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【調査結果公開】乳がん患者さん対象 検査に関するアンケート

[公開日] 2020.04.21[最終更新日] 2024.10.09

目次

この調査は2019年9月20日~9月25日の期間で、20歳以上の乳がんと診断されたことのある方を対象に、がん情報サイト「オンコロ」上で募集をし、実施したものです。 今回、合計215名の患者さんにご協力をいただきました。誠にありがとうございました。 アンケート結果をまとめましたので、以下、公開をさせていただきます。

アンケート結果のポイント

◆乳がんの薬物治療(化学療法・ホルモン療法いずれも含む)中に経験した副作用で最も辛かったものは、上位から「脱毛」(23.9%)、「倦怠感」(14.2%)、「嘔気、嘔吐」(9.7%)という結果であった。 ◆「治療中に発現した副作用で辛かったもの」として1位に挙げた副作用のうち、“治療前にイメージしていた程度よりも「非常に辛かった」”と回答した人の割合は、「脱毛」が15.7%と最多であり、次いで「倦怠感」9.7%、「筋肉痛・関節痛」6.0%であった。 ◆「がん遺伝子パネル検査」、「BRCA遺伝子検査」および「オンコタイプDX検査」を「知っている」と回答したのはそれぞれ34.4%、56.7%、54.9%であった。 ◆オンコタイプDX検査について、74.7%の方がオンコタイプDX検査を「受けたい」と回答した。 ◆オンコタイプDX検査を受けたい理由としては、「再発のリスクを知りたいから」が最も高く、次いで「化学療法の効果が知りたいから」であった。また「化学療法の副作用を避けたい」よりも、「より自分に合った治療を選択したい」の回答割合が高かった。 ◆オンコタイプDX検査を受けた方のうち66.7%の方が「薦めたいと思う」と回答し、「薦めたいと思わない」との回答はなかった。(n=9のため参考)

このアンケートに関して

エグザクトサイエンス株式会社とがん情報サイト「オンコロ」は、乳がん患者さんを対象とした、検査に関する意識調査を実施しました。 昨年6月に「がん遺伝子パネル検査」が保険適応になり、”遺伝子検査”に対する注目が高まっています。乳がん患者さんを対象とした遺伝子検査については上記の「がん遺伝子パネル検査」*1の他にも「BRCA遺伝子検査」*2や、保険適応外ではありますが「オンコタイプDX検査」*3等の検査があります。乳がん領域においても新薬開発が進み、治療の選択肢が増えつつあります。また、早期の乳がん患者さんの中には、再発のリスクや化学療法治療の効果が異なる人がいることが分かってきており、治療選択を行うための”遺伝子検査”について知って頂くことは患者さんにとって重要であると考えます。 今回の意識調査では、乳がんの薬物治療中の副作用について、また乳がんに関する遺伝子検査についての患者さんの意識を把握することを目的に、215名の乳がん患者さんから回答を得ました。 ◆全ての回答結果はこちらからご覧いただけます。  ※P D Fファイルとなります。 *1「がん遺伝子パネル検査」 がん遺伝子パネル検査は、生検や手術などで採取されたがんの組織を用いて、高速で大量のゲノムの情報を読み取る「次世代シークエンサー」という解析装置で、1回の検査で多数(数十~数百)の遺伝子を同時に調べます。遺伝子変異が見つかり、その遺伝子変異に対して効果が期待できる薬がある場合には、臨床試験などでその薬の使用を検討します。保険適応内で行うには、実施が可能な方、実施が可能なタイミングが限られており、標準治療がない、もしくは終了となった固形がん患者のうち、主治医が化学療法の適応となる可能性が高いと判断した患者に対して、実施することができるとされています。 検査方法:生検や手術などで採取されたがんの組織を使用  費用:19万円程度(3割負担)、高額療養費制度利用で8~10万円 *2「BRCA遺伝子検査」 乳がん卵巣がんの中でも遺伝的な要因が関与している遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer, HBOC)症候群を調べるための検査です。HBOCは遺伝性の疾患で、生殖細胞系列におけるBRCA1/2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれます。HBOCの方は一般の方と比べて、乳がんは6~12倍、卵巣がんは8~60倍罹患しやすくなると報告されています。HBOCであることがわかることで、ご自身やご家族のがん治療や予防に役立てられる可能性があります。一方で、そのことが心理的な負担となる可能性もあります。 検査方法:血液検査  費用:約20万~30万(受ける検査の種類や医療機関によって異なる) ※乳がん・卵巣がん・卵管がん患者のうち、発症年齢や家族歴等からHBOCが疑われる方に対する生殖細胞系列のBRCA遺伝子検査については、2020年の診療報酬改定により、保険適応となる予定です。 *3「オンコタイプDX検査」 通常、乳がんの手術後の治療として、ホルモン療法に加えて化学療法をするかどうかは、年齢、がんの大きさ、悪性度、リンパ節転移の有無などから再発のリスクを推測して決定します。ここにオンコタイプDX検査を加えることで、より正確な再発のリスクと、化学療法によってそのリスクをどの程度下げられるかを確認することができます。この検査を受けることにより、検査前に医師が化学療法を受けた方がよいと判断した方の約半数がホルモン療法のみの治療に変更され、またホルモン療法のみで十分と判断した方の約1割は、化学療法を加える治療に変更されました。(参考:Yamauchi et al.Clin Breast Cancer 2014、Barni et al. ESMO 2018) 検査方法:乳がんの手術の際に取り出した組織を使用 費用:45万円程度

アンケート概要

【調査対象者】 20歳以上の、乳がんと診断されたことのある方 有効回答数:215名 【募集方法】 がん情報サイト「オンコロ」にて募集 【調査方法】 インターネットによるアンケート調査

