悪性黒色腫(メラノーマ)の新薬エパカドスタットについて
免疫療法の一種である抗PD-1、PD-L1抗体薬のオプジーボ(ニボルマブ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の登場により癌の治療成績は劇的に向上しました。
しかし、未だに約3分の2の癌患者には抗PD-1、PD-L1抗体薬に効果を示さないことが分かっています。
なぜなら、免疫応答を停止させる働きはPD-1/PD-L1経路以外にもあるからです。そのため、2017年6月に開催されたASCO(米国癌治療会議)でも注目の的は抗PD-1、PD-L1抗体薬とどんな治療方法を組み合わせるか?でした。
https://twitter.com/drtclay/status/870703937791246339
抗癌剤、放射線療法、抗EGFR治療薬、ALK阻害薬、HDAC阻害薬など、その組み合わせパターンはゆうに20通りを越えます。この複数あるある組み合わせの中で注目を集めたのがIDOと呼ばれる酵素を阻害する
エパカドスタット
です。IDOは免疫応答を抑制することで体に有害な炎症を抑える反面、癌に対する免疫応答も同時に停止させる働きをする酵素です。
この酵素を阻害する選択的IDO1酵素阻害薬であるエパカドスタットは、抗PD-1、PD-L1抗体薬と組み合わせることで単独療法よりも高い有効性が示すことが期待されています。
現に、進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者60人に併用療法を投与した結果、31人に抗腫瘍効果の確認がされています。
エパカドスタットの薬剤概要
製品名
未定
一般名
エパカドスタット(Epacadostat)
用法用量
未定(エパカドスタットとして100mgを1日2回経口投与する)
効能効果
未定(再発難治生の悪性黒色腫(メラノーマ))
主な副作用
未定(疲労、発疹、下痢、悪心など)
製造承認日
未定
エパカドスタットの作用機序
エパカドスタットはIDO1酵素を選択的に阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する免疫応答を回復させます。IDO1酵素は免疫応答を調整する免疫抑制酵素であり、制御性T細胞の発生を促進し、エフェクターT細胞の活性化を阻害することで癌細胞の免疫監視を回避させます。
エパカドスタットの最新文献
1)Next-generation cancer drugs boost immunotherapy responses
文献の概要
抗PD-1、PD-L1抗体薬の登場により癌の治療成績が向上しました。しかし、免疫応答を停止させる働きはPD-1/PD-L1経路以外にもあり、その一つがIDOと呼ばれるタンパク質です。IDOは免疫応答を抑制することで体に有害な炎症を抑える反面、癌に対する免疫応答も同時に停止させる働きをする酵素ですので、この酵素を阻害する選択的IDO1酵素阻害薬であるエパカドスタットは、抗PD-1、PD-L1抗体薬と組み合わせることで単独療法よりも高い有効性が期待されています。
文献の出典
Nature
文献の発刊日
2017年6月2日
エパカドスタットの口コミ
医師のコメント
https://twitter.com/Tony_Calles/status/871811594493329408
その他医療関係者のコメント
https://twitter.com/silex_transl/status/871896258176307202
エパカドスタットの治験情報
1)A Phase 3 Study of Pembrolizumab + Epacadostat or Placebo in Subjects With Unresectable or Metastatic Melanoma (Keynote-252 / ECHO-301)
治験の概要
切除不能進行悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対してペムブロリズマブ+エパカドスタット併用療法、又はペムブロリズマブ+プラセボ併用療法を投与し、その
OS(全生存期間) と
PFS(無増悪生存期間)を比較検証する治験
治験の期限
2018年3月
参照
1)Incyte Corporationプレスリリース
2)科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン