<一般的な説明>
試験概要
この試験では、進行肺がん患者の初回治療として、免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボとヤーボイの効果を検証する第3相試験です。以下の4種類の治療方法のがんの進行を抑える期間と生存期間を比較する試験となります。なお、被験者はどの治療方法を使用するかはわかるようになっています。
①ニボルマブ(オプジーボ)
②ニボルマブ(オプジーボ)+イピリムマブ(ヤーボイ)
③ニボルマブ(オプジーボ)+カルボプラチン(パラプラチン)orシスプラチン(ブリブラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)orゲムシタビン(ジェムザール)
④カルボプラチン(パラプラチン)orシスプラチン(ブリブラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)orゲムシタビン(ジェムザール)
治験薬剤の説明
通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-1やCTLA-4というタンパク質がかかわっています。PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)やCTLA4抗体イピリムマブ(ヤーボイ)はその機能を無効にできると期待されており、その結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。
この試験の対象となりうる方
- 18歳以上の方
- ステージ4又は再発非小細胞肺がんと診断された方
- 薬剤療法を実施していない方
- スクリーニング期間中にPD-L1の免疫組織化学検査を受けることのできる方
- RECIST 1.1による測定可能病変を有する方
- パフォーマンスステータス が0又は1の方
この試験の対象とならない方
- 未治療の中枢神経系転移がある方
- 自己免疫疾患の疑いがある方
- HIVに感染している方
An Open-Label, Trial of Nivolumab and Nivolumab Plus Ipilimumab Versus Platinum Doublet Chemotherapy in Subjects With Stage IV Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC) (CheckMate 227)(ステージⅣ期の非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ及びプラチナ製剤併用化学療法のオープンラベル比較試験)
対象がん種 |
非小細胞肺がん |
フェーズ |
P3 |
実施期間 |
2015年8月~2017年5月 |
実施国 |
日本、米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、コロンビア、チェコ、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、韓国、オランダ、ペルー、ルーマニア、ロシア、スイス、トルコ、イギリス |
目標症例 |
1980 |
状況 |
募集中 |
手法 |
ランダム化、オープンラベル |
被験薬名 |
①ONO-4538/BMS-936558一般名:ニボルマブ、 商品名:オプジーボ)、②-一般名:イピリムマブ、 商品名:ヤーボイ) |
種類 |
免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ;抗PD-1抗体、イピリムマブ;抗CTLA4抗体) |
投与経路 |
静脈内投与 |
<専門的な説明>
試験概要
The purpose of this study is to show that Nivolumab or Nivolumab plus ipilimumab, improves progression free survival and/or overall survival compared with chemotherapy in subjects advanced lung cancer.
治験薬剤の説明
ニボルマブは完全ヒト型抗 PD-1 抗体です。PD-1 は、リンパ球の表面にある受容体の一種で、生体において活性化したリンパ球を抑制するシステム(負のシグナル)に関与しています。がん細胞は、このシステムを利用して免疫反応から逃れているという研究成績が報告されています。ニボルマブは、リンパ球を抑制するPD-1 の働き(PD-1 と結合するPD-L1 およびPD-L2 との相互作用)を抑制することで、がん細胞を異物と認識してこれを排除する免疫反応を増進することにより有効性が期待されている薬剤です。
(小野薬品HPより:
http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n13_1224.pdf)
イピリムマブは、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社ががん治療の目的で開発しているヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体であり、CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬です。イピリムマブは、T細胞の活性化を抑制する調節因子である細胞傷害性Tリンパ球抗原-4 (CTLA-4) の働きを阻害することで、免疫応答をコントロールし、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促進させ、腫瘍増殖を抑制します。
(ブリストルマイヤーズHPより:
http://www.bms.co.jp/press/20140919.html)
がん細胞は、チェックポイント経路などの「制御」経路を悪用して免疫系から身を隠し、腫瘍が免疫から攻撃されないようにします。オプジーボと Yervoy は、別々の、異なるチェックポイント経路を標的とするモノクロナール抗体の免疫チェックポイント阻害薬です。異なる免疫チェックポイント経路を阻害することにより、どちらの阻害薬を単剤で使用した場合よりもT 細胞の機能を高めることができます。
(小野薬品HPより:
https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n15_0422.pdf)
臨床試験公開情報
JAPIC No : -
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02477826 (最終更新日2016/2/10)詳細は
コチラ
注意
・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。
初回作成:川村 千恵(最終更新:可知 健太)