トリプルネガティブ乳癌の新薬サシツズマブ ゴビテカンについて

乳癌の中でも最も予後が悪いと言われるトリプルネガティブ乳癌。なぜ他の乳癌と比べてトリプルネガティブ乳癌の予後が悪いかと言いますと、他の乳癌に効果のある薬がトリプルネガティブ乳癌には効果がないからです。

トリプルネガティブ乳癌とは、エストロゲン受容体もプロゲステロン受容体もHER2も、乳癌の治療効果予測因子とされる3つの因子が癌細胞に発現していない状態(ネガティブ)の乳癌のことを言います。

女性ホルモンのレセプターであるエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体が腫瘍細胞に発現していれば、乳癌発症の原因がホルモンに関係しているため治療が確立しているホルモン療法が実施できます。

癌遺伝子であるHER2が発現していれば、乳癌発症の原因がHER2と関係しているため抗HER2抗体薬であるハーセプチン(トラスツズマブ)により治療が確立しています。
しかしトリプルネガティブ乳癌の場合、ホルモン療法も抗HER2療法にも効果を示しません。そのため、効果の期待できる薬は抗癌剤くらいしか残されていなく、万が一抗癌剤に効果を示さなかった場合の次の治療方法の開発が期待されていました。この期待に

サシツズマブゴビテカン

が応える可能性があります。なぜなら、抗Trop−2抗体薬物複合体であるサシツズマブゴビテカンは、少なくとも2レジメン以上の治療を受けたトリプルネガティブ進行乳癌患者に対して既存治療と比べて有効性であることが証明されたからです。

トリプルネガティブ進行乳癌患者に対する既存治療の成績はPFS(無増悪生存期間)が3から4ヶ月と非常に短いですが、サシツズマブゴビテカンはその約2倍の7ヶ月でした。また、既存治療の場合RR(奏効率)は約10~20%になりますが、サシツズマブ ゴビテカンは30%でした。

この第二相試験の結果を受けまして、サシツズマブゴビテカンはFDA(米国食品医薬品局)より画期的な新薬の証であるブレークスルーセラピーの指定を受けました。

サシツズマブ ゴビテカンの薬剤概要

製品名

未定

一般名

サシツズマブゴビテカン(Sacituzumab Govitecan)

用法用量

未定

効能効果

未定(トリプルネガティブの進行再発乳癌)

主な副作用

未定(好中球減少症、下痢、貧血、嘔吐、疲労など)

製造承認日

未定

サシツズマブ ゴビテカンの作用機序

Sacituzumab

@yypharm.com

サシツズマブ ゴビテカンはトリプルネガティブ乳癌の患者に多く発現するTrop-2を標的とする抗体薬です。また、SN-38 (化学療法剤イリノテカンの活性代謝物)が抗Trop2抗体に結合されており、SN-38が抗腫瘍効果を発揮します。

サシツズマブ ゴビテカンの最新情報

1)First-in-Human Trial of a Novel Anti-Trop-2 Antibody-SN-38 Conjugate, Sacituzumab Govitecan, for the Treatment of Diverse Metastatic Solid Tumors

概要

既に治療を受けた転移性固形癌患者25人に対してサシツズマブ ゴビテカンを投与して、その安全性と忍容性を検証した試験。その結果、転移性トリプルネガティブ乳癌1名がRR(奏効率)を示し、安全性とサシツズマブ ゴビテカンに対する忍容性が確認された。

出典

Clinical Cancer Research

文献の発刊日

2015年9月1日

サシツズマブ ゴビテカンの口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

サシツズマブ ゴビテカンの治験情報

1)Study of Sacituzumab Govitecan in Refractory/Relapsed Triple-Negative Breast Cancer

治験の概要

少なくとも2レジメン以上の治療を受けた再発難治性のトリプルネガティブ乳癌患者に対してサシツズマブ ゴビテカンを単剤療法、又は主治医判断の薬剤を投与する治療方法に分けて、PFS(無増悪生存期間)を比較検証する治験。

治験の期限

2019年12月

参照
1)Immunomedics社プレスリリース
2)科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン


この記事に利益相反はありません。

人気記事