”withコロナ”はどこへ向かう?

2023年、新型コロナウイルスの騒ぎが始まってそろそろ3年が経ち、だんだんとコロナ撲滅ではなくコロナと共存(with コロナ)の体制へとシフトしてきています。そして今春にはコロナの「5類」扱い(感染症の中でも、感染力や重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が最も低いとされるもの)への移行が検討されている、と先日(1月20日)発表がありました。


第5類になれば行動制限がなくなり、マスクの着用も原則不要との話も出ており、やっと普通の生活が戻ってくる!と期待を寄せている人は多いかもしれません。しかし、良い面ばかりでなく、課題にも目を向ける必要があると思います。


まず、逼迫した状況の中、これまで何人ものコロナの患者さんの命を救ってきた医療現場の状況は解消されるのでしょうか。ここ1-2年、普段肺がんの患者さんをメインで担当されている医師も、コロナ感染者への対応に追われて業務がパンパンだ、という声を何度も耳にしてきました。


第5類になることで、益々コロナへの警戒心が薄れ、感染者の数が更に増加することが懸念されます。一方、一般の医療機関でも診察可能となり、患者さんが一極集中する事態は避けられるという良い面もあると思います。このメリットの効果が勝ることを祈るばかりです。


そしてもうひとつ、高齢者やがんを含めた疾患のある患者さんも、同じように普通の生活に戻れるのでしょうか。


マスクなし、行動制限なしの街中では感染リスクが高まり、むしろ感染・重症化しやすい人ほど益々警戒する必要が出てくるように思います。そして、家に籠ることの弊害として、運動不足によるfrail(フレイル)や、高齢者の認知機能の低下が起こり、負のスパイラルになりかねません。


このような不平等を避けるためにも、5類になることでコロナ前の“普通の”生活に戻ることを期待するのではなく、誰もが最小限のリスクで最大限理想の生活に近づけるような“ニューノーマル”をこれからも追及し続けないといけないと感じています。


最後に、ワクチンの扱いはどうなるのでしょうか。


インフルエンザワクチン同様、有料化することも検討されていますが、そうなると打つ人が急に減ってしまう懸念もあります。


何度も打ち続けないといけないコロナワクチン、安全性や効果の面でも賛否両論です。


しかしサイエンス”オタク”の私個人としては、コロナの流行により開発が進んだmRNAワクチンが、がんの治療開発に進出してきていることに興味を持っています。


既にメラノーマ(悪性黒色腫)において、モデルナ製のmRNAワクチンと抗がん剤ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を併用することにより、ペムブロリズマブ単剤と比較して再発・死亡リスクを減少させたと報告されています。


これまで開発が難航してきたがんワクチンの開発の後押しにつながることに期待しつつ、今後の開発の動向を見守っていきたいです。


浅野


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