBで16%(N=4人)、コーホートCで13%(N=2人)。最も多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)はコーホートAで下痢又は大腸炎20%(N=7人)、肝炎17%(N=6人)、コーホートBで肝炎8%(N=2人)。グレード4の治療関連有害事象(TRAE)はコーホートAで肝炎3%(N=1人)、肺水腫3%(N=1人)、下垂体機能低下症3%(N=1人)、コーホートB、コーホートCでは確認されなかった。

重篤な有害事象(SAE)を発症した患者割合はコーホートAで46%(N=16人)、コーホートBで4%(N=1人)、コーホートCで13%(N=2人)。最も多くの患者で確認された重篤な有害事象(SAE)はコーホートAで大腸炎23%(N=8人)、コーホートBで脳浮腫による頭痛4%(N=1人)、コーホートCで●。治療関連死亡は全てのコーホートで確認されず、痴呆関連死亡以外の全ての死亡は悪性黒色腫(メラノーマ)の病勢進行によるものであった。

以上の第II相試験の結果よりGeorgina V Long氏らは以下のように結論を述べている。”脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法、オプジーボ単剤療法は治療有効性があります。特に、オプジーボ+ヤーボイ併用療法により頭蓋内病変の奏効 (IRR)を達成した患者割合は高率でした。以上の結果より、無症状で脳転移のある未治療のステージIV悪性黒色腫(メラノーマ)患者さんに対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法は、一次治療の選択肢として考慮すべきでしょう。”

Combination nivolumab and ipilimumab or nivolumab alone in melanoma brain metastases: a multicentre randomised phase 2 study(Lancet Oncology, DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30139-6)

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