動画タイトル:【基本をおさえる】伊豆津 宏二 先生に聞く!びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは OMCE #88
講師:伊豆津 宏二 先生(国立がん研究センター 中央病院 血液腫瘍科)
ライブ配信:2023年4月23日/編集動画公開:2024年5月10日
※この記事はセミナー動画「【基本をおさえる】伊豆津 宏二 先生に聞く!びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは OMCE #88」をもとに作成されています。治療法やその開発段階については、セミナー実施時点のものであることにご留意ください。
悪性リンパ腫の中でも日本で最も患者数が多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」。かつては画一的だった治療法も、新薬の登場により個別化が進んでいます。
1. DLBCLとは?「月単位」で進行するが治癒も目指せる病気
DLBCLは、リンパ球の一種であるB細胞ががん化する病気です。
進行スピードは「週から月単位」と比較的速く、アグレッシブリンパ腫(急速進行型)に分類されます。
しかし、これは抗がん剤が効きやすいことを意味しており、適切な化学療法を行うことで6割以上の患者さんで治癒(初回の治療で再発なく経過すること)が期待できます。
2. 初回治療の新たな選択肢「Pola-R-CHP療法」
約20年もの間、「R-CHOP療法」が初回治療の標準でしたが、近年大きな変化がありました。
Pola-R-CHP療法: 抗体薬物複合体「ポラツズマブ ベドチン(商品名:ポライビー)」を組み込んだ新しい治療法です。
大規模な国際共同治験(POLARIX試験)において、従来のR-CHOP療法と比較して病気が悪化しない期間(無増悪生存期間)を有意に延長することが示され、日本でも承認されました。
一方で、リスク因子が少ない限局期の患者さんなどに対しては、従来のR-CHOP療法をサイクル数を減らして行う(4サイクルなど)治療も選択肢となっており、患者さんの状態に合わせた使い分けが進んでいます。
3. 再発・難治性DLBCLの治療革命
初回治療で効果が不十分な場合や再発した場合の治療も、近年劇的に進化しています。
CAR-T細胞療法:患者さん自身のT細胞を取り出し、がん細胞を攻撃するように遺伝子改変して体に戻す治療法です。
これまでは3番目以降の治療(サードライン)として使われてきましたが、再発リスクが高い一部の症例では、2番目の治療(セカンドライン)から使用可能になっています。
二重特異性抗体(バイ・スペシフィック抗体):がん細胞と免疫細胞(T細胞)の両方にくっつき、免疫の力でがんを攻撃する新しいタイプの抗体薬(エプコリタマブなど)も開発が進んでおり、新たな選択肢として期待されています。
4. 患者負担を減らす工夫とこれからの医療
治療を支える「支持療法」も進化しています。
白血球減少を予防するG-CSF製剤では、体に貼り付けて自動で薬剤を注入する器具(オンボディインジェクター)などが登場し、通院の負担を減らす工夫がなされています。
まとめ:選択肢が増えたからこそ、対話が重要
「新しい薬が次々と登場しているが、すべての患者さんに使えるわけではない。主治医とよく相談することが大切」と締めくくりました。
DLBCLは治る可能性が高いがんの一つです。最新の知見を知り、納得して治療に臨むことが重要です。