動画タイトル:【患者さんの目線で】西尾 真 先生に聞く!卵巣がんの治療 OOS夜間学校 #76
講師:西尾 真 先生(久留米大学病院 産科婦人科)
患者代表:卵巣がん体験者の会スマイリー代表 片木 美穂 様
ライブ配信:2024年5月10日/編集動画公開:2025年5月17日
※この記事はセミナー動画「【患者さんの目線で】西尾 真 先生に聞く!卵巣がんの治療 OOS夜間学校 #76」をもとに作成されています。治療法やその開発段階については、セミナー実施時点のものであることにご留意ください。
卵巣がんの現状と標準治療
卵巣がんは初期症状に乏しく「サイレントキラー」と呼ばれ、半数以上が進行がん(III期以上)で見つかります。基本治療は手術による完全切除と、パクリタキセル+カルボプラチン(TC療法)等の薬物療法です。 日本人の特徴として、欧米人に比べ、抗がん剤が効きにくい「明細胞がん」の割合が高い点が挙げられます。
予後を劇的に変えた「維持療法」と遺伝子検査
近年、初回治療後の「維持療法」としてPARP阻害薬(オラパリブ、ニラパリブ)が登場し、無増悪生存期間の延長が示されています。特にBRCA遺伝子変異やHRD(相同組換え修復異常)がある場合、その効果は顕著です。 そのため、適切な薬剤を選択するためのバイオマーカー検査(遺伝子検査)が、治療戦略において非常に重要となっています。
再発時の治療と新たな選択肢
再発治療は、最後のプラチナ製剤投与から6ヶ月以上経過した「プラチナ感受性」か、それ未満の「抵抗性」かで戦略が分かれます。 抵抗性の場合は厳しい現状がありましたが、近年では抗体薬物複合体(ADC)などの新薬開発が進んでおり、新たな希望として期待されています。
マーカー値や副作用との付き合い方
患者会代表の片木美穂さんとの対談では、以下のポイントが共有されました。
腫瘍マーカー(CA125)上昇時の対応: 数値の上昇だけで即治療再開とは限りません。画像所見や症状が出るのを待ってから治療しても予後に大きな差がないとする報告もあり、QOL(生活の質)を重視した判断がなされます。
しびれ(末梢神経障害)への対応: パクリタキセルの副作用であるしびれは、我慢せず早めに主治医へ伝えることが大切です。減量や休薬で重症化を防ぐことが、長く治療を続ける鍵となります。
最後に
西尾先生は、医師を「伴走者」と表現し、患者さんと相談しながら見通しを持って治療を決めていく重要性を語りました。 納得のいく治療を受けるためにも、遺伝子検査の意義を知り、副作用や不安について医療者とコミュニケーションを取ることが大切です。