分子遺伝子学的奏効とは、慢性骨髄性白血病(CML)の治療効果の判定で用いられる基準の一つです。慢性骨髄性白血病は、「フィラデルフィア染色体」という異常な染色体に存在する、「BCR-ABL遺伝子」が原因で発症します。慢性骨髄性白血病の治療効果は、「血液学的奏効」、「細胞遺伝学的奏効」、「分子遺伝学的奏効」の3つのレベルで判定されます。
「血液学的奏効」では、末梢血を顕微鏡などで観察し、がん細胞が残っていないか、白血球の数が減っているかなどを調べます。この基準で寛解と判定された場合、体内のがん細胞は1010個まで減っていると考えられます(診断時は、体内に1011-12個のがん細胞が存在します)。次の「細胞遺伝学的奏効」では、骨髄細胞中に「フィラデルフィア染色体」を持った細胞が残っていないか調べます。
この基準で寛解と判定された場合、体内のがん細胞は109個まで減っていると考えられます。最後の「分子遺伝子学的奏効」では、PCRという検査法を用いて、血液細胞中の「BCR-ABL遺伝子」の発現量を調べます。この基準で寛解と判定された場合、体内のがん細胞は106個まで減っていると考えられます。
作成:株式会社インテリム
作成:株式会社インテリム