新型コロナウイルスの流行に伴うイベントの開催可否について

AYA世代のきめ細かい支援体制を目指して


  • [公開日]2020.03.19
  • [最終更新日]2020.03.19

※コロナウイルスの影響により第2回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会は、3/20-21にWeb開催に変更となりました。

 15歳から39歳までの世代を指す、AYA世代(Adolescent and Young Adult;思春期および若年成人)。第3期がん対策推進基本計画の重点施策として「AYA世代」が加わってから2年…テレビや新聞等のメディアで「AYA世代」を目にする機会が増えてきました。

 そして2020年も3月20日、21日に第2回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会が名古屋国際会議場で開催されます。第1回に続き、第2回も会長を務める国立病院機構 名古屋医療センターの堀部敬三先生に学会が開催されたきっかけや将来の展望について伺いました。

AYA世代のがん医療と支援の一層の発展させるために発足

鳥井:まずAYAがんの医療と支援のあり方研究会(以下:AYA研)学術集会はどのような会なのでしょうか?

堀部先生:AYA世代のがんの特徴はがん種が多岐にわたり、診療科も複数にまたがっています。加えて症例自体が少ないため各施設のAYA世代患者さんの治療経験が乏しいです。また、医療以外にも復学、就労、復職、恋愛、結婚、出産等の問題も多数存在します。

 そこで本学術集会では、医療従事者のみならず、患者団体を含むAYA世代のがん医療や支援に関わる様々な立場の会員が一堂に会し、学際的交流を通じて新たな連携やネットワークの構築を目指しています。第2回のテーマは「つなごう!AYAの医療と支援の輪」であり、キャッチフレーズを「絆と連携」としました。

 ちなみに、第1回のテーマは、「AYA世代がん医療と支援のこれからを語る」であり、キャッチフレーズは「協働 発進! 夢・希望・未来」でした。

鳥井:なぜAYA研が発足したのでしょうか?

堀部先生:AYAは米国において治療成績の改善が十分でない15歳から39歳の世代のがん対策の象徴として2006年から用いられております。わが国においても平成26年3月に定められた「がん研究10か年戦略」の中でライフステージに応じたがん対策の重要性が認識されて、それからAYA世代のがんの実態解明のために厚労科研の公募課題に取り上げられました。

 私たちは、それに採択され、平成27~29年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」を通して、国内のAYA世代のがんの実態と課題を明らかにしました。そして、その成果が生かされて、AYA世代のがん対策が国の「がん対策推進基本計画(第3期)」(平成30年3月)の柱の一つに掲げられました。

 2018年3月で研究が終了し、それを機に研究班の関係者を中心に、AYA支援に関わる人材の育成とネットワークの構築の場、学際的な取り組みの推進を通して、AYA世代のがん医療と支援の一層の発展を目指してAYA研を設立しました。

 本研究会の最大の特徴は、医師や研究者のみならず、AYAのがん医療と支援に関わる多職種の方々、および、当事者や支援団体の皆様が同じテーブルについて、討議や活動を協働することです。そのため、会員同士を「さん」付けで呼び合うことにしています。

医療者間でもAYA世代に対して課題意識に差がある

鳥井:はじめは厚労科研の研究班の提言があり、それがベースとなって第3次がん対策推進基本計画にAYA世代が加わり、AYA研が発足したのですね。研究から見えたAYA世代の課題はなんでしょうか?

堀部先生:医療の面では、治療開発がなかなか進みにくいのが現状です。例えば日本の場合の診察において、10歳の血液がんの患者さんは小児科医が診ます。しかし17歳の血液がんの患者さんは血液内科医が診ることが多いです。これが骨軟部の肉腫ですと、両年齢共に整形外科医が診ます。よってがん種ごとに治療体系がバラバラなのです。また治療開発を行うとしても、インフォームドコンセントの問題で親権者の同意が必要となる20歳未満が除外されることが多いです。

 精神面や社会面では、心も身体も成長発達し自立していく重要な時期であり、就学、就労、結婚、家族計画など人生を決める重要な出来事が闘病と重なります。 罹患や治療に伴いライフプランの変更を余儀なくされることも少なくなくありません。

鳥井:ちなみに臨床の現場から気づいた課題はありましたか?

堀部先生:医療者間でも課題意識に差があるように感じます。小児がんの患者数は、年間2,000〜2,500人、そのうちの約8割が治るようになってきました。長期フォローアップをしていると患者さんはみんなAYA世代になっていくのです。よって多くの小児科医はAYA世代で直面する問題に危機意識を持っています。

 しかし成人がんの場合は圧倒的に高齢者が多い中に、若干数のAYA世代の患者さんがいるのが現状です。よってAYA世代の患者さんが直面する問題に医療者はなかなか気づきません。

鳥井:それもあって学会を開催しているのですね。どのような方々に参加してもらいたいですか?

堀部先生:AYA世代の医療や支援に関わる方々皆さんですが、とりわけがん体験者の方々にも参画いただきたいです。海外ですと患者さんも積極的に学会に参加し、意見を述べています。

 ちなみに現在のAYA研の会員数は約500名(うち正会員350名)で内訳は、医師130名(26%)、看護師200名(40%)、その他の医療関係者70名(14%)、患者・家族・支援者70名(14%)、学生30名(6%)です。したがって、医療関係者のみならず、患者・家族・支援者にもっと参画いただき、AYA研は支援のあり方を議論する研究会なですので、医療者と繋がって同じ目線で話していただきたいです。

10代、20代、30代の患者さんで抱える悩みは異なる

鳥井:今後の展望について教えてください。

堀部先生:学会としての立ち位置、存在意義を明確にすることです。ライフステージ特有な課題の解決に向けた研究推進(情報共有のための学術集会、学術雑誌の発刊)、人材育成(研修・認定制度)、医療・支援体制整備およびAYAへの一般からの支援拡大に向けた普及・啓発活動、国際交流・協調を推進したいと思います。人材育成は、医療者だけでなく、支援活動をされる体験者の育成も行なっていきたいです。

 また現状はAYA世代を15歳から39歳まで一括りにしていますが、諸外国をみると、AYA世代の年齢はイギリスでは25歳未満、その他のヨーロッパの多くの国30歳までと区切っており、アメリカは39歳までと国によりまちまちです。日本では40歳から成人がん対策が行われており、介護保険も40歳以上となっています。よって抜け落ちる世代をなくすために、年齢の定義は15〜39歳となりました。

 しかし、20代の半ばを境に罹患するがん種に大きな違いがあります。思春期であれば、小児期と同じく、血液がん、脳腫瘍、肉腫、性腺腫瘍の患者さんが多いですが、20代の半ばになると子宮頸がんが増え始め、乳がん、胃・大腸がんなど成人がんが増えていきます。また、10代の患者さんが抱える悩みと、30代の患者さんが抱える悩みは異なります。A世代(Adolescent:思春期)とYA世代(Young Adult:若年成人)それぞれのニーズに合った支援が必要であり、きめ細やかな支援体制を構築していきたいと思います。

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