国際肺癌学会 BRAF遺伝子変異陽性肺癌に対するBRAF阻害薬は有望の可能性


  • [公開日]2015.04.20
  • [最終更新日]2015.05.24

ESMO-IASLC(国際肺癌学会)第5回欧州肺癌学会議(ELCC2015)が4月15日から18日までスイス・ジュネーブで開催されました。

演題中、メラノーマ(悪性黒色腫)治療に多く使用されているBRAF阻害薬により、BRAF遺伝子変異を有する肺癌患者で臨床的に重要な有用性が得られる可能性が示されたと発表がありました。
*演題者:スイスLucern Cantonal HospitalのOliver Gautschi

BRAF遺伝子変異とはBRAFという遺伝子に異常をきたすことです。細胞分裂は様々なシグナルにより適切な場合に細胞分裂を行いますが、BRAF遺伝子が異常をきたすと無節操に増殖してしまいます。メラノーマ患者ではBRAF遺伝子変異が関与するとされる方が多く認めらますが、肺腺がん患者でも約2%に認められます。

研究手法はレトロスペクティブという後からデータを分析する手法です。2012年から2014年の間に、BRAF遺伝子変異が同定された肺癌患者で、BRAF阻害薬が投与された35人について分析されています。

BRAF阻害薬としてはベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ)やソラフェニブ(商品名ネクサバール)を使用されており、結果としてRECISTという基準で評価した場合の「腫瘍がある程度小さくなった方の割合は53%」、「病態がコントロールされた期間(無憎悪生存期間;PFS)は5か月」であったとのことです。また、新たな副作用は観察されず、毒性も許容範囲であったとのことです。

ただし、この研究は小規模で後から分析した試験であるため、この結果をそのまま解釈するのは危険ですが、今後、これについて更なるデータが出てくるかもしれません。

オンコロニュース担当 カチ

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