アンケート結果概要

1.乳がんの薬物治療中に経験した(発現した)、最も辛かった副作用として挙がったのは、上位から「脱毛」(23.9%)、「倦怠感」(14.2%)、「嘔気、嘔吐」(9.7%)という結果であった。 2.「乳がんの薬物治療中に発現した副作用で辛かったもの」として1位に挙げた副作用のうち、“治療前にイメージしていた程度よりも「非常に辛かった」”と回答した人の割合は、「脱毛」が15.7%と最多であり、次いで「倦怠感」9.7%、「筋肉痛・関節痛」6.0%と続いた。上記の副作用に関しては投与前のイメージよりも実際はとても辛く感じるという点が示唆された。 3.「がん遺伝子パネル検査」、「BRCA遺伝子検査」および「オンコタイプDX検査」を「知っている」と回答したのはそれぞれ34.4%、56.7%、54.9%であった。 4.オンコタイプ検査の受診意向は「やや受けたい」「とても受けたい」の“受けたい”と答えた合計は74.7%と、7割を超える方がオンコタイプDX検査を受けたいと考えていた。 5.オンコタイプDX検査を受けたい理由として、「再発のリスクを知りたいから」が最も高く、次いで「化学療法の効果が知りたいから」が続いた。「化学療法の副作用を避けたい」と考えるよりも、「より自分に合った治療を選択したい」人の割合の方が高く、必ずしも化学療法を受けたくないと考える人ばかりではないことが示唆された。 6.実際にオンコタイプDX検査を受けた方に対する、検査を周囲の人に薦めたいと思いますかという問いに関しては、66.7%の方が「薦めたいと思う」と回答した。(n=9のため、参考) 薦めたいと思う方の意見として、 ・アンダー/オーバートリートメントの状態を減らすことができる。 ・自分が受けるべき治療への納得感が増す。 ・微妙な結果だったが、化学療法をやらない選択をした。自費で高額なのが難点だが、不要な副作用を避けられるため満足している。 どちらとも言えない方の意見として ・受けた結果、中間リスクに該当した時また同じ選択で迷う。 ・検査の内容としてはいいのですが、高額すぎる為。 ・値段が高いので、一概には勧められない。でも、できたら、みんなが受けられればいいのにと思う。 等の意見が挙がったが、「薦めたいと思わない」と回答した方は0名であった。

本アンケート監修:中村 清吾 先生のコメント

調査結果より、患者さんは乳がんの薬物治療中に発現する副作用の中でも、「脱毛」を辛いと感じるという点が明らかになった。以前医師を対象に実施した調査においては、重篤な副作用に繋がるため、医師は「発熱性好中球減少症」を最も懸念すべき副作用と考えるという結果であった。*4患者さんとしては「脱毛」はやはり自分の外見に大きく関わる部分であり、気にするのは当たり前と言えるが、その点で医師と患者の意識の間にはGAPが存在する。また“「脱毛」は戻ります、回復します”とICする場合もあるが、回復するまでに時間がかかる、もしくは完全に戻らない場合もある。*5上記を踏まえた上で、IC(インフォームドコンセント)時には患者さんへの配慮が必要である。 化学療法の使用により、近年の乳がん治療の成績は向上した一方で、化学療法は「脱毛」の他、様々な副作用を伴うため、本当に恩恵を得られる患者さんを選んで使用すべきであり、受けるか否かの判断は患者さんを交え、慎重に行うことが望まれる。本結果から浮かび上がったのは、患者さんは単に「化学療法を避けたい」というよりは、「再発率や効果を知った上で、自分に合った治療を選択したい」と思っている点である。オンコタイプDX検査は、個々の患者さんの腫瘍組織に含まれる遺伝子を調べることにより、その人特有の再発リスクと化学療法の効果予測を提供するものであり、このような患者さんの要望に応えるものと思われる。 この調査では金額を提示した上で、オンコタイプDX検査を“受けたい”と回答した方が75%もいた。オンコタイプDX検査に関する情報提供について、患者さんの「再発率や効果を知った上で、自分に合った治療を選択したい」という想いを理解して情報提供を行い、患者さんの意向を確認することが望ましい。 *4 Sakai et al. Differences in perception of breast cancer treatment between patients, physicians, and nurses and unmet information needs in Japan: Supportive Care in Cancer, 2019 *5 矢形 寛,渡辺隆紀,岡田宏子,齋藤光江,高山智子, 三階貴史,吉村章代,長谷川善枝,土井卓子,下妻晃二郎. 乳癌化学療法レジメン別にみた頭髪の長期的回復—全国アンケート調査から: 日本乳癌学会発表,2015 ◆全ての回答結果はこちらからご覧いただけます。  ※P D Fファイルとなります。 ◆本アンケート結果はプレスリリースを行っております。 2020年4月21日、プレスリリースの内容はこちら。  ※3Hメディソリューション株式会社のHPへ移動します。 ◆本調査の募集ページについて 
 【募集終了】乳がん患者さん対象 検査に関するアンケート調査にご協力ください

お問い合わせ

本アンケートに関することは下記のメールアドレスまで、お問い合わせください。 メールアドレス:info_oncolo@3h-ct.co.jp お問合せの際は『乳がん患者さん対象 検査に関するアンケートについて』とご記入ください。
リサーチ 乳がん がん遺伝子パネル検査

オンコロ責任者 濱崎 晋輔

東邦大学理学部 生物分子科学科 卒業後、製薬メーカー医薬情報担当者(MR)として約9年間勤務。がん情報サイト「オンコロ」の立ち上げメンバー。製薬業界で培った知識を生かし業界関連記事を担当。また「患者の声を医療業界へ」をテーマにリサーチ関連を担当。

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