慢性骨髄性白血病とニロチニブについて
白血病は血液のがんであり、さまざまな種類があります。その中でも、慢性骨髄性白血病(CML)は百万人あたり10~15人程度発生する病気であり、希少疾病に分類されます。
この慢性骨髄性白血病を治療するために用いられる薬として
ニロチニブがあります。
このニロチニブは、同種の治療薬イマチニブとともに、慢性骨髄白血病の治療を劇的に変えていました。未治療の患者さんの10年生存率はほぼ0%でありながら、これらの薬を使用すると5年生存率を90%以上になることから考えても貢献度がわかります。
そして現在、ニロチニブは慢性骨髄白血病(小児用)の効能取得を目指しています。
以下では、ニロチニブの薬剤概要・治験情報を記載します。
ニロチニブの薬剤概要
一般名
ニロチニブ塩酸塩水和物カプセル(Nilotinib)
用法用量
通常、成人にはニロチニブとして1回400mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。ただし、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合には、1回投与量は300mgとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
効能効果
慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
販売開始日
2009年3月
ニロチニブの作用機序
ニロチニブは、アデノシン三リン酸(ATP)と競合的に拮抗し、Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害することによって、Bcr-Abl発現細胞に細胞死を誘導する。16)ニロチニブは、Bcr-Ablだけでなく、幹細胞因子(SCF)受容体のc-kit及び血小板由来成長因子(PDGF)受容体チロシンキナーゼを阻害するが、イマチニブよりもBcr-Ablに対し選択的に作用する。また、ニロチニブは疎水性相互作用によってイマチニブ抵抗性Bcr-Abl変異体にも結合することが可能であり、多くのイマチニブ抵抗性Bcr-Abl変異体も阻害する。
ニロチニブの最新文献
・2016年12月5日
ノバルティス、慢性骨髄性白血病の無治療寛解維持に関する臨床試験ENESTopの事後解析で得られた新たなデータを発表~「グリベック®」から「タシグナ®」への切り替え理由に関わらず、無治療寛解維持率50%以上を維持
https://www.novartis.com
ニロチニブの治験情報
2016年12月31日現在、国内で実施されているニロチニブの治験情報はありません。
参考資料
1)
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291021M1020_1_20/
2)
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/