非小細胞肺がんの新薬ナパブカシンとは
がんの三大治療方法とは、手術療法、薬物療法、放射線療法です。この三大治療方法にオプジーボ(ニボルマブ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)をはじめとした抗PD-1抗体薬などのがん免疫療法が加わり、現在はがんの四大治療方法と呼ばれています。 これら治療方法の開発により数多くのがんが根治できるようになりましたが、依然として治療に抵抗性を示すがん、一時的に治癒を示すも再発するがんと人類は闘っています。がんが抵抗性を示したり、再発したりする理由はがん細胞を作り出す がん幹細胞 が存在するためです。がん幹細胞は自分と同じ働きを持つ細胞を作り出す自己複製能、自分とは別の細胞に変化する分化が可能なために際限なく増殖ができます。 また、既存の抗がん剤、分子標的治療薬をはじめとした薬物療法が退治する標的はがん細胞のみで、がん幹細胞はターゲットではありません。ですので、がん細胞を殺してもがん幹細胞を殺さない限りは、がんを完治したとは言い切れないのです。このような背景のなか、日本の製薬企業である大日本住友製薬が ナパブカシン というがん細胞もがん幹細胞も標的にして殺傷できる経口の分子標的治療薬を開発しております。ナパブカシンはSTAT3と呼ばれる、細胞をがん化させる働きを持つタンパク質を標的にする薬剤です。 その効果は単剤ですとプラセボと比較しても変わらないという結果が出ているため期待値は低いのですが、その判断は時期尚早です。なぜなら、ナパブカシンを投与する目的はがん幹細胞を殺すことで再発、治療抵抗性を避けることだからです。つまり、がん細胞を退治する役割は抗がん剤、分子標的治療薬、抗PD-1抗体薬などの強力な薬に任せ、ナパブカシンの役割はがん幹細胞を退治することだからです。ナパブカシンの薬剤概要
製品名
未定一般名
ナパブカシン(napabucasin)用法用量
未定(1日240mgもしくは480 mgを2回経口投与)効能効果
未定(再発進行性の非小細胞肺がん)主な副作用
未定(下痢、吐き気、食欲不振)製造承認日
未定ナパブカシンの作用機序
ナパブカシンはSTAT3 を標的にし、がん幹細胞の維持に重要な遺伝子を阻害しますナパブカシンの最新情報
1)Napabucasin: An Update on the First-in-Class Cancer Stemness Inhibitor
概要
がん幹細胞は腫瘍増殖、転移、および従来の療法に対する耐性の主な原因であると考えられ、がん再発の原因となります。そのため、がん幹細胞の働きを抑える必要があります。STAT3はがん幹細胞のシグナル伝達、転写を促進するたんぱく質ですので、STAT3の働きを抑制するナパブカシンはがん再発の危険性を低下させる可能性があると考えられます。出典
Drugs配信日
2017年6月1日ナパブカシンの口コミ
その他医療関係者のコメント
大日本住友、がん幹細胞治療の新薬 17年度に日米で発売 :日本経済新聞 https://t.co/K7JDgQZi0D 開発中の新薬は「ナパブカシン」。がん幹細胞は新たながん細胞を生み出したり、他の臓器・組織に転移したりする。従来の抗がん剤や放射線…
— gorinotsukudani (@gorinotsukudani) 2016年9月26日
#lungcancer trials: A Study of Napabucasin BBI608 Plus Weekly Paclitaxel Versus Weekly Paclitaxel Alone in Pati... https://t.co/4fL4XzLmti
— Lung Cancer News (@LungCancer_Bio) 2016年7月8日
#lungcancer trials: A Study of Napabucasin BBI608 in Combination With FOLFIRI With or Without Bevacizumab in Ad... https://t.co/YmfEti0UJc
— Lung Cancer News (@LungCancer_Bio) 2016年4月28日