卵巣癌の新薬ルカパリブ(PARP阻害剤)の治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2017.05.13
  • [最終更新日]2017.09.30

卵巣癌の新薬ルカパリブについて

卵巣癌は女性器悪性腫瘍の中では最も予後の悪い癌です。進行卵巣癌(ステージ3、4)の5年生存率は、シスプラチンなどの登場により治療成績が向上するも、その生存率は20%台になります。

卵巣癌の予後改善を目指してシスプラチン以外にも、パクリタキセル単剤、パクリタキセルにカルボプラチンを併用したTC療法など、様々な治療方法が試されているも、治療成績を向上する標準治療の発見にはまだ難しいのが現状です。しかし、

ルカパリブ

の登場により、卵巣癌の治療成績は向上する可能性があります。なぜなら、卵巣癌の予後が悪い理由の1つに、BRCAといわれる遺伝子変異の存在があるからです。

BRCA遺伝子とはがん抑制遺伝子であり、BRCA遺伝子に変異があると卵巣癌の発症リスクが高くなると考えられています。また、BRCA遺伝子変異の患者さんは既存の化学療法に対して治療効果が良くありません。

ルカパリブはBRCA遺伝子変異がある再発難治性卵巣癌の患者さんに対して、既存の治療薬よりも有効性が高いことが証明されておりますので期待できます。

ルカパリブの薬剤概要

製品名

Rubraca

一般名

ルカパリブ(rucaparib)

用法用量

未定(ルカパリブ300mgを1日2回経口投与する)

効能効果

BRCA遺伝子変異陽性再発難治性卵巣癌

主な副作用

悪心、倦怠感、嘔吐、貧血、腹痛、味覚異常、便秘、食欲不振、下痢、血小板減少、呼吸困難

製造承認日

・2016年12月19日(アメリカ)

ルカパリブの作用機序

ルカパリブはBRCA1/2遺伝子の機能不全によりがん化した細胞に対して、PARPというDNAを修復する遺伝子を特異的に阻害することで細胞死を誘導します。

ルカパリブの最新文献

1)Rucaparib in relapsed, platinum-sensitive high-grade ovarian carcinoma (ARIEL2 Part 1): an international, multicentre, open-label, phase 2 trial.

文献の概要

プラチナ製剤に感受性の高い難治性卵巣癌患者さんに対して、ルカパリブ600mgを1日2回投与し、その有効性(PFS)を検証した第二相試験。その結果、ルカパリブはBRCA遺伝子野生患者さんよりもBRCA遺伝子変異患者さんの方が有効性が高いことが判った。

文献の出典

Lancet Oncology

文献の発刊日

2017年1月18日

ルカパリブの口コミ

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その他医療関係者のコメント

ルカパリブの治験情報

1)ARIEL4: A Study of Rucaparib Versus Chemotherapy BRCA Mutant Ovarian, Fallopian Tube, or Primary Peritoneal Cancer Patients

治験の概要

BRCA遺伝子変異陽性再発卵巣癌患者さんに対して、ルカパリブ600mgを1日2回投与する群、もしくは化学療法(シスプラチン単剤、カルボプラチン単剤、パクリタキセル単剤、カルボプラチン+パクリタキセル併用、カルボプラチン+ゲムシタビン併用など)を投与する群にわけて、その有効性(PFS)を検証する治験

治験の期限

2024年6月

参考資料

1)Clovis Oncologyプレスリリース
2)卵巣がん治療ガイドライン

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