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PARP阻害薬;パープ阻害薬

[公開日] 2016.10.26[最終更新日] 2016.10.26

PARP阻害薬とは

PARP(poly ADP-ribose polymerase)とは、DNA修復などに関与する酵素のことで、特に一本鎖切断タイプのDNA修復を担います。PARP阻害薬は、このPARPの機能を阻害することによって、一本鎖切断の修復を妨げる薬剤です。 一方二本鎖切断タイプのDNA損傷には、BRCAタンパクが関与し、相同組み換えと呼ばれる方法で修復をします。 正常な細胞の場合には、PARP阻害薬により修復できなかった一本鎖DNAは二本鎖切断に至り、BRCAタンパクによる相同組み換えによって修復が完了します。しかしながら、BRCA遺伝子変異のように相同組み換えDNA修復経路に異常がある場合*には、PARP阻害薬によってできた二本鎖切断DNAを修復することができず、細胞死が誘導されるため、細胞増殖の抑制につながります。 *具体的には、HRD(相同組換え修復欠損)、BRCA遺伝子変異陽性が挙げられる。また、プラチナ製剤は、DNAの二本鎖切断を増加させるため、白金製剤に対して感受性の高いがん細胞は、二本鎖切断修復を担う相同組み換え経路に欠損があると考えられる。このことから、白金製剤感受性のがんも、PARP阻害薬の適用条件のひとつである。 このように、機能を失った遺伝子(今回の場合はBRCA関連遺伝子)を補うような機能を持つ遺伝子(今回の場合はPARP)の働きを抑えることでもたらされる細胞死を「合成致死」と呼びます。 日本において現在承認されているPARP阻害薬は、リムパーザ(一般名:オラパリブ)、ゼジューラ(一般名:ニラパリブ)、ターゼナ(一般名:タラゾパリブ)の3種類です。 それぞれの適応と承認の根拠となった臨床試験の成績と有害事象については、下表にまとめています。

日本国内で承認されているPARP阻害薬とその臨床試験成績・有害事象

リムパーザ(一般名:オラパリブ)

100mg:3225.1円/錠  150mg:4788円/錠
がん種 適応 用法/用量 臨床試験 効果 副作用
卵巣がん 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法 300mgを1日2回
経口投与
SOLO-2
(国際共同第III相試験)
mPFS:19.1ヶ月
(vs.プラセボ5.5カ月)
悪心(75.9%),貧血(43.1%),疲労(37.9%),
嘔吐(37.4%),下痢(32.8%),無力症(31.3%)
BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における
初回化学療法後の維持療法
300mgを1日2回
経口投与
SOLO-1
(国際共同第III相試験)
mPFS:未到達
(vs.プラセボ13.8カ月)
悪心(77.3%),疲労(40.8%)嘔吐(40.0%),
貧血(38.1%),下痢(34.2%)
相同組換え修復欠損を有する卵巣癌における
ベバシズマブを含む初回化学療法後の維持療法
300mgを1日2回
(+ベバシズマブ)経口投与
PAOLA-1
(国際共同第III相試験)
mPFS:37.2ヶ月
(vs.ベバシズマブ単剤17.7ヶ月)
悪心(53.3%),疲労(52.9%),高血圧(45.8%),
貧血(40.9%)
乳がん がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつ
HER2陰性の手術不能又は再発乳癌
300mgを1日2回
経口投与
OlympiAD
(国際共同第III相試験)
mPFS:7.0ヶ
(vs.化学療法4.2ヶ月)
悪心(58.0%),貧血(39.5%),嘔吐(32.2%)
BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの
乳癌における術後薬物療法
300mgを1日2回
経口投与投与期間は1年間まで
OlympiA
(国際共同第III相試験)
2年IDFS率:89.2%
(vs.プラセボ81.5%)
悪心(57.0%),疲労(40.2%),貧血(23.6%),
嘔吐(22.6%)
前立腺がん BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 300mgを1日2回
経口投与
PROfound
(国際共同第III相試験)
mPFS:9.8ヶ月
(vs.医師選択薬3.0ヶ月)
貧血(46.1%),悪心(41.4%)食欲減退(30.1%)
300mgを1日2回
(+アビラテロン)経口投与
PROpel
(国際共同第III相試験)
mPFS:24.8ヶ月
(vs.医師選択薬16.6ヶ月)
貧血(45.5%),悪心(28.1%)疲労111例(27.9%)
膵臓がん BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法
300mgを1日2回
経口投与
POLO
(海外第III相試験)
mPFS:3.8ヶ月
(vs.プラセボ7.4カ月)
疲労(45.1%),悪心(45.1%)

ゼジューラ(一般名:ニラパリブ)

100mg:9316.8円/錠
がん種 適応 用法/用量 臨床試験 効果 副作用
卵巣がん 卵巣癌における初回化学療法後の維持療法 200mg(体重が77kg以上かつ
血小板数が150,000/μL以上の
成人には300mg)を1日1回経口投与
PRIMA
(海外第III相試験)
mPFS(HRD+):21.9ヶ月
(vs.プラセボ10.4ヶ月)
貧血(61%),悪心(51%),血小板減少症(45%),
疲労(30%),血小板数減少(27%),好中球減少症(26%),
便秘(26%)
mPFS(HRD+):21.9ヶ月
(vs.プラセボ10.4ヶ月)
白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法 NOVA
(海外第III相試験)
mPFS(gBRCA+):21.0ヶ月
(vs.プラセボ5.5ヶ月)
悪心(69%),貧血(46%),血小板減少症(45%),
疲労(37%),嘔吐(25%),便秘(22%),
食欲減退(20%),血小板数減少(20%)
mPFS(gBRCA-):9.3ヶ月
(vs.プラセボ3.9ヶ月)
mPFS(gBRCA-/HRD+):12.9ヶ月
(vs.プラセボ3.8ヶ月)
白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌 Niraparib-2002
(国内第II相試験)
ORR:35.0% 貧血(70%),悪心(60%),血小板数減少(55%),
好中球数減少(30%),嘔吐(30%),便秘(25%),
倦怠感(25%),頭痛(25%),動悸(20%),
血中クレアチニン増加(20%),白血球数減少(20%),
食欲減退(20%)

ターゼナ(一般名:タラゾパリブ)

0.1mg:3920.7円/カプセル 0.25mg:9576円/カプセル 1mg:21547.1円/カプセル
がん種 適応 用法/用量 臨床試験 効果 副作用
前立腺がん BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する
去勢抵抗性前立腺癌
0.5mgを1日1回
(+エンザルタミド)
経口投与
TALAPRO-2
(国際共同第III相試験)
mPFS:未到達
(vs.プラセボ11.0ヶ月)
貧血(62.1%),好中球数減少(34.2%),疲労(30.4%),
血小板数減少(22.4%),白血球数減少(20.6%)
乳がん がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の
手術不能又は再発乳癌
1mgを1日1回
経口投与
EMBRACA
(海外第III相試験)
mPFS:8.6ヶ月
(vs.化学療法5.6ヶ月)
貧血(49.3%),疲労(39.5%),悪心(36.7%),
好中球減少症(25.5%),脱毛症(24.8%)
辞典 ターゼナ

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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