患者団体に聞く! 一般社団法人がんと働く応援団 根守直博さん「がん防災」とそれらのサポートについて -「仕事」と「治療」のバランスとは-


  • [公開日]2023.10.06
  • [最終更新日]2023.10.06

「がんと働く応援団」とは

金川:患者団体に聞く!シリーズで今回ご紹介するのは、一般社団法人がんと働く応援団の根守さんです。では早速ですが、がんと働く応援団について教えてください。

根守:がんと働く応援団は、2019年11月に、3名からスタートしました。予期せぬライフイベントを通して、がんと診断された方が、生活と就労を無理なく治療と両立していく社会を支援することを理念として活動しています。
現在は会員が90名程です。イベントの参加については、会員でなくとも参加できます。

金川:具体的にどんな活動をされているのですか?

根守:活動として、一番有名なところは、「がん防災マニュアル」の配布を実施しています。*1
これは、がんが、ライフイベントの中でも突然やってくる災害のようなものとして作成したものとなっています。マニュアルという形で、もしかしたらがんになるかもと思っている方から、実際に罹患した方まで幅広い方にご利用いただくことが目的です。
あくまでも「防災」なので、被害にあう前から被害にあった後の復興までを支援することと同じ様に、がんについても、その診断前から診断後に至るまで、すべてのフェーズの方を対象にした形で作成して配布しています。

金川:がん防災マニュアルについて説明いただきありがとうございます。ちなみに、会員さんやその周囲の方に年齢層はどのような感じでしょうか?

根守:がん経験者というと少し年齢層が高いようなイメージがありますが、現役世代(就労している世代)を含めた会員構成になっています。

金川:なるほど。現役世代を中心として沢山の世代の方が関わっていらっしゃるのですね。

*1:がん防災マニュアル

活動の上で大切にしていること

金川:活動の上で、どんなことを大切にされていますか?

根守:がんの罹患者のサポートのみならず、そのがん罹患者の周囲でサポートをする方の人材育成にも力を入れており、サポートする人材を増やすことも大切と考えております。
具体的には、がんを正しく知ること。
正しく知ることで備えることが出来るために、「がん防災マニュアル」を活用頂くことを考えています。
また、がんに罹患することで孤立することがあるので、一人で悩まないように支援すること。
そのために「治療」と「仕事」の両立が大切であると思います。
この両立を理解する人を増やす活動も大切なので、企業側にもその理解者を増やす必要があります。*2 また、企業のみならず、カウンセラー等の人も含めてその周囲でサポートできる方を増やすことも大切と考えています。*3

金川:今回、お話頂いた「がん防災マニュアル」の活動が一つと、がんに罹患した方の周囲の方をサポートする活動に加え、それらの方々をサポートするカウンセラー等も含めた幅広い活動をなさっていることがよく分かりました。それらも合わせた啓蒙活動も実施していらっしゃるのですね。それらも併せて就労している現役世代の支援をしていらっしゃる訳ですね。

*2:企業・組織向けがん防災研修
*3:カウンセラー・人事向け 勉強会/スキルアップ研修

「治療」と「仕事」の両立のため

根守:がん防災マニュアルが有名になっている為に、患者さんによってはがん防災マニュアルを配っている本屋さんに近いイメージを持っている人はいらっしゃるようでありますが、「治療」と「仕事」の両立を支援することを主として考えております。その為にも無料カウンセリングを実施しています。*4
是非こちらも利用をしていただけると思っております。

金川:オンコロの会員さんも含めて、このがんと働く応援団の無料相談も是非利用頂きたいですね。それぞれの団体でがんの患者さんの居場所をつくることを進めていければよいですね。
このような形でご相談を頂く患者様としては、具体的にどのような方が多い印象になりますか?

根守:がんと診断されて、がんショックを受けている患者さんで、就労や治療についての様々な不安がある方が多い印象を受けます。「この先どうしようか?」という漠然とした不安があるようです。反対に私自身の経験ですが、「がんと働く応援団」なのでどうしても働くことにフォーカスを当てた形での支援となるイメージがあるようですが、必要に応じて仕事を休みながら治療を継続する支援も行っています。そのような形でキャリアカウンセリングも実施しています。

金川:なるほど、就労について治療とのバランスをみながら手厚くサポートをされているんですね。このような活動が皆さんに広く届くように私共オンコロもご協力できればと思います。

*4:無料オンライン相談室

今後の活動

金川:がんと働く応援団の今後実施される活動を教えてください

根守:これまでの「がん防災アニュアル」については、あくまで個人にフォーカスをあてた形になっていましたが、新しく「中小企業版がん防災マニュアル」を作成しました。
こちらは罹患者をささえる経営者向けのマニュアルとなっています。これからはこのマニュアルの配布も今後の活動と考えています。

金川:なるほど。素敵な活動ですね。罹患者向けに計画されている活動もあれば、是非お伺いしたいです。

根守:罹患者向けのサービスとして、オンラインで「ゆるゆるトレ」を広める活動も進めています。これは2022年より始めているサービスで、オンラインでゆる~く体を動かして頂いて、がん専門の運動指導士が座りながらできるトレーニングをZOOMなどで実施しています。
最終的にはオンラインだけでなく、ウォーキングや登山等をみんなでできるイベント等を企画しています。そこで直接患者さん同士が繋がっていける仕組みを整えながら、がん罹患者が孤立しないように支援をしていくことを目的としています。

金川:私、前職が理学療法士ですので、個人的には非常に興味深いです。周囲の方も交えて沢山の方に対しての啓蒙活動や、オンラインでもオフラインでも様々な活動をされている様ですね。

皆さまへお伝えしたいこと

金川:是非この記事をご覧頂く皆様に告知等があればよろしくお願いいたします。

根守:患者会については、毎月第二水曜日にZOOMにて、わりと小規模で温かい雰囲気でやっています。
またYouTube上で、少し規模を大きくした患者会も実施しています。コロナ禍で患者同士が集まりにくい状況だったので、そのような形でも実施していました。
こちらのYouTubeについては3カ月に1回程度実施しています。元々YouTubeで配信していた「勝タイム!全員集合!」というオンライン患者会との交流企画となっていますので、そちらも是非ご覧いただければと思います。*5

金川: 最後に熱いメッセージをお願いします。

根守:がんと診断されていたら少しネガティブな気持ちになりながら、就労等の不安もあるかと思いますが、仕事を焦って辞めてしまうことなどは出来るだけ避けて頂きたいと思います。
がんと働く応援団のみならず、がんに罹患した場合でもそのような方をサポートする団体は沢山あるので、そのような周りの力を是非利用して頂きたいと思います。

*5:一般社団法人がんと働く応援団 YouTube

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