オンコロライブ2026のアウェアネス・アンバサダーを務める月埜みみさん(煌めき☆アンフォレント)が、さまざまな立場の方々の想いに向き合うインタビューシリーズ。6回目のゲストは、@JAM総合プロデューサーであり、オンコロライブのキャスティングも担当している橋元恵一さんです。
エンタメは、人を楽しませるだけのものなのか——。
数多くのアイドルイベントを手がけてきた@JAM総合プロデューサー・橋元恵一さんは、その問いに対して、現場から向き合い続けてきた一人です。
がん啓発を目的としたチャリティーライブ「オンコロライブ」においても、主としてキャスティングでの調整に関わってきた橋元さん。エンタメと社会課題という、一見すると距離のあるテーマをどう結びつけているのか。その裏側には、出演者や観客に対する独自の視点と、イベントづくりに対する確かな哲学があります。
エンタメの最前線に立つプロデューサーの視点から、「がん啓発×ライブ」という取り組みの可能性と、その価値に迫りました。
インタビュイー:橋元恵一さん(@JAM総合プロデューサー:ソニー・ミュージックエンタテインメント/ライブエグザム)
インタビュアー:月埜みみ(オンコロライブ2026 アウェアネス・アンバサダー)
@JAMという現場から見た“エンタメの力”
月埜みみ(以下、月埜):オンコロライブ2026のアウェアネス・アンバサダーの月埜みみと申します。煌めき☆アンフォレントというアイドルグループに所属しながら、現役看護師をしています。本日は、よろしくお願いします。
橋元恵一さん(以下、橋元さん):よろしくお願いします。
月埜:@JAMの総合プロデューサーとして、これまでどのようなエンタメを作ってこられましたか?
橋元さん:@JAMは本来はイベントですが、「アイドルの活動を応援したい」という強い想いがバックボーンにあります。ライブ以外にも、アイドル志望者のための学校、プロモーションとしてミクチャやSHOWROOMなどの配信番組、独自のニュース発信サイト「@JAM MEDIA」の制作なども行ってきました。
単にイベントを開催して収益を考えるだけでなく、アイドルの活動や成長を多方面から持続的にサポートしている点が、他のイベントにはない@JAM最大の強みであると思っています。
ライブ配信アプリ「ミクチャ (MIXCHANNEL) 」での「@JAMシリーズ」の魅力をゲストとともにお届けする番組「@JAM THE WORLD」(毎週月曜日21時配信)の様子。
月埜:今いるアイドルを応援するだけじゃなくて、「次の世代を育てて、また新しいアイドルがデビューしていく」といった流れを構築しているのが素晴らしいですね。
数多くのアイドルやイベントに関わる中で、「人に届くコンテンツ」とは何だと考えていらっしゃいますか?
橋元さん:@JAMは今年で16年目になりますが、届け方や見せ方も変わってきました。常にその時代に合わせて、葛藤しながらも作り続けていくことが何より大事だと考えています。僕たちが始めた頃、アイドルの対バンイベントは月に1回あるか、くらいしかなかったんです。
月埜:そんなに少なかったんですね。
橋元さん:そうなんです。TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)さんは年に1回、@JAMは年に3回、アイドル横丁さんも年に2~3回程度だったと記憶しています。当時、それ以外のイベントもあまりなく、少なかったです。今はもう、毎週末、数え切れないほどのイベントが行われています。
でも、僕たちがやっていることは、そういったトレンドとは少し違っているかもしれません。僕たちが手掛けるのは、自分たちのコンテンツが、「どういう理由で、何のために行っているのか」きちんと理由があり進めています。
もちろん他のプロモーターさんも同様に実施されているところもあると思うので言葉にするとおこがましいですが、ただイベントを行っているのではなく、目的を持って1回1回を丁寧に作ることで、出演してくれる演者さんにも、会場に足を運んでくれるお客さんにも、想いを真っ直ぐ届けたい。そういう強い気持ちで向き合っています。
月埜:その想いは、皆さんに届いていると思います。
では次に、エンタメの現場で特に大切にしている価値観や判断軸は何ですか?
