8月5日、米Bristol-Myers Squibb社が、進行非小細胞肺がん患者の初回治療に関して、オプジーボ単剤療法がプラチナ系製剤をベースにした標準療法に対して無増悪生存期間に関して有効性を示せなかった旨を発表しました。そして、8月8日、3日遅れで小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社からプレスリリースが発出されています。

オンコロでも、ジャパンキャンサーフォーラム(JCF)の開催期間中の8月6日に記事にしましたが、JCFで肺がん治療の免疫チェックポイント阻害薬関連のお話しで登壇された北里大学病院の佐々木先生は、発表時間ぎりぎりでスライドに追加していました。

参考:衝撃な結果 非小細胞肺がん初回治療においてオプジーボが無増悪生存期間延長示せず

さて、今回、通常の医療情報とは異なった拡散がありました。

海外の製薬企業の発出情報については、その時点ではどこのメディアも掲載せず、日本支社がプレスリリースされた際に専門誌が取り上げるのが通常だと思います(一般紙は特に取り上げません)。

しかしながら、今回は小野薬品工業等からプレスリリースされる前に拡散が起こりました。

経済紙が取り上げたのです。

米Bristol-Myers Squibb社の株価が16%程度下がり、同じPD-1抗体であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)持つ米Merck社の株価は10%程度上昇したとの報道もありました。

そして、日本では、8月8日(月)、前週末比700円ストップ安水準の2881円まで切り下げ、年初来安値を更新しました。

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株の話はこのような感じですね。

そして、翌8月9日、小野薬品から以下のようなプレスリリースが発出されています。

本試験結果によるオプジーボの現在の承認取得内容、臨床試験等に対する影響は以下のとおりです。
・CheckMate-026 試験結果は、現在日本で承認取得しております、根治切除不能な悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者さんへの使用に与える影響はありません。
・CheckMate-026 試験結果は、現在日本で承認申請中の腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がんの承認審査に与える影響はありません。
・CheckMate-026 試験結果は、現在日本で実施中の胃がん、食道がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん等の臨床試験に対する影響はなく、臨床試験は継続されます。
・未治療の非小細胞肺がんを対象としたオプジーボ単剤、オプジーボとヤーボイとの併用療法およびオプジーボと化学療法の併用療法の可能性を探索するCheckMate-227 試験(国際共同治験)は継続されます。
https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n16_0809.pdf
※全文抜粋

上記、株価下げを止めたかったのか、患者等からの問い合わせが殺到したのかは知る由もありませんが、特に肺がん患者さんの中には混乱された方も多くいらっしゃったのではないでしょうか?

事実、オンコロにもそういった旨の問い合わせが数件ありました。

「すごい効果があると聞いたのに、効かないってどういうこと?」という感じですね。

実は、米Bristol-Myers Squibb社は「効かない」とはしていないのです。ただ、「主要評価項目である無増悪生存期間を達成せず」としか言っておりません。

どういう意味かというと、「非小細胞肺がんの初回治療において、オプジーボ単剤療法は標準療法を比較した場合、主目的として設定した病態が進行するまでの期間の統計学的に期間の延長が認められなかった」ということです。

詳細データは、今後公開されるため不明ですが、「効かない」とはされていないことを知っておく必要はあると思います。

治験結果は「ネガティブ」ではありますが、今後、生存期間についてのデータはが示されてくるでしょうし、「効かなかった」訳ではないことを理解する必要があるのだと思います。

なお、小野薬品工業のプレスリリースにもあるように2次治療においてのオプジーボのエビデンスは確固たるものだと思っております。

たまたま、該当の小野薬品工業のプレスリリースを読んだことから、患者からオンコロへの問い合わせを思い出し、メディアが誇張して伝えるのはよくないと思いました。

被害があるのは患者ですね。。。オンコロも「衝撃な結果 非小細胞肺がん初回治療においてオプジーボが無増悪生存期間延長示せず」というタイトルで、少し誇張してしまったと反省します。

記事:可知 健太
ワード:オプジーボ キートルーダ キイトルーダ


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