第3回オンコロリサーチ 「がん×治療」


  • [公開日]2015.09.02
  • [最終更新日]2019.03.27

第3回 がん×治療

はじめに

第3回目のテーマは「がん×治療」です。
皆さんはがんの治療と聞いてどのようなイメージを持ちますか?

現在は医療技術の進歩によりがんになっても様々な治療法により完治出来る例も増えてきています。
それとともにがんの治療に関しての情報が溢れ、その内容もかなり多様化してきました。
中には「がん治療はしないほうが良い」とか「○○を食べてがんが治った」など、驚きの情報もあります。
このような状況の中、皆さんも様々な考え方を持っていると思い、がんの治療についての調査をする事にしました。

今回も沢山の方からの声を頂きました。それでは結果をご覧ください!

調査概要

期間:2015年07月07日~2015年08月06日
対象者:生活向上WEB会員
回答数:1533名
性別:男性717名 女性816名
平均年齢:48.4歳
生活向上WEB会員に対して【オンコロリサーチVol.3】 がんの治療ついての意識調査として実施したアンケート結果をまとめたものです。

 

回答者構成比

Q現在、または過去にがんと診断された方はいますか。当てはまる方についてお答え下さい。※複数選択可

オンコロリサーチグラフ3-1

このアンケートは生活向上WEB会員の全ての方が回答可能です。様々な立場の方のご意見を聞くことが出来ました。

免疫療法が手術に次いで受けたい治療の第2位に!

Qがんになった場合に行いたいと思う治療を教えてください。※複数選択可

オンコロリサーチグラフ3-2

現在、一般的に行われているがん治療は「手術(外科治療)」「薬物療法(抗がん剤治療)」「放射線治療で、これらはがんの三大治療と呼ばれています。
今回この三大治療に割って入る形で免疫療法が2位にランクインしました。

免疫療法といっても色々な種類があります、また今回のリサーチでは選んだ理由を聞いていないため、なぜこれほどまでに免疫療法が注目を集めたのかはわかりません。ただ、事実として免疫療法は注目されている治療法であるといえそうです。

因みに免疫療法と呼ばれるものにはいくつか種類があります。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

がん情報サービス 免疫療法

 

その他の治療では重粒子線治療がめだちました。

重粒子線療法とは放射線治療の一種です。通常の放射線治療で使われるエックス線、ガンマ線が届きにくい深部にも届くので使用の幅が広がるとされています。また、がん細胞の殺傷力が高いとの報告があります。
ただ、現在のところ保険が認められていないので、自己負担での治療となります。(200~300万)

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
がん情報サービス 粒子線(荷電重粒子線)治療

 

あまり行いたくない治療第1位は抗がん剤治療でした

Qがんになった場合にあまり行いたくないと思う治療を教えてください。※複数選択可

オンコロリサーチグラフ3-3

こちらは2位に大差をつけて薬物治療(抗がん剤治療)が1位となりました。この結果は抗がん剤治療は「副作用が辛い」というイメージを持っている方が多いことを表しているのではないかと思われます。

誤解の無いように解説を入れたいのですが、この質問では「あまり行いたくないと思う治療」を聞いています。ですので、抗がん剤治療を本当に行うつもりがない方という訳ではありません。恐らく出来る事なら避けたいけど治療上必要なことなら行うという方が多く含まれていると思われます。(その理由については次の質問の結果で分かります。)

また放射線治療、手術も上位となっており、3大治療がいずれも上位を占めました。これについて私は情報量の違いつまり認知度が関係しているように思いました。理解できていない治療については行いたくないという判断は難しいかと思いますので。

 

「治る見込みがある限り治療を行いたい」方が40%以上で第1位
80%以上の方に治療をする意思がありました。

Qあなたの治療に対する考えであてはまるものをひとつ選んでください。

オンコロリサーチグラフ3-4
この質問は皆さんはがんの治療をする意思がどのくらいあるのか調べる意図で行いました。

「あまり行いたくない治療」では沢山の回答があったものの81%もの方が治療をしたいと思っているようです。

考え方は人それぞれですので、本人が納得できる治療方法を選択出来ることが大切かと思います。

そしてその選択に関しては正しく情報を理解し、選べる選択肢をしっかり把握したうえで行うべきであると思います。

医療否定本がある事を知っている方は43%でした。

Q「がん治療はしないほうが良い」「抗がん剤は効かない」などいわゆる医療否定本が近年話題となっています。あなたはこのような本がある事をご存知ですか?

