子宮頸がん体験者 夏目亜季さん


  • [公開日]2015.10.16
  • [最終更新日]2020.03.04

今回インタビューを受けてくれたのは、アイドルタレントとして活動する「夏目亜季さん」です。小さなからだで、元気いっぱいに話をしてくれる夏目さん。“アイドルタレント・夏目亜季”だからこそ伝えられるたくさんの事。
インタビューしているスタッフたちも、彼女からたくさんの元気を貰いました。今後もアイドルタレントとして、1人のステキな女性として、更なる活躍を応援しています。

名前:夏目亜季さん
年齢:24歳
性別:女性
居住:東京都
職業:アイドルタレント
子宮頸がん体験者・現在寛解

■受診までの経緯

“がん”だと分かる1年前に、数年前からある持病の“自己免疫性溶血性貧血”が再発していました。不正出血がありましたが、持病によるものだと思っていました。でも、7月に高熱と血尿が出て、不正出血の量も増えてきました。心配になって友達に相談すると、「ちゃんと病院に行った方がいいよ」と言われ、そのときまではあんまり気にして無かったですけど、万が一と思って受診するのを決めたのが8月の後半でした。

■がんと分かるまで

・「高度異形成」だけど…

検査の結果の出る前日「陽性なので、明日絶対来るように」と、わざわざ病院の看護師さんから連絡がありました。「陽性」がどういうことなのかの意味も分からないような状況で、何を言われるのかが怖くて仕方がなくその日は眠れませんでした。翌日病院で聞いた検査結果は、「高度異形成クラス3b」で、大きな病院での再検査が必要だと告げられました。

・再検査の結果

紹介された病院で再検査を受けました。検査後、結果が出ていないにも関わらず「検査結果のお話をするときにお母さんを呼んでください」と言われました。京都にいる母を、“がん”だという結果が出ていないうちから呼ぶという事は、お医者さんから見て腫瘍があるのだろうと告知をされる前に察し、とても恐怖を感じました。ショックでしばらく病院の椅子から立ち上がる事が出来ませんでしたが、母にはどうにか泣かずに「来週東京にきてくれ」と伝える事が出来ました。でも、そのあとの電話で友達の声を聞いたときには涙が止まりませんでした。

・がんの宣告

自ら察してしまったこともあり、「がんです」と言われたときは、「やっぱりそうか」という感じでした。でも、隣にいる母の事を思い、泣くのを堪えました。母も、もしかしたら私の居ないところで泣いていたのかもしれませんが、私の前ではいつもと変わらず明るく振舞っていて、泣いている姿を見る事はありませんでした。
“がん”と宣告されてから、怖さもありましたが「今はとにかく闘わなくてはいけない」という気持ちにもなりました。ただ、治療法の選択によって“子供を生めなくなるかもしれない”状況になると知り、友達と子宝で有名な神社に行ってお守りを買ったり、パワースポットに行って、どうにか子供が授かれますようにとお祈りをしたりしました。

■「生きる」という選択⇒家族や仲間の支え

・もう死んじゃうのかな…

がんの進行は思ったよりも早く、リンパ節への転移も確認されました。“リンパ節への転移”と聞き、「私、死ぬん…?」という思いが頭をよぎりました。「私は本当に治るんかな?」「5年間生きられるんかな?」と、「生死」をはっきりと意識したのはそのときが初めてでした。

・怖い…助けて!

闘おうと思っても、絶望感と子供を生めなくなる喪失感などを感じて、まるで崖から突き落とされたような気分になるときがありました。そんなとき助けてくれたのが、地元の仲良しグループ10人です。普段からラインで繋がっていて何でも話す大の仲良しの皆。信頼しているからこそ、本音で話す事ができましたし、それをその仲間が受け止めてくれました。「もう死ぬかも!死ぬかも!死ぬかも!」みたいな。本当にそんな感じでしたね。皆が受け止めてくれていなかったら、気持ちまで潰れていたと思います。本当に私の心の支えでしたね。

・「しゃーないやん!」

子宝の神社や、パワースポットにも行きましたが、結局、治療のために子供は「産まない」という決断が必要となりました。そのときも、母は、涙を見せずに「あんた、がんで子供産めんとか言われたけど、そんなんしゃーないやん!元々難病もあるし。子供産んで育てられる元気無いって。そんなんより、自分の助かる方選びな。子宮なんて無くていいやん!」と。母のそんな励ましの言葉にもとても支えられました。

■治療の印象

・髪の毛抜けなかった!

