動画タイトル:【 #肉腫 】希少がんを知ろう!肉腫とは? 国立がん研究センター中央病院 川井先生に聞く 基本と治療 OMCE #103
講師:川井 章 先生(国立がん研究センター 中央病院 骨軟部腫瘍科)
ライブ配信:2024年7月26日/編集動画公開:2024年8月3日
※この記事はセミナー動画「【 #肉腫 】希少がんを知ろう!肉腫とは? 国立がん研究センター中央病院 川井先生に聞く 基本と治療 OMCE #103」をもとに作成されています。治療法やその開発段階については、セミナー実施時点のものであることにご留意ください。
1.肉腫(サルコーマ)とは? 3つの大きな特徴
肉腫は、骨、筋肉、脂肪、血管などの「間葉系細胞」から発生する悪性腫瘍の総称で、胃がんや肺がんなどの「がん(上皮性腫瘍)」とは区別されます。肉腫を特徴づける3つの要素は以下の通りです。
希少性:人口10万人あたり年間発生数が6例未満の「希少がん」です。骨肉腫などの骨の肉腫は日本で年間約1000人、軟部肉腫は約4000人の発生と推定されています。
多様な発生部位と年齢:全身のあらゆる部位に発生し、小児から高齢者まで幅広い年齢層に見られます。
多数の組織型:50種類以上の組織型があり、病理診断が非常に難しく、組織型によって治療法や薬の効果が異なります。
2.診断の遅れと専門医連携の重要性
希少であるがゆえに、医師も患者も「まさか肉腫だとは」と疑いにくく、診断が遅れがちです。
例えば、10代の骨肉腫が「スポーツ障害」と誤診され、確定診断まで数ヶ月かかるケースもあります。また、病理診断の難易度が高く、専門医と一般医で診断が不一致になることも少なくありません。
そのため、多職種が連携する「サルコーマ(キャンサー)ボード」や専門家たちによる「サルコーマカンファレンス」が行われている専門施設での診断・治療が重要視されています。
3.骨肉腫・軟部肉腫の治療最前線
骨肉腫:かつては予後不良でしたが、1970年代以降の多剤併用化学療法(MAP療法など)の導入により、現在では約8割が治癒可能となりました。近年はゲノム医療に基づき、特定の遺伝子変異を標的とした分子標的薬(パゾパニブ等)の研究も進んでいます。
軟部肉腫:手術による完全切除が基本です。切除不能な場合は薬物療法が行われ、ドキソルビシンに加え、パゾパニブ、エリブリン、トラベクテジンなどの新薬が登場しています。
また、特定の肉腫に対する免疫チェックポイント阻害薬やTリンパ球を用いた遺伝子治療(TCR-T療法)の臨床試験も期待されています。
4.「手足を残す」こととQOL(生活の質)
かつては切断が主流だった手術も、現在は約85%で手足を残す「患肢温存術」が可能です。
しかし、温存が必ずしもQOL向上に直結するわけではありません。温存後の機能障害や再手術のリスクを抱えるより、義足でスポーツに打ち込む方が「自分らしい」と感じる患者さんもいます。
川井先生は、温存か切断かという二元論ではなく、患者さんの自己実現を支える治療選択の重要性を訴えました。
5.早期発見のサインと相談先
早期発見のために「痛みがなくても、ピンポン玉(4cm)より大きな腫瘤」や「1ヶ月以上続くしつこい痛み」には注意が必要だと述べています。
不安な場合は、がん情報サービスで専門施設を探すか、「希少がんホットライン」への相談が有効としました。