オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています!
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質問
「高額療養費制度の見直し(2026年8月〜)で新設される『年間上限額』をどのくらいご存じですか?」
結果・解説

2026年8月から実施される高額療養費制度の改正(見直し)。「医療費の自己負担が増える」というニュースを見て不安を感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、今回の改正には、長期療養者の負担を軽減するための重要な仕組みが盛り込まれています。それが、新たに設けられる「年間上限額(年間上限)」です。
これまでの制度ではカバーしきれなかった「毎月の医療費は高額療養費の上限に届かないけれど、年間の負担を合計すると非常に高額になる」というがん患者さんの声に応える形で導入されます。オンコロ・ワンクエスチョン内で「高額療養費制度改正」について取り上げる2回目の本記事では、この「年間上限額」にスポットを当て、仕組みや具体的な影響、知っておくべき注意点を分かりやすく解説します。
前回の記事:
オンコロ・ワンクエスチョンvol133「『2026年8月からの高額療養費制度改正』どのくらい知っていますか?」
「年間上限額」新設の背景
これまでの高額療養費制度は、原則として「1か月単位」で医療費を計算し、限度額を超えた分が払い戻される仕組みでした。しかし、近年の抗がん剤治療や分子標的薬治療、定期的な精密検査などは、入院ではなく「通院」で行われることが多くなっています。そのため、以下のようなケースでは、年間の医療費負担が大きくなることがありました。
【これまでの問題点】
1か月の自己負担(3割)が毎月約5万〜7万円かかる通院治療を1年間継続していた場合、毎月の自己負担額が月額の自己負担限度額を下回るため、高額療養費の対象にならず、年間で約60万〜80万円を全額自己負担していた。
このような「月ごとの限度額にはわずかに届かないものの、高額な医療費が1年中続く」患者さんの負担を減らすため、1年間の自己負担の合計に“天井”を設ける「年間上限額」が導入されます。
年間上限額の一覧(所得区分別)
2026年8月以降、高額療養費の算定対象となる自己負担額を8月~翌年7月までの1年間で合算し、年間上限額を超えた分が、後日還付(払い戻し)されるようになります。
| 所得区分 |
年収の目安 |
2026年8月以降の「年間上限額」 |
| 区分ア |
約1,160万円〜 |
168万円 |
| 区分イ |
約770万〜1,160万円 |
111万円 |
| 区分ウ |
約370万〜770万円 |
53万円 |
| 区分エ |
〜約370万円 |
53万円 |
| 区分オ |
住民税非課税世帯 |
29万円 |
※上記は70歳未満の基準です。70歳以上の方には、年齢や所得区分に応じて別途上限額が設定されています。
※年収約200万円未満の課税世帯(標準報酬月額15万円以下が目安)については、2027年8月以降、年間上限41万円が適用される予定です。
【事例で比較】これまでと何が変わる?
毎月6万5,000円の自己負担(通院での抗がん剤治療など)が1年間(12か月)続いたケースで比べてみましょう。
【70歳未満/区分ウ(年収の目安:約370万~770万円)の方のケース】
※毎月、同一の医療機関等で保険診療分として6万5,000円を支払っているケース
■ 改正前(2026年7月まで)
・毎月の負担額(6.5万円)は、改正前の月額上限を下回るため、高額療養費は適用外。
・年間自己負担額:78万円(全額自己負担)
■ 改正後(2026年8月以降):
・年間の負担合計が78万円となり、年間上限額の「53万円」を超えます。上限額からオーバーした25万円が後日還付されます。
・実質的な年間自己負担額:53万円(年間25万円の負担軽減)
このように、通院治療が長引いているがん患者さんにとって、年間上限額の新設は大きな安心につながる改正となります。
4つの注意点・ルール
制度を正しく利用するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
ポイント①:集計期間は「8月1日〜翌年7月31日」
カレンダーどおりの「1月〜12月」ではなく、毎年8月〜翌年7月までの1年間で医療費が集計されます。
ポイント②:窓口での支払いではなく「後日払い戻し(償還払い)」が基本
月額上限については、マイナ保険証等によって窓口での支払いを上限額までに抑えられる場合があります。一方、年間上限は、一度窓口で支払った後に保険者からオーバーした分が口座に振り込まれる形(償還払い)になります。
ポイント③:「21,000円の壁」に注意(70歳未満)
70歳未満の方の医療費合算には「同じ月に、医療機関等ごとに支払った自己負担額について、一定の区分で21,000円以上となったもの」でなければ合算対象にならないルールがあります。少額の処方や受診分は年間の集計に含まれない場合があります。
ポイント④:対象外の費用がある
差額ベッド代、先進医療費、病院での食事代、通院交通費などは、高額療養費制度(年間上限含む)の対象外(全額自己負担)です。
最後に:今後のスケジュールと相談窓口
今回の高額療養費制度の改正は2段階で行われます。
第1段階(2026年8月〜): 月額上限の引き上げとともに、「年間上限額」がスタートします。
・月額上限の見直し
・年間上限の新設(168万円、111万円、53万円、29万円など ※所得区分による)
第2段階(2027年8月〜): 所得区分がさらに細分化され、所得に応じて月額上限がより細かく設定されます。
・所得区分のさらなる細分化
・月額上限のさらなる見直し
・年収約200万円未満の課税世帯について年間上限41万円を適用
・多数回該当の金額も一部見直し
「自分の所得区分だと年間上限額はいくらになる?」「申請の手続きはどうすればいい?」など疑問がある場合は、一人で悩まずに以下へご相談ください。
・加入している公的医療保険の窓口(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険課など)
・かかりつけ病院の「がん相談支援センター」または「医療相談室(ソーシャルワーカー)」
※医療費のやりくりや使える制度について、無料で専門のソーシャルワーカーに相談できます。
出典・参考資料
・厚生労働省「
高額療養費制度の見直しについて(リーフレット)」
・厚生労働省「
高額療養費制度に関する参考資料」
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