橋元さん:見に来てくれている人は当然お客さんですが、イベント主催の立場から言うと、出演してくれる人もお客さんなんです。見に来てくれた人が、「楽しかったね」と言ってくれることも大事ですし、出演する側にも、「このイベントに出て良かったね」と思ってもらえるようなイベントを作ることを大切にしています。
アイドルたちが数多くの対バンライブを駆け抜ける中で、たとえば同じZeppでのイベントが続くと、出ている側もだんだん「今日のZeppは何のイベントだっけ?」と分からなくなってしまうことだってあると思うんです。
だからこそ僕たちは、バックヤードでも「あ、今日は@JAMのイベントだったね」と肌で感じてもらえるような工夫を大切にしています。たとえば、チョコフォンデュを用意したり、ちょっと特別なケータリングを準備したり。見に来てくれた人も出演した人も共に、「楽しかったね」と記憶に残るようなイベントを作ることを目指しています。
月埜:「このライブだと、あのケータリングがある!」って思うことありますね。ケータリングがあると嬉しい気持ちになったり、また出させていただきたいなと思います。
橋元さん:@JAMでは、出演者が全員出るオープニングとエンディングを必ず作っています。オープニングとエンディングで出演者全員が顔を合わせることによって、「今日頑張ろうね」という空気を作ることで、客席のお客さんもひとつになって、「今日はみんなを応援するぞ!」と思える。そんな出演者とファンが一体になれる瞬間を大切にしたいなと思って、いつも作っています。
オンコロライブとの関わりとキャスティングの裏側
月埜:オンコロライブに関わるようになったきっかけを教えてください。
橋元さん:きっかけは、元エイベックスの樋口さんからのご紹介でした。樋口さんがオンコロライブさんに協力されていた縁で、「ぜひ力になってあげてほしい」とリクエストをいただいたんです。
そこで実際にお話を伺ってみたところ、ただの音楽イベントではなく、それこそ本当に、「社会的に意味のあることをやろう」という強い想いを持って進められている企画だということが、すごく伝わってきました。
月埜:そんなきっかけがあったんですね。
キャスティングにおいて、「このイベントならでは」と感じるポイントは何ですか?
橋元さん:オンコロライブさんも、出演者をとても大切にしていらっしゃいます。例えば、出演者の似顔絵を描いてプロモーションしたり、演者の特性を一生懸命に研究・勉強した上で、「こういうグループなんですよ」という丁寧な紹介をライブ中にしてくださったり。一つひとつのグループに対する愛情が本当に深いイベントだな、と感じています。
僕が声をかけて出演が決まった先で、オンコロライブさんがそれだけ手厚く演者を迎えてくださるので、自信を持って、「このイベントは素晴らしいから、ぜひ出てほしい」とお願いができるイベントだと思っています。
@JAM EXPOのストロベリーステージに出演するTask have Fun(オンコロライブ2025出演)のパフォーマンスの様子。
月埜:ありがとうございます。次に、出演者を選ぶ際に、”通常のエンタメイベントとの違い”はありますか?
橋元さん:それはありますね。チャリティーイベントなので、「がんについての学びや、そこに込める想い」に、しっかりと共感して言葉を発せるかどうか。そういう強い想いや熱量を持っているグループこそが、このステージに立つべきだと思うんです。
正直、「趣旨もよく分からずに出てきて、なんとなくライブをして、そのまま帰っていく」というようなスタンスの人は、あまりお招きしてもと思っています。
一過性のイベントで終わらせないためにも、想いを共にしてくれる人たちと一緒のステージを作っていきたい、という強いこだわりがあります。
月埜:やっぱりライブをしていても、アーティスト側の「想い」って、客席にいるファンにちゃんと伝わるじゃないですか。だからこそ、ただ歌って踊るだけじゃなくて、このイベントだからこそ伝えたいことや、がん啓発への想いが、見ている方の一人ひとりに真っ直ぐ届いたらいいなと私も強く思います。
“がん啓発×エンタメ”は成立するのか
月埜:エンタメと社会課題(がん啓発)を掛け合わせることについて、最初はどのように感じましたか?
橋元さん:僕が関わる前からオンコロライブ自体はありましたが、当時はテーマを掲げつつも、チケット代をいただく普通の「有料イベント(興行)」として開催されていました。僕はそれを見て、「これだと本来の目的が成立しないんじゃないか」と思ったんです。
有料にしてしまうと、どうしても「そのアーティストのことが好きなファン」しか集まってこないんですよね。がんの啓発というメッセージを広く多くの人に届けるためには、「無料にした方がいいんじゃないか」と、提案をさせていただきました。
月埜:無料での生配信という形をとったことで、がんに罹患されている方や入院中の方々も、場所を選ばずにリアルタイムで参加できるようになりましたよね。まさに、このイベントが本来目指していた「意味のあるライブ」の形がそこにあるんだなと思います。
実際に関わる中で、「これは意味がある」と感じた瞬間はありますか?
橋元さん:2つあります。1つは、ライブの合間に行われるトークセッションです。「実は身内にがんを経験した人がいて…」というような、出演者のリアルなエピソードが本人の口から語られる。ステージの前後でこうした、「考えさせられるトーク」が常に交わされているのは、すごく意義のあることだなと感じています。
もう1つは、さらに一歩踏み込んだ深い「啓発セッション」があることです。これは、もっと専門的な内容をセミナー形式で深く掘り下げて伝えていく。この「トーク」と「学び」を絶妙に織り交ぜていく進め方は、まさにオンコロライブならではの作り方ですし、エンタメの可能性としてもすごく面白いアプローチだなと思っています。
月埜:ありがとうございます。
観客や出演者の反応から見えてきた“価値”はどのようなものだと感じていますか?
橋元さん:月に20本ものライブを連日こなすグループにとって、ただステージに立つだけでなく、「何かを深く考えさせられる機会」を持つイベントは、ありそうで滅多にない貴重なものです。
だからこそ、出演してくれたアーティストの皆さんには、その経験が必ず記憶に残っているはずです。それだけでも非常に大きな価値がありますし、ある種の「啓蒙」として大切な気づきを与えるきっかけになっているのではないかと思います。
月埜:私も、「何月何日にどこでライブをしたか」さえ忘れてしまうほど、毎日忙しいです。
オンコロライブがターゲットにしているのが、「AYA世代(思春期・若年成人)」で、まさに現役のアイドルも丁度同じ年代なんですよね。日々忙しく活動する中で、本人たちはまだ「がん」について詳しくないかもしれません。けれど、実は体調にちょっとした初期症状があっても、忙しさのあまり見過ごしてしまっている可能性もあると思います。
オンコロライブをきっかけに、「検診に行ってみよう」、「友達がこの症状で悩んでたから教えてあげよう」などと思う人が増えたらいいなと思います。
橋元さん:最初はただ「アイドルを応援したい」という気持ちで来たお客さんが、イベントを通じて、「あ、こういう現実(世界線)があるんだ。自分の推し活が、誰かを救うことにも繋がるんだ」と気づく。そして、「少しでもチャリティにも参加してみよう」と思ってもらえる。これって、ものすごく意義があって大事なことだと思うんです。
これからのエンタメとオンコロライブへの期待
月埜:今後、エンタメは社会に対してどのような役割を果たしていくべきだと思いますか?
橋元さん:エンタメ業界全体の話をすると、「何かあったとき、真っ先に『最初になくなっていいもの』として扱われるのがエンタメなんだ」と、コロナ禍のときに痛いほど思い知らされました。生きていくために、エンタメは真っ先に切り捨てられるものですが、逆を言えば、そういう苦しい局面だからこそ、みんなが心の底から求めるものでもあるんですよね。
コロナの時はカラオケやライブハウスが制限されて、人が集まるコンサートやイベントがすべて中止に追い込まれましたよね。あの時の状況が、まさにその矛盾を象徴していたと思います。コロナで、リアルな場は失われましたが、みんなが巣ごもり生活を送る中で、実は一番求められていたのがエンタメでした。「それならライブを配信でやろう」と立ち上がったのは、まさにエンタメ業界の意地だったと思います。「一番いらないものであり、一番必要なものでもある」という矛盾を抱えているからこそ、僕たちは社会とどう向き合うかを常に考え続けなければなりません。
アイドルフェスは世間一般から見ればまだニッチな世界かもしれません。でも、音楽ファンにとっての「ROCK IN JAPAN」や「FUJI ROCK」のように、@JAMも、いつかは世の中から「絶対に必要なカルチャー」として認められる存在へ育てていきたいと思っています。
月埜:エンタメは、今の情勢と共に変化するものでもありますしね。
オンコロライブの今後に期待することはありますか?
橋元さん:何万人と集める大きなイベントになってほしいなと思っています。池袋だけじゃなく、いろいろな場所で開催してほしいです。
月埜:そうですね。大きなイベントになるよう、私も頑張ります。
最後に、読者や観客に向けて、メッセージをお願いします。
橋元さん:闘病中にエンタメから勇気をもらったという方はたくさんいらっしゃると思います。これは病気であるかどうかにかかわらず、誰もが人生の中で「この曲に救われた」「この曲と一緒に乗り越えてきた」という、絶対に欠かせない一曲を持っているはずです。オンコロライブが、そんな運命の一曲やアーティストと出会える場所になってほしいですし、出演する側もそういう存在を目指すべきだと思います。
オンコロさんは、出演グループのことを事前にしっかりと調べた上で、「この曲をセットリストに入れてください」とリクエストされるんですよね。普通のイベントで、主催側がそこまでセトリに踏み込むことなんてまずないので、本当にそのあたりすごい情熱だなと感じます。
月埜:今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
【インタビュー後記/月埜みみ】
橋元さんのお話からは、「エンタメは“楽しさ”だけでは終わらない」という強い信念が伝わってきました。
普段、ステージに立つ側としてライブに出演している私自身も、「イベントの空気感」や「出演者への向き合い方」で、その現場の色が大きく変わることを日々感じています。今回のインタビューを通して、@JAMがなぜ多くのアイドルやファンに愛され続けているのか、その理由を改めて実感しました。
特に印象的だったのは、「出演者もお客さん」という橋元さんの言葉です。出演する側にも“このイベントに出て良かった”と思ってもらえるように、バックヤードやケータリング、オープニング・エンディングの作り方まで細かく工夫されているお話から、イベントづくりへの深い愛情を感じました。
また、オンコロライブについても、「ただのライブではなく、社会的な意味を持ったイベント」と言っていただけたことが、とても嬉しかったです。エンタメをきっかけに、がんや誰かの人生について少し考えてみる――。そんな時間が、出演者や観客の皆さんの中に生まれているのだとしたら、オンコロライブには大きな意味があるのだと思います。
私自身も現役看護師として、そしてアイドルとして、これからも“誰かの気づき”につながる活動を届けていきたいです。
【橋元恵一さん情報】
@JAM EXPO 2026公式サイト:
https://atjam.jp/
【Remember Girl’s Power !!(オンコロライブ)2026】
現役看護師アイドルがアウェアネス・アンバサダーを務めるRemember Girl’s Power !!(オンコロライブ)2026は、例年通り、豊島区との共催で、2026年9月17日(木)、18日(金)、19日(土)、20日(日)の4日間に渡り池袋西口公園野外劇場 グローバルリングシアターにて開催します。詳細情報は、公式ホームページや公式SNSを参照下さい。
オンコロライブ2025ダイジェスト動画:
https://www.youtube.com/watch?v=wc0lxrPdwE0
オンコロライブ2026 HP:
https://oncolo.jp/rgp/2026/
オンコロライブX:
https://x.com/ONCOLO_LIVE
オンコロライブInstagram:
https://www.instagram.com/stories/oncolo_live/
オンコロライブTikTok:
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