Treg(制御性T細胞)は、主に自己に対する免疫応答を適切に抑える“ブレーキ”をとしての役割(免疫寛容)を担う免疫抑制細胞の一つである。
Tregの機能異常は、様々な疾患の発症や進行に関係していることが知られている。例えば、Tregの機能が低下することで自己に対する誤った免疫応答を制御できず、自己免疫疾患を引き起こす可能性がある。また一方で、Tregが過剰に働くことで、がん細胞に対する免疫反応の抑制につながり、がんが免疫細胞からの攻撃を逃れて増殖する可能性が考えられている。
特にがんの治療への応用については、Tregの除去や活性化の抑制などのアプローチが考えられているが、がん細胞のTregのみを特異的に抑制する治療法の確立や、がん種や病期に特有のTregの役割に応じた個別化など、まだまだ克服すべき課題が多い。
なお、2025年10月6日、Tregの発見と機能解析をはじめとする免疫学分野への貢献が評価され、坂口志文先生(大阪大学 特任教授)がノーベル生理学・医学賞に選出されたことで、Tregが注目を集めている。
