監修:日本医科大学 勝俣範之 先生
最近では身体への負担が少ない手術も
手術はメスなどを使って、がんの組織を直接切り取る方法です。通常は、がんの部分に加えて、がん細胞が移っている(転移)可能性のある、周囲の正常な組織も含めて切除します。例えば、胃がんの場合、がんの部分のみを切り取るのではなく、ある一定の範囲の胃と、その周りの転移している可能性のあるリンパ節も一緒に取る手術が行われることがあります。
手術のメリットは、完全にがんを取り切ることができれば、根治の可能性が高いということが挙げられます。早期の胃がんの場合、転移がなければ手術療法でほぼ治すことができますし、それ以外にも前立腺がんや早期の乳がんや大腸がんなどは、手術療法でほぼ根治ができるようになっています。
しかしその一方で、手術は、体にメスを入れるために、傷や体力の回復に時間がかかること、切除する部位や臓器によっては、その機能が失われることもあります。最近では、低侵襲手術と呼ばれる、体への負担が少なく、入院期間も短くできる手術が次々と開発されています。具体的には、胃カメラなどの内視鏡を用いたものや、胸腔鏡や腹腔鏡といったカメラを使った手術があります。
最近は、入院診療の効率化が図られていることから、入院期間は短期間の傾向があります。合併症などの不安がなく、回復が順調であれば、退院してから外来通院で経過を見るという病院も増えています。