(文:濱崎 晋輔)

2018年3月17日~18日に、日本臨床腫瘍薬学会 学術大会2018が開催されました。
日本臨床腫瘍薬学会は、薬剤師を中心としてがん薬物療法にかかわる方々が集まり、最新のがん治療を学ぶ大規模な学会です。
がん情報サイト「オンコロ」もブース出展をさせていただけることになり、取材もかねて参加をしてまいりました。
2日間にわたり、様々ながんに関する講演が行われ、演者と聴講者の真摯な姿に私もとても刺激を受けました。

すべての内容をお伝えすることはできないのですが、このレポートでは、私自身が最も聞いてみたいと思えた『オンコロ』と関係性の高い『治験』についての講演について報告したいなと思います。

講演名

シンポジウム6 『承認前から関わるがん薬物療法』
座長(兼演者):酒井隆浩(国立がん研究センター東病院) 玉木慎也(北海道がんセンター)

※座長である酒井先生は、先日オンコロで取り上げた治験に関する治験コーディネーター(CRC)への取材でも協力をいただいた先生です。
記事リンク:治験特集『国立がん研究センター東病院の治験実施体制』 VOL.1 治験コーディネーターのお仕事

このシンポジウムでは、治験の業務に携わる、薬剤師、医師、看護師の立場から、経験に基づいたお話を聞くことが出来ました。

演題・演者一覧

S6-1
治験におけるチーム医療に向けて-CRCの立場から-
国立がん研究センター東病院 臨床研究コーディネーター室
酒井 隆浩 先生
S6-2
承認前からかかわるがん薬物療法~早期開発に関わる医師の立場から
国立がん研究センター東病院 消化管内科
設楽 紘平 先生
S6-3
治験患者に対する病棟看護師としての関わり
がん研究会有明病院 消化器内科病棟
中岩 優美子 先生
S6-4
治験、臨床試験における薬剤師のかかわり
神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部
平畠 正樹 先生

全体を通して

まず、すべての先生のお話に共通してのことですが、治験実施病院においては、承認の前段階である治験薬を取り扱うため、治験に関わる医療従事者が経験を積めるという点があることを理解できました。
治験の実施中に培った経験は、薬が承認された後の、より多くの患者さんへの使用の際に役立ちます。
例えば、薬を使う上で最も気を付けなければならない副作用について、より迅速に対応できたり、未然に防ぐことができるなどがあります。
特に薬剤師においては薬を取り扱うスペシャリストですから、治験に関わることでより経験が生かされるように思いました。

各演題について

S6-1
治験コーディネーター(CRC)である酒井先生のお話の中では、CRCと薬剤師との連携について触れる場面がありましたが、プロトコルディスカッションはあるものの、患者さんのことで相談する機会はなかなかないとのことでした。CRC側には、薬について薬剤師に相談してよいものなのだろうか、という感じがある可能性があるということで、連携を深めるためには薬剤師からも歩み寄りをしていくべきとのことでした。また、所属病院における院内CRCのうち薬剤師資格をもつCRCは30人中5名と少ないようで、CRCとしての経験を、薬剤師の立場として生かすことのできる、貴重な存在であると思いました。

S6-2
医師である設楽先生からは、治験に参加したことで劇的な回復を見せた患者さんのお話がありました。一方で、予期せぬ副作用が出てしまうのも治験であり、一長一短があることを私自身再認識しました。これは治験を案内する立場であるオンコロはしっかり患者さんにお伝えしなければいけないことだと思いました。

S6-3
看護師である中岩先生は、昨年約560名もの患者さんが治験に参加する環境下においての、看護師と治験参加患者さんの関わり合いについて話がありました。役割としては、1、インフォームド・コンセントの支援 2、治験薬の投与 3、有害事象の観察、報告・記録 4、副作用マネジメント 5、心理的支援と多岐にわたることがわかりました。特に5、心理的支援については患者さんとの距離が近いことから、患者さんの代弁者となることもあるようで、とても大切な役割に思えました。

S6-4
薬剤師である平畠先生は、治験への関わり合いについて、新規試験の事前相談⇒試験開始前⇒試験中⇒試験終了後と段階的に説明してくださりました。市販後に薬剤特性や副作用対策を理解した薬剤師により服薬指導ができることや、新薬ゆえに希釈液が多かったり、1回目2回目で異なるなど、複雑なケースにも慣れがあることでスムーズな調製ができるという経験が生かせる場面があることでした。印象的だったのが、CRCは承認前までの役割だが、薬剤師などは市販後にその経験を生かすことが出来るという点でした。

終わりに

最後に感想について少しだけ話をさせてください。
私は、治験について、新しい薬を世に出すことが目的であると思っておりました。しかし、その目的に加えて、治験は医療従事者にとっての経験の場となり、医療の質の向上に繋がっているのだとわかりました。
そして何よりも大切なこととして認識している、参加してくださる患者さんの存在。

治験とは、医師、看護師、薬剤師、CRC、そして患者さんが一員となって新しい医療を作り、医療を進歩させていく場なのだと理解しました。

製薬企業、CRO、SMOもこの一員です。
そして、オンコロも治験を世の中に広く知ってもらうという役目を持つことで、この一員に加わることができるよう頑張りたいと思います。
私にとって日本臨床腫瘍薬学会 学術大会はさらなる頑張る活力を与えてくれる貴重な場でありました。

取材・参加を承認いただいた日本臨床腫瘍薬学会関係者様に御礼申し上げます。

 

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