欧州臨床腫瘍学会アジア大会

2022年12月2日から4日までシンガポールで欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2022)が開催されました。光栄なことに、科学的プログラム委員のアジア代表をさせて頂きましたので、1995年から毎年参加、発表していた肺癌学会総会を初めて欠席させて頂きました。
このESMO Asiaは、科学的な最新情報の発表だけではなく、Asiaの地域で診療や研究を行っている医療従事者(特に若手)に、自国内だけではなく、国際的な活躍に繋がる足がかりを作ろうという学会で、若手の発表や教育講演に力を入れている大会です。
COVID-19流行により今年は、昨年の分も合わせて、一度に2年分の大会を行ったため、内容もかなり充実していたと思います。



この大会では、シンガポールやマレーシアを除き、英語を母国語としていない国からの参加者が多い事もあり、若手が英語で困ると、指導医のみならず、自国の先生方が発表や回答を手助けするのが特徴です。
例えば、いつも英語しか話さない有名な先生(例えばTony Mok教授)が、初めて中国語を話すのを聞いて、びっくりする(びっくりする方が可笑しいですが)事があります。
日本臨床腫瘍学会も医学研究の国際化を目指して、英語の発表を増やしていますが、実際にはアジアのみならず、ヨーロッパの医療従事者が沢山参加し、交流すると言う点においては、このESMO Asiaの方が国際色は豊かかもしれません。


肺がんの発表では、オシメルチニブのような新たな第3世代のEGFR阻害剤の発表やEGFR阻害剤治療後のプラチナ併用療法に免疫チェックポイント阻害剤の追加を検討した比較試験が、会長シンポジウムに選択され、結果が公表されました。
興味ある発表もたくさん行われたので、機会をみて、考察も含めてレビューしていこうと思います。


さて、私は、日本では(小さな学会を含め)学会長をした経験がありませんでしたが、国際的な学会の開会のあいさつをするなど、普段ではあり得ない経験をしてきました。
日本肺癌学会総会にて日本の医療従事者やスタッフの方、患者会の方たちにはお会いできずとても残念でしたが、3日間シンガポールで元気に頑張ってきました。

ナビゲート・ドクター、薬物療法専門医、瀬戸貴司


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