目次
1. はじめに
この臨床試験は、画像上診断困難な胸膜播種IVA期非小細胞肺癌に対する原発巣切除の多施設共同第 III 相臨床試験* (JCOG2103: DEBULK-LUNG試験) です。 CTなど画像では判然としない微小な胸膜播種のある肺がん患者さんを対象としています。この臨床試験への参加が、あなたの治療選択肢のひとつになるかもしれません。 なお、臨床試験への参加にはメリット、デメリットがありますので、主治医の先生とご相談していただき、ご納得の上でご参加ください。 *臨床試験:患者さんに参加・協力していただいて治療法や診断法の有効性や安全性を調べる研究のことをいいます。現在行われている多くの治療法や診断法も、国内および海外で行われた臨床試験によって進歩してきました。この臨床試験は、新しい薬(未承認薬)の厚生労働省による承認を得るために、主に製薬企業が主体となって行う「治験」とは異なり、研究者(医師)が主体となって行う研究者主導臨床試験であり、JCOG(ジェイコグ)という多施設共同臨床試験グループにより行われます。2. この臨床試験の対象となる患者さん
• 年齢が18歳以上の方 • 非小細胞肺がんと診断されている方 • 画像では判然としない微小な胸膜播種が、胸腔鏡や手術で確認された方 • 以前に肺がんに対する治療が行われていない方 • 全身状態が良好(歩行や軽度の家事が可能等)で、骨髄や肝臓、腎臓などの機能が保たれている方 この他にも細かな条件があります。3. この臨床試験の意義
胸膜播種とは、肺を包む胸膜にがん細胞が散らばって存在している状態です。種をまくように広がることから「播種」と呼ばれ、手術では完全に取りきることができません。胸膜播種を伴う非小細胞肺がんに対する治療には、がん細胞の種類や性質に合わせてお薬を用いる治療法(薬物治療)が行われます。 胸膜播種を有する肺がん患者さんでは、薬物治療が効いたと思われても治療後に悪化(増悪)することが少なくありません。最初の増悪の9割は治療開始後2年以内に発生するとされますが、播種がCTなどの画像で判然としない微小な胸膜播種であった患者さんでは、増悪の場所として、原発巣を含む「局所増悪」が多く認められています。近年の新しい薬剤(分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬)の登場により、増悪は減る傾向にはありますが、薬剤に対する耐性(抵抗性)をもった原発巣の増悪が増加することが懸念されています。そのため、標準治療である薬物療法に加え、放射線治療や手術を組み合わせて、原発巣への治療を行うことが検討されています。今回私たちは、最も強力な局所療法である「手術」による原発巣の切除を加えることを検討することとしました。 手術で原発巣を取り除くことは、体内のがん細胞の量(腫瘍量)を減らすことに加え、がん細胞に起因する新たな胸膜播種、悪性胸水、遠隔転移の抑制に効果がある可能性があります。その結果として、薬物療法単独と比較してより長生きできるようになることが期待されます。その一方で、手術により合併症が生じる危険性や、その後に行う薬物療法開始が遅れるというデメリットもありえます。また、手術を行うことで、その後の薬物療法で生じる副作用が強くなる可能性もありえます。これらの2つの治療法について、効果、体にかかる負担、医療費などを含めて、治療の長所や短所を総合的に比較したことがないため、標準的薬物療法を継続する治療法と、標準的薬物療法に手術を組み合わせる治療法のどちらが優れているのか、それとも同じくらいなのかはかは、わかっていません。そこで今回、JCOGの肺がん外科グループと肺がん内科グループではこれら2つの治療を比較し、「標準的薬物療法+手術+標準的薬物療法」の有用性を確かめるための臨床試験を計画しました。4. この臨床試験の治療法について
この臨床試験では、まず12週間(約3か月間)標準的薬物療法1(診療ガイドラインで示されている、現時点で最も良いと考えられる薬物療法)を受けていただいた後に、二次登録を行い、A 群 「標準的薬物療法を継続」かB群「標準的薬物療法と手術」のいずれかの治療を受けていただきます。 A群とB群のどちらの治療を受けていただくかは「ランダム」に(五分五分の確率で)決まります。あなたや担当医が治療法を選ぶと、その意思が影響して比べたい治療法の患者さんの特徴に偏りが生じてしまい、正しい臨床試験の結果を得ることができません。この方法は、どちらがよいかわかっていない治療法を比べるには最もよい方法と考えられており、世界中の臨床試験で採用されています。
4.1. 標準的薬物療法2:A 群・B 群共通
標準的薬物療法1と同じ治療を、効果が持続している間行います。4.2. 手術:B 群のみ
二次登録後42日以内に手術を行います。手術では、肺がんの原発巣を切除し、場合によって周りのリンパ節や胸膜播種も切除します。 肺の切除方法にはいくつか種類がありますが、この臨床試験では、肺の切除範囲が小さい③区域切除または④楔状切除(部分切除)で行うことを予定しています。 一方、③④の方法では原発巣がとり切れないと判断された場合や、手術中にリンパ節にがんの転移を認めた場合には②肺葉切除に変更することがあります。どの切除方法となるかは手術中に決定します。 この臨床試験には170人の方にご協力いただく予定で、研究期間は2034年頃までの予定です。
5. 実施医療機関および窓口の診療科(2026年3月17日現在)
全国各地に実施医療機関があります。| 医療機関名 | 窓口の診療科 |
|---|---|
| 国立病院機構旭川医療センター | 呼吸器内科 |
| 国立病院機構北海道がんセンター | 呼吸器内科 |
| 北海道大学病院 | 呼吸器内科 |
| 国立病院機構仙台医療センター | 呼吸器外科 |
| 東北大学病院 | 呼吸器外科 |
| 宮城県立がんセンター | 呼吸器内科 |
| 仙台厚生病院 | 呼吸器内科 |
| 秋田厚生医療センター | 呼吸器内科 |
| 山形県立中央病院 | 呼吸器外科 |
| 山形大学医学部附属病院 | 第二外科(呼吸器外科) |
| 茨城県立中央病院 | 呼吸器外科 |
