胃癌の新薬ナパブカシンの治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2017.01.04
  • [最終更新日]2017.09.30

胃癌の新薬ナパブカシンとは

癌の三大治療方法とは、手術療法、薬物療法、放射線療法です。この三大治療方法にニボルマブペムブロリズマブをはじめとした抗PD-1抗体薬を加えた癌免疫療法を足して、癌四大治療方法と呼ばれています。

これら治療方法により数多くの癌を根治できるようになりましたが、依然として治療に抵抗性を示す癌、一時は治癒したものの再発する癌の存在に人類は苦戦しております。

この苦戦の原因は、退治した癌細胞を作り出す癌幹細胞が存在するためです。癌幹細胞は自分と同じ働きを持つ細胞を作り出す自己複製能、自分とは別の細胞に変化する分化ができるため、際限なく増殖ができます。

また、既存の抗癌剤、分子標的治療薬をはじめとした薬物療法が退治する標的は癌細胞のみで、癌幹細胞はターゲットになりません。ですので、癌細胞を殺しても癌幹細胞を殺さない限りは、癌を完治したとは言い切れないのです。このような背景のなか、日本の製薬企業である大日本住友製薬が

ナパブカシン

という癌細胞も癌幹細胞も標的にして殺傷できる経口分子標的治療薬を開発しております。ナパブカシンはSTAT3と呼ばれる、細胞を癌化させる働きを持つタンパク質を標的にする薬剤です。

その効果はプラセボと比較しても変わらないという結果が出ているため期待値は低いのですが、その判断は時期尚早です。

なぜなら、ナパブカシンを投与する目的は癌幹細胞を殺すことで再発、治療抵抗性を避けることだからです。つまり、癌細胞を殺す役割は抗癌剤、分子標的治療薬、抗PD-1抗体薬などの他の薬に任せ、ナパブカシンの役割は癌細胞を蘇らせない、薬の攻撃を防がせないことだからです。

ナパブカシンの薬剤概要

製品名

未定

一般名

ナパブカシン(napabucasin)

用法用量

未定(1日240mgもしくは480 mgを2回経口投与)

効能効果

未定(再発進行性の胃癌)

主な副作用

下痢、吐き気、食欲不振

製造承認日

2018年アメリカ、日本申請予定

ナパブカシンの作用機序

ナパブカシンはSTAT3 をターゲットとし、がん幹細胞の維持に重要な遺伝子を阻害します

ナパブカシンの最新文献

なし

ナパブカシンの口コミ

その他医療関係者のコメント

ナパブカシンの治験情報

1)A Study of BBI608 Plus Weekly Paclitaxel to Treat Gastric and Gastro-Esophageal Junction Cancer

治験の概要

ステージ4胃癌の二次治療として、ナパブカシンとパクリタキセル週1回法を併用投与する群と、パクリタキセル週1回法を単独投与する群とでOS(全生存期間)を比較検証する治験。治験に参加する患者には一次治療としてプラチナ製剤とフルオロウラシルの併用投与がされている。

治験の期限

2017年8月(患者登録は既に完了)

参考資料

1)胃癌治療ガイドライン
2)大日本住友製薬プレスリリース


胃癌治療ガイドライン

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