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オンコロリサーチ(第1回 がん×告知)

[公開日] 2015.05.15[最終更新日] 2015.05.15

目次

第1回 がん×告知

■はじめに

 このオンコロリサーチは「がん×○○」というテーマで、がんに関係する調査を実施し結果を発表していくコーナーです。  第1回目は「がん×告知」というテーマです。過去には家族が呼ばれて本人に内緒で伝えられるという習慣もありましたが、現在ではインフォームド・コンセントの観点から告知が行われるケースがほとんどのようです。みなさんががんの告知についてどのような意見をお持ちなのか?実際に告知を受けた方の経験なども含めて結果を発表いたします。

■調査概要

・期間:2013年08月08日〜2014年02月03日 ・対象者:生活向上WEB会員 ・回答数4216名 ・平均年齢48歳 ・WEBアンケートにてがんの意識調査として実施。 その中の告知に関する質問を抜粋。  

■質問内容

・がんと診断された方について ・がんの告知をされたいか ・がんの告知に関するご意見

■現在、または過去にがんと診断された方はいますか?(全体)

g1  

【担当者コメント】

「平均48歳の回答者では約4人に3人の方ががんにかかわっているという結果がでました。」

■現在、または過去にがんと診断された方はいますか?(60歳以上)

g2

【担当者コメント】

「60歳以上になると9割に近い方ががんとの関わりがありました。高齢になるほど多くなる傾向があるようです。」

■がんの告知に対してどの様にお考えですか。

自身ががんの方 g3 家族や友達ががんの方 g4 周囲にがんの方がいない方 g5  

【担当者コメント】

「がんが身近になるほど自分にも家族にも告知をしてほしい人が多くなっています。また周囲にがんの方がいない方では告知してほしくない方が9%と多かったです。これは告知についての認識の違いが関係していそうです。」

■自身ががんの方のご意見(抜粋)

・がんと告知されたら前向きに考える事です。 ・告知されたときなんの情報もあたえられず途方にくれました。自分で自助グループをみつけてそこで情報をえたり共感したりしました。医療機関は告知した後のアフターフォローをしてほしかった。 ・私は6年前に乳癌の告知を受け全摘しました。自分は癌になんかならないと思ってましたが現実を突き付けられてショックで落ち込む毎日でした。今は毎月検査に行ってます。子供を残して死ねないので前向きで頑張ってます。  

【担当者コメント】

「やはり告知によるショックは大きいようです。それでも告知をしてほしいという方が多いのは自身の病気を知り、前向きに頑張っていこうという方が多いからでしょうか。このような方々をフォローしていける環境づくりが大切です。」

■家族・友人にがんの方がいる方のご意見(抜粋)

・告知はするべきと思います。できれば最初は一番近い家族が伝えてあげた方が良いと思います。 ・検査の結果がんと判断され本人等告知する場合(外来でも) 心のケア担当者などが同席のもとで告知等あれば。問診票等に、本人告知の有無(余命宣告含め)等あれば家族も伝えやすいのでわ。それによって治療方針も決めやすいかと。 ・父親が膵臓がんで入院した時主治医からいきなり父に直接余命宣告がありました。その対応に強い不信感を覚えた。本人への告知また治療方針はもちろん主治医との信頼関係も重要だと思います。セカンドオピニオンも大事ですがその結果をふまえてどうするか選択できるシステムがあればいいのに思いました。  

【担当者コメント】

「実体験からくる告知の行い方についての意見がありました。また告知を受けるかどうか選択できるようにしてほしいという意見などドクターと患者間のコミュニケーションが重要になってきそうです。」

■家族・友人にがんの方がいる方のご意見2(抜粋)

・医師の告知。重要だが、自分がもし告知を受けたら、精神的に耐えられるか、大いに疑問。治癒する確率が高い時のみ、告知してもらいたいと思う。 ・本人や家族が望む、望まないに関わらず簡単に告知しますね。まあいいとは思いますが、人によっては耐え難いこともあるのでは? でも治療しているとどうしても伝えなくてはならなくなりますね。 ・治療していくなかで、成果がないと本人告知しなくても、ばれていくのではないかと。なので心のケアも一緒にして行かないと心が弱ると免疫も下がる気がする。  

【担当者コメント】

「こちらも告知の行い方についてのご意見です。本人の意思を尊重しつつ治療に悪影響がでない選択ができるようになればよいです。」

■周囲にがんの方がいない方のご意見(抜粋)

・癌と告知される事自体に物凄い恐怖心がある。知らされたらとても平常心で居られない自信があるぐらい怖いです。治療法も高額のイメージしかない。 ・癌は死亡即つながると病気と認識しているが、昨今は癌の告知をされても皆さんお元気でいらっしゃる。癌の知識が不足している私にいろいろな情報を提供いただけると助かります。  

【担当者コメント】

「がんは恐ろしいというイメージは今も強く存在しています。理解を深める意味でも正しい情報を知ることが大切です。」

■まとめ

・全体の4分の3が自身や周囲の方ががんであった。 ・60歳以上では約9割の方ががんとの関わりがあった。 ・自身ががんの方は告知をしてほしいという回答がかなり多かった。(98%) ・まわりにがんの方がいない場合自身は知りたくないという回答が他と比べて多かった。(12%) ・がんが身近になるほど告知に前向きな回答が多くあった。 ・自由回答からは告知によって受ける精神的負担はとても大きく、医療機関や家族など周囲のケアが重要であるという意見や告知するかしないかは本人が選択できるようにするのがよいという意見などがありました。

■おわりに

がんは死亡原因の1位ということもあり、告知をされることを恐怖に感じ、事実を知りたくないと思ってしまうこともあるようです。しかし、それでも自身ががんである方のほとんどが告知を望んでいるという結果がでました。その背景にはやはり病と向き合って治療をしていくというインフォームド・コンセントが普及してきたことが影響しているようです。前向きにがんの治療をしていくうえで告知は重要な役割を持っているといえそうです。 一方で医師・患者・家族間でのコミュニケーションについてや告知の行い方についてなど課題は現在もまだ残っているようです。「告知のするしないを選択できたほうが良かった」というご意見や「本人に知らせたことを後悔をした」という家族のご意見は実体験に基づいたとても貴重なメッセージです。リサーチの結果をみるうえでこのような方の声をみなさんが知り、どのような解決ができるのかをみなさんで考えていくことが大切であると私は思います。 アンケートにご協力してくださったすべての方に改めて感謝をいたします。 いかがだったでしょうか?みなさんが少しでも興味をもってくれていたらうれしいです。オンコロリサーチについてのご意見やご感想、取り上げてほしいテーマ等あればコメントをお待ちしております。次回も何卒よろしくお願いします。

担当者 ボイスデリバリーHAMA

リサーチ がん一般

オンコロ責任者 濱崎 晋輔

東邦大学理学部 生物分子科学科 卒業後、製薬メーカー医薬情報担当者(MR)として約9年間勤務。がん情報サイト「オンコロ」の立ち上げメンバー。製薬業界で培った知識を生かし業界関連記事を担当。また「患者の声を医療業界へ」をテーマにリサーチ関連を担当。

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