オンコロリサーチグラフ3-5

この医療否定本に関する質問はは過去にオンコロで話題に出した際に反響が大きかったので、オンコロリサーチで採り上げる事にしました。

この質問では本の存在を知っているかについて聞いていますので、43%の中にはどのような内容かは知らない方も含まれています。

医療否定本を内容まで知っている方の3人に1人が治療に対する考え方に影響を受けました。

Q「知っている」方に質問です。それらの医療否定本はあなたのがんの治療に対する考え方に影響がありましたか?

オンコロリサーチグラフ3-6

前問の医療否定本を知っていると回答したかた665名中に質問を実施しました。内訳は「影響があった」136名、「影響がなかった」266名、「内容を知らないのでわからない」が261名でした。

実際にどのような影響があったのでしょうか。下記をご覧ください。

影響があった方のコメント(抜粋)

Q「影響があった」方に質問です。がんの治療に関する考え方にどのような影響があったか教えてください。

がん治療をすることに不安を感じる方の声

抗がん剤治療に対しては、行いたくない気持ちが強くなった。(40代男性)

治療を受けることが逆に治りにくくさせているみたいなことが書いてあったりすると治療を受けるのが怖くなります。(30代女性)

病院そのものが信用できなくなった。(30代男性)

もしガンになったら、できる限り治療したいと思っていたが、そう思わなくなった(50代女性)

本の内容に共感する方の声

抗がん剤治療で弱っていく家族を看ているので、納得(50代男性)

已然から疑問だったが、苦痛や激しい副作用を伴う放射線治療や薬物治療を、長時間したにも関わらず、根治せず、苦しみながら死んでいく治療は、やはりする意味がないと思った。(30代女性)

切る以外の治療法を改めて実感した。(30代女性)

治療に関して意識の向上が見られる方の声

もっともっと色々研究が進むことを期待して、また私もいろいろなことに希望を持って何でも本でも読んで納得するまで考えて迷いながら結論を出したいと思いました。でも本の影響もとてもあり治療はしないほうがいいのではないかとも思っています。(70代女性)

ガンになったとき、治療について自分でもしっかり調べようと思うようになった。(30代女性)

慎重に考えられるようになった方の声

医者の立場で手術を薦められる場合等が有るので自分に最適かどうかを確かめたいと思う様になった。(70代男性)

外科医の言うことを鵜呑みにせず、必ずセカンドオピニオンを受けようと思います。(50代女性)

PICK UP

いづれの方法にも功罪はあるだろうから、相互の研究を尊重し合って患者の気持ちに添っていただきたい。(60代男性)

がんと治療に関する声のご紹介

今回も沢山の方から声を頂きました。ありがとうございます。(有効回答数546)

まずは回答の中で多かったご意見を紹介します。

Qあなたが『がんの治療』に関して思っていることを是非教えてください。(体験談・意見・要望など自由にお書きください)

■早期発見やそのための検診の重要性 46回答

■治療は「辛い」「キツイ」「苦しい」 43回答

■治療費が高額でお金がかかる 42回答

■治療が「怖い」「不安」である 30回答

他にはがんになった年齢によって決めたいという意見(9回答)や医学の進歩により治るようになってきたという意見(8回答)も目立ちました。

 

続きまして「体験談」「ご意見」「ご要望」についてpick upした声を掲載します。

 「がんと治療に関する」体験談

医者は患者が思い通りになると思っています。患者のために、病院に利益をあげない治療でも進めるべきです。主治医を信じきるのは、大変危険なことだと8年かかって分かりました。(50代女性・がん体験者)

私の父は、肺がんのために抗ガン剤治療を開始してから、途端に体力や食欲の減少が著しくなりました。抗ガン剤治療をしていなければ、もっと長生き出来たのではと強く思います。これからは患者も学び、治療について人任せでなく、自分で選択していくことが大切だし、代替え治療や免疫療法などと西洋医学とを融合させた医療体制を整えるべきと考えます。(40代女性・父が体験者)

現在、実母が肺がんで化学療法で延命治療しかなく、治療中です。肺がんの遺伝子検査では分子標的薬は該当せず、最後の望みで抗がん剤治療を行っていますが、、親族として少しでも生きていて欲しいと願ってしまうもんなのです。例え昏睡状態で意思疎通ができずとも、姿かたちがあるだけで救われるのだと思います。まだ治療は始まったばかり、どんな最後が待っているのか、考えたくはないけれど受け止めねばならない現実です。(40代女性・母が体験者)

がんの種類にもよるし人それぞれ。体力・お金でも変わる。効く見込みがあればチャレンジしたいが特に私の場合はないようです。境界悪性でも限りなく悪性度が高いようで、今後の生き方を考える時期がきたようです。自宅での生活を、人間らしい生活を1日でも長くを望んでます。(40代女性・がん体験者)

