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文:がん+編集部
ダラキューロ、くすぶり型多発性骨髄腫の日本人患者さんで進行リスク75%減少
Johnson & Johnsonは2025年10月22日、多発性骨髄腫の前段階状態であるくすぶり型多発性骨髄腫を対象に行われたダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(製品名:ダラキューロ(R)配合皮下注、以下、ダラキューロ)の国際共同第3相臨床試験で、日本人患者さんにおいて良好な結果を示したと発表しました。
くすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の前段階で無症状ですが、将来的に多発性骨髄腫に進行するリスクがあります。従来は症状が出るまで経過観察が標準的でしたが、高リスク患者さんには早期治療が効果的である可能性が示唆されています。
同試験(AQUILA試験)の日本人サブグループ解析では、日本人患者さん28人をダラキューロ単剤療法群(15人)、経過観察群(13人)に分けて有効性が評価されました。その結果、ダラキューロ単剤療法群では多発性骨髄腫への進行または死亡リスクが75%減少、全体集団と一貫した効果が示されました。
安全性については、86.7%の患者さんが疾患進行や有害事象による投与中止がなく予定された治療を完遂できました。
日本においてダラキューロは、2021年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認され、発売されています。高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に対しては、現在承認申請が行われています。
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ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース
未治療のHER2遺伝子変異陽性肺がん、ゾンゲルチニブ臨床試験で高い奏効率
ドイツのベーリンガーインゲルハイム社は2025年10月17日、HER2遺伝子変異陽性の未治療肺がんを対象としたゾンゲルチニブ(製品名:ヘルネクシオス(R))第1b相臨床試験における良好な結果を発表しました。
同試験(Beamion LUNG-1試験)では、HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がんの未治療患者さん74人を対象に、ゾンゲルチニブの有効性が評価されました。解析の結果、客観的奏効率が77%に達し、96%の患者さんで病勢コントロールを達成しました。奏効した患者さんのうち、8%で完全奏効、69%で部分奏効が確認され、奏効までの期間の中央値は1.4か月と迅速な効果が示されました。
安全性については、有害事象はこれまでに報告されたものと同様で、最も多く報告された有害事象はグレード1の下痢と発疹でした。
HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんは、肺がん全体の約4%を占める侵攻性の高い疾患で、有効な標的治療薬の確立が困難でした。ゾンゲルチニブはHER2(ERBB2)を選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害剤で、通常のEGFRには作用しないように設計されているため、有害事象を最小限にできる可能性があります。日本では既に治療歴のある患者さんに対して承認されており、未治療患者さんへの適応拡大が期待されます。
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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース
がん細胞の増殖を抑制する新たなメカニズム解明、治療薬開発に期待
千葉大学は2025年10月27日、がんの増殖を抑える重要な分子「DA-Raf」の働きを解明し、新たながん治療法開発への道筋を示したと発表しました。
がん細胞の増殖には「Ras-ERK経路」という重要な経路が関わっています。通常、Rasという分子がスイッチの役割を果たし、Rafというタンパク質を活性化させることで細胞の増殖が進みます。今回解明されたDA-Raf分子はRafの一種ですが、酵素活性を持たないため、Rasと結合してもスイッチを入れることができず、結果的にがんの増殖を抑えるブレーキの役割を持ちます。
今回の研究では、DA-Rafが細胞膜に含まれる脂質(ホスファチジルセリン)に結合することで、あらかじめ細胞膜に待機し、Rasに優先的に結びつくことがわかりました。DA-Rafが予めRasの近くを占領することで、がんを促進するタイプのRafが近づけなくなる状態になっていると示唆されました。
この発見は、Ras-ERK経路の異常が関与するがんなどにおいて治療薬開発の新しいターゲットとなる可能性があります。
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千葉大学 プレスリリース