抗がん剤治療が6クール。並行して週5回の放射線治療を受けました。最初のうちは入院していましたが、退院後は月曜日から金曜日まで毎日病院に通いました。はじめ、抗がん剤は「吐き気」や「脱毛」のイメージがあり、自分も髪が抜けてしまうのかと不安になり眠れませんでした。お医者さんから「2、3日後くらいにだるくなるかもしれないですが、吐いたり、毛が抜けたりはしませんよ。」と言われた通り、体のだるさと軽い吐き気はありましたが、心配していた髪の毛が抜けるという事は無かったです。放射線治療も全く痛くなくってただ寝ているだけという感じでした。抗がん剤に関して。初めは、自分自身が「副作用のある強い薬」を受けなくてはいけない立場になったという事がショックで、そのときも、夜中の電話で話を聞いてくれる友達に救われました。

・地獄の火曜日!

抗がん剤治療と放射線治療が始まってしばらくして、週に1度、火曜日に「腔内照射」という治療が加わりました。これが、私にとっては耐えられないような痛みで本当に辛かったです。あまりの痛みに、腔内照射のある火曜日がまるで地獄のようでした。

病室での写真

■経済面と仕事

・治療費

入院する前に母が「高額医療制度」の手続きをしてくれていたので、月額の治療費を最低金額に抑える事ができました。そのおかげで、治療にかかった金額のトータルは検査やPETも含めて50万円くらいで済みました。

・アイドル活動

“がん”かもしれないと診断されてから行った4つの病院のうち、3つ目の病院で、「リンパ節に転移しているから1年間仕事はできません。1年間一緒に頑張りましよう」と言われ、その次の4つ目に行った病院では「治療は1、2ヶ月で終わります」と。2つの病院で、全く違う事を言われました。病院によって言うことがここまで変わるの?と凄く疑問に思いました。治療期間が1年間だと聞いたときはアイドル活動は辞めなくてはいけないと思っていましたが、1、2ヶ月の治療と聞いて、続けられると思い直しました。

■感謝

今回のがんの闘病中は多くの人に支えられて乗り越える事が出来ました。家族や友達、同じユニットのメンバーやお仕事で知り合った方々。そしてファンの方達にとても感謝しています。関係性は違いますが、不安なときにそばにいて話を聞いてくれたり、辛いとき、それ以上落ち込まないように一緒に笑ってくれたり、お見舞いや励ましのメッセージをくれたりと、気持ちも救われました。本当に感謝しています。

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■国に求める制度

PET検査など、せっかくがんを早期発見出来るいい検査があるのに、金銭面で断念したり、検査を受けられる施設や予約の取り方が分かりづらかったりします。広く多くの人が「がん検査」を受けられる環境になればいいなと思います。
また、高額医療制度の還付金で返金があっても、結局払った額が大きい人も多いと思うので、その病気に関係している人じゃないと、どれくらいかかるか知らない人が多いので、分かり易く、学校で習うとかがあれば苦労しなくなると思います。

■目標

今応援してくれているファンの方や、私と同じ病気で悩んでいる方。そんな方たちに「病気になったけれど、今、元気に活躍してますよ!」ってたくさんテレビに出て伝えたいです。また、病気で同じ悩みを持っている人がたくさんいると思うので、少しでも励みになれるといいなと思います。

natume

 

 

■フリーコメント

「がん」と宣告されたら、怖いと思う人はたくさんいると思います。私もそうでした。でも、定期診断や健康診断をまめに受けて早期に発見できれば、「がんは完治する可能性の高い病気」の1つです。また、医療の進歩によって「がんと共存」できるようになってきました。自分は無関係だと思わずに、がん検診に行って欲しいです。

■インタビューを終えて

明るく元気な夏目さんですが、すでに多くの方がご存知かもしれませんが、がんの恐怖と闘ってきた過去がありました。いろいろなお話を聞かせて頂きましたが、その中で私が感じた事は周囲の支えの大切さでした。そして夏目さんはその周囲の方にとても恵まれた方であると思いました。家族、友人、仕事仲間、ファンの方多くの方が周りにはいました。こんなにも周囲に恵まれた夏目さんですが、それは自身の人柄の良さがそうさせているのだなとお話を聞いていく中で良くわかりました。
自分の体験を話すことで少しでも救われる人がいれば嬉しい、そのような想いを持ちつつ現在もアイドル活動中の夏目亜季さん。今後も沢山の方に元気や勇気を与える存在であってほしいと思います。もちろん、「オンコロ」でも応援をしていきたいと思います!!

HAMA

 

■アイドル夏目亜季さんの活動をご紹介します!

 

・オリジナルソング「負けない」

作詞は夏目亜季さんご本人がお母様と一緒に行ったとの事です。

「1人でもこの歌を聞いて元気になってくれればいいな」という想いが込められています。

必見です!!!

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