入院して、各種検査から手術、事後治療に至るまで、かなりの苦しみと不安感を経験しました。担当医・担当看護師は当然、それらの軽減に神経を注いでくださいましたが、その効果は微々たるものでした。不安感は患者側の心と気持ちの持ちようですからこれはともかくとして、肉体的苦痛だけはゼロにして戴ける日を期待し続けています。(70代男性・がん体験者)

自分の体力的なものもあるが 気持ちの持ち方だと思う また 自分の病気の知識も必要だと思う 無知だと医者のいいなりになってしまう ある程度の知識をもってたほうが 自分なりの治療が受けられると思う 。(60代女性・がん体験者)

「がんと治療に関する」ご意見

治療や抗がん剤に関して色々な情報がありますが、結局最後は自分に選択権があると思います。どんな治療をするにしても、本人が納得することが一番だと思います。(30代女性・がん体験者)

あくまでも、患者の考えを尊重して、患者の希望の治療を行うべきだと思う。緩和ケアだけで静かに最期の人生をおくるのも、立派な選択肢だと思う。日頃からもしもの場合、自分は告知を望むのか、家族にも告知をしてもらうのか考えておくべきだと思う。(40代女性)

治療方法も様々あり、またネットなどで情報を手軽に得る機会が増えたことで、逆に不安や混乱が生じた。(30代女性・父が体験者)

ガンがなくなるという高額な水やサプリメントが色々販売されているが、医学的根拠は無いため、意味がないと思う。主治医やその病院の治療方法をしっかり聞いて判断するべき。納得できないなら、セカンドオピニオンで他の病院を当たれば良いと思う。(30代女性)

昔は、本人に知らせず家族の承諾で手術など行っていたが、現在は,本人に知らせて本人の意志を尊重しているが、それらが治療をややっこしくしているように見える。(60代男性・父が体験者)

意外性のある治療、宗教的・オカルト的な見解は SNS でがん細胞のように広がりがち。 苦しんでいる人・不安な人たちを翻弄するのはやめて欲しい。(50代男性)

「がんと治療に関する」ご要望

先進医療を受けられるか否か、地域格差が大きいと感じる。新たに有効な治療法が見つかったなら、可及的速やかに承認と保険適用が行われて欲しい。(40代男性・家族が体験者)

緩和ケアの充実を願いたい・・・・。田舎にいても最先端治療を受けられるようになりたい・・・・。(50代女性・がん体験者)

治療の効果ばかりでなく副作用と副作用の緩和についての詳細情報がたくさん欲しい。(40代女性・婚約者が体験者)

身近にガンにより亡くなっている方がいて、衰弱するような治療法だと亡くなったあとが凄まじく悲しい姿になるのが可哀想でした。なので、体を衰弱させずに出来る治療法を知りたい(30代女性)

終わりに

「がん×治療」如何だったでしょうか?

やはり、がんの治療はネガティブなイメージ持っている方が多いようです。これはがん自体が辛い病気なのでしかたのない事かもしれません。

できればがんにはなりたくない。しかし2人に1人ががんになると言われている今、がんの治療については現実的な問題として考えなければならない事かと思われます。皆さんからの声からもわかるように、がんの治療には辛い事が多くあるようです。

しかし辛くてもがんを治すと考えた時には治療が必要になります。

ある方はこうおっしゃっていました。

「まだ死ねない。やりたいことがあるんです。治る可能性が低くても私は治療を続けます。」

また、別の方はこうおっしゃていました。

「辛い治療はしたくないです。たとえ長く生きれなくても今を大切に過ごしたいです。」

 

今回の結果からもわかりましたが人それぞれ考え方が違います。ですので正しい考え方はないのだと思います。ただ、必要な情報を知っていなかったり、誤った情報を信じていたりすることで判断に影響が出て、後悔をするようなことが起きてほしくないと思っています。

効果があるか不明だったり科学的に認められていない高額な治療法や、そのような治療法を薦める本など、判断を惑わす情報が溢れています。

正しい情報とは何か?なかなか判断が難しいかもしれません。

そのためにも、抗がん剤治療、放射線治療などは厳しく試験(治験)を行い、安全性や効果について調べています。そしてその多くの情報によって科学的に認められた治療なのです。「手術」・「抗がん剤治療」・「放射線治療」ががんの標準治療と言われる所以でもあります。

最近では画期的な抗がん剤も登場し、今後もさらなる医療の進歩により新たながん治療が発見されていくと思います。

オンコロでは臨床試験(治験)の情報を始めとし、最新のがん治療の情報をお届けしていきます。

 

今回も沢山の方がアンケートにご協力して頂きました。本当にありがとうございます。

 

担当:HAMA

 

 

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