| 栃木県立がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 獨協医科大学病院 | 呼吸器・アレルギー内科 |
| 群馬県立がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 埼玉県立がんセンター | 呼吸器内科 |
| 国立がん研究センター東病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 千葉県がんセンター | 呼吸器外科 |
| 千葉大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 船橋市立医療センター | 呼吸器内科 |
| 国立がん研究センター中央病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 杏林大学医学部付属病院 | 呼吸器・甲状腺外科 |
| 東京医科大学病院 | 呼吸器外科 |
| 東京都立駒込病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 国立国際医療研究センター病院 | 呼吸器内科 |
| 慶應義塾大学病院 | 呼吸器外科 |
| 昭和医科大学病院 | 腫瘍内科 |
| 東京慈恵会医科大学附属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| がん研究会有明病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 東京大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 順天堂大学医学部附属順天堂医院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 東邦大学医療センター大森病院 | 呼吸器内科 |
| 日本医科大学付属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 聖マリアンナ医科大学病院 | 呼吸器外科 |
| 神奈川県立がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 横浜市立市民病院 | 呼吸器内科 |
| 北里大学病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 新潟県立がんセンター新潟病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 金沢大学附属病院 | 呼吸器外科 |
| 信州大学医学部附属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 岐阜大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 静岡県立静岡がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 愛知県がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 名古屋大学医学部附属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 藤田医科大学病院 | 呼吸器内科 |
| 三重大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 京都大学医学部附属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 大阪大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 大阪公立大学医学部附属病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 近畿大学病院 | 腫瘍内科、呼吸器外科 |
| 大阪国際がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 大阪市立総合医療センター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 関西医科大学附属病院 | 呼吸器腫瘍内科、呼吸器外科 |
| 神戸大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |
| 兵庫医科大学病院 | 呼吸器内科 |
| 市立伊丹病院 | 呼吸器内科 |
| 和歌山県立医科大学附属病院 | 呼吸器内科/腫瘍内科 |
| 倉敷中央病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 岡山大学病院 | 呼吸器外科 |
| 岡山赤十字病院 | 呼吸器内科 |
| 国立病院機構呉医療センター | 呼吸器外科 |
| 広島大学病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 広島市立広島市民病院 | 呼吸器外科 |
| 国立病院機構山口宇部医療センター | 呼吸器内科 |
| 国立病院機構四国がんセンター | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 国立病院機構九州がんセンター | 呼吸器腫瘍科 |
| 国立病院機構九州医療センター | 呼吸器内科 |
| 久留米大学病院 | 呼吸器病センター |
| 産業医科大学病院 | 呼吸器・胸部外科 |
| 九州大学病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 長崎大学病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 熊本大学病院 | 呼吸器内科、呼吸器外科 |
| 大分大学医学部附属病院 | 呼吸器外科 |




