腎細胞がん 免疫チェックポイント阻害薬アベルマブ(バベンチオ)+VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬インライタの第1相試験


  • [公開日]2016.03.24
  • [最終更新日]2017.09.12

ポイント

本試験は、未治療の進行性腎細胞がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アベルマブ(バベンチオ)とVEGFRチロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブインライタ)の併用したときの、安全性薬物動態等を評価する第1相臨床試験です。
この試験は、JAPIC-CTI上では「募集中」とありますが、Clinical trials.gov上では「not yet recuiting」とあり募集が開始されていない可能性があります。

<一般的な説明>

試験概要

本試験は、未治療の進行性腎細胞がん患者を対象として、免疫チェックポイント阻害薬アベルマブ(バベンチオ)とVEGFRチロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブ(インライタ)を併用したときの、最適用量と安全性を確認する臨床試験です。どちらの薬剤を投与されるかが分かった状態で使用します。

治験薬剤の説明

通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-L1というたんぱく質がかかわっています。アベルマブ(バベンチオ)は、その機能を無効にできると期待されています。結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。(アベルマブ)

細胞の表面には成長因子と呼ばれるタンパク質が存在し、細胞の増殖や血管新生に関わっています。このタンパク質の遺伝子変異があると、細胞はがん化し、無秩序に増殖してしまいます。アキシチニブはVEGFR-1,2,3といった成長因子の受容体を阻害するチロシンキナーゼ阻害薬です。この働きによって、がん細胞は増殖することができなくなり、抗がん作用が得られると期待されています。(アキシチニブ)

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 20歳以上の方
  2. 進行腎細胞がんと診断されている方、特に組織学的または細胞学的に淡明細胞がんを有するとされている方
  3. 腎細胞がんの原発巣(腎臓にできた腫瘍部分)切除を行った方
  4. 生検のための組織を提供可能な方
  5. RECISTという画像診断の評価基準を用いて評価可能な方
  6. ECOGパフォーマンスステータスが0-1の方

この試験の対象とならない方

  1. 過去に進行腎細胞がんに対する全身薬剤療法を行った方
  2. 過去に術前・術後補助療法を行った方(投与中または最終投与から12ヵ月以降に腫瘍の進行または再発が認められた場合は可能)
  3. 過去にIL-2、IFN-α,抗PD 1,抗PD L1,抗PD L2,抗CD137または抗細胞障害性Tリンパ球抗原4またはその他のT細胞共刺激または免疫チェックポイント経路を標的とする抗体または化合物による免疫療法を受けたことのある
  4. 過去にアキシチニブや他のVEGF経路阻害薬による治療を受けたことのある方
  5. 臨床的に重要な疾患をお持ちの方

臨床試験公開情報

JAPIC No :   JapicCTI-163140 (最終更新日2016/1/22)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02493751 (最終更新日2017/2/23)詳細はコチラ

治験概要

進行腎細胞癌患者を対象としてavelumabとアキシチニブの併用投与を検討する試験(JAVELIN Renal 100)

対象がん種 腎細胞がん
フェーズ P1
実施期間 2015年10月~2018年3月
実施国 日本、米国、イギリス
目標症例 55
状況 募集中
手法 オープンラベル
一般名:アベルマブ(商品名:バベンチオ)、一般名:アキシチニブ(商品名:インライタ)
種類 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)、マルチチロシンキナーゼ阻害薬(アキシチニブ)
投与経路 経静脈投与

<専門的な説明>

試験概要

本試験は,非盲検,多施設共同,反復投与,第1相試験であり,avelumabとアキシチニブ併用投与時のMTDを推定し,RP2Dを決定する。MTD推定後(用量設定パート)に拡大パートを開始し,安全性プロファイル,抗腫瘍活性,薬物動態,薬力学およびバイオマーカーについてさらなる検討を行う。(Japic-CTI)

治験薬剤の説明

avelumabは抗PD-L1モノクローナル抗体 (MSB0010718C)に対して申請中の国際一般名(p-INN)です。
avelumab は、現在開発中の完全ヒト型抗PD-L1 IgG1 モノクローナル抗体(fully human anti-PD-L1 IgG1 monoclonal antibody)です。PD-L1 の作用を抑制することにより、T細胞と適応免疫系を活性化すると考えられています。抗体中のFc 領域が保たれているために、avelumabは自然免疫系に働きかけ抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC) を誘発すると考えられます。
(ファイザーHPより:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2016/2016_01_15.html

キナーゼ阻害剤のINLYTAは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体1、2、3を選択的に阻害する経口薬です。血管内皮細胞増殖因子受容体1、2、3は、腫瘍増殖、血管新生、およびがんの浸潤(腫瘍伸展)に影響すると考えられています
(ファイザーHPより:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_02_01.html

注意

・本試験は第1相臨床試験です。途中で、中断して解析後に再開といったことを繰り返す可能性があります。
・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。

作成:可知 健太

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