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文:がん+編集部
肺がんの新たな経口治療薬HERNEXEOS、米国で承認取得
ドイツのベーリンガーインゲルハイム社は2025年8月8日、同社のゾンゲルチニブ錠(製品名:HERNEXEOS(R))が、治療歴のあるHER2遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者さんに対する初の経口標的治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得したと発表しました。
今回の承認は、第1b相試験であるBeamion-LUNG1試験で示された治療効果に基づいて行われました。同試験では、客観的奏効率75%、58%の患者さんで6か月以上の奏効期間を示しました。ゾンゲルチニブの安全性プロファイルは管理可能な程度とされ、主な副作用として下痢、肝毒性、発疹などが報告されています。試験での投与中止率は2.9%でした。
HER2遺伝子変異は非小細胞肺がんの約2~4%で見られ、予後不良や脳転移のリスクが高いとされる難治性のがんです。テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの専門医は「現時点で治療オプションが限られている患者さんにとって、がん治療における大きな前進」と評価しています。なお、この薬剤は現在日本では未承認です。
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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース
高齢がん患者さんの在宅リハビリに新たな可能性、電気筋刺激装置の有効性を確認
関西医科大学は2025年8月20日、肝胆道がんを有する高齢患者さんに対する電気筋刺激装置(EMS)を用いた在宅セルフリハビリテーションの有効性を確認したと発表しました。
この研究は、株式会社MTGとの共同研究として実施され、市販機器「SIXPAD FootFit」を使用しました。がんを有する高齢患者さんでは、入院中のみならず退院後も筋力や活動量の低下が進行しやすく、筋肉量が減少し身体機能が低下するサルコペニアが問題となっています。
研究では、肝胆道がんを中心とする高齢がん患者さん50人(年齢中央値75歳、70%がサルコペニア)を対象に、4週間の在宅セルフリハビリテーションを実施しました。その結果、下肢機能を示すSPPBスコアが8点から11点へと統計学的に有意な改善が見られ、特にバランス機能と歩行速度の向上が顕著でした。また、重症サルコペニアの割合も66.7%から36.4%へと減少しました。
この装置は椅子に座って足を乗せるだけで使用でき、複雑な設定も不要なため、自宅でも安全かつ容易に継続できます。有害事象も認められず、高齢がん患者さんの生活機能向上に新たな選択肢を提供する可能性が示されました。
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関西医科大学 プレスリリース
エンハーツ、乳がんのHER2低発現患者さんへ適応拡大
第一三共株式会社は2025年8月25日、抗悪性腫瘍剤トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ(R)点滴静注用100mg)について、「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現または超低発現の手術不能または再発乳がん」の効能または効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を日本で取得したと発表しました。
この承認は、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移再発乳がん患者さんを対象としたグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくものです。
トラスツズマブ デルクステカンは、抗体薬物複合体(ADC)という薬剤で、がん細胞に薬物を直接届けることで攻撃力を高める仕組みです。化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんを対象に承認された日本で初めての抗HER2療法となります。
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の乳がんは、乳がん患者さん全体の約70%を占めています。これまで、HER2低発現・超低発現を含め、HER2検査で陰性と判定された場合はHER2が少量発現していても抗HER2療法の対象外でした。今回の承認により、これまで治療選択肢が限られていた患者さんに新たな治療の可能性が広がります。
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第一三共株式会社 プレスリリース