PD-1抗体キイトルーダ発売、厚労省はオプジーボと共に最適使用推進ガイドラインを作成


  • [公開日]2017.02.15
  • [最終更新日]2017.12.14[タグの追加] 2017/11/13

2月15日、MSD株式会社が、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブキイトルーダ)を発売した。キイトルーダは、オプジーボに次ぐ免疫チェックポイント阻害薬であり、「根治切除不能な悪性黒色腫」および「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能・効果で承認を取得している。

それに先立ち、厚生労働省は14日、オプジーボとキイトルーダに関する「最適使用推進ガイドライン」を通知した。ガイドラインの対象は悪性黒色腫と非小細胞肺がんとなる。

オプジーボとキイトルーダが使用できる医療機関は?

ガイドラインには医療機関要件などが明記され、医療機関としては4つの条件が規定されている。

1つ目は、医療機関の基礎要件である。がん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院)、特定機能病院、がん診療連携病院(がん診療連携指定病院、がん診療連携協力病院、がん診療連携推進病院など)が主となり、その他、外来化学療法室を設置している医療機関なども該当する。

2つ目は、専門的な知識と経験を持つ医師が配置されていることである。医師の要件は少なくとも2年以上の該当するがん種および領域のの薬物療法の経験を持つ医師となる。

3つ目は、医薬品情報管理体制が整備されていることである。製薬企業の情報が速やかに届く体制が整っていることが条件となる。

4つ目は、副作用時の体制が整備されていることである。24時間診療体制の下、副作用が発現したときに入院管理およびCT等の副作用の鑑別に必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応可能な体制が整っていることである。

<以下、最適使用推進ガイドライン抜粋>

オプジーボ、キイトルーダともに承認条件として使用成績調査(全例調査)が課せられていることから、当該調査を適切に実施できる施設である必要がある。その上で、本剤の投与が適切な患者を診断・特定し、本剤の投与により重篤な副作用を発現した際に対応することが必要なため、以下の①~③のすべてを満たす施設において使用するべきである。

① 施設について
①-1 下記の(1)~(5)のいずれかに該当する施設であること。
(1) 厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院など)(平成28 年10 月1 日時点:427 施設)
(2) 特定機能病院(平成28 年9 月1 日時点:84 施設)
(3) 都道府県知事が指定するがん診療連携病院(がん診療連携指定病院、がん診療連携協力病院、がん診療連携推進病院など)
(4) 外来化学療法室を設置し、外来化学療法加算1 又は外来化学療法加算2 の施設基準に係る届出を行っている施設(平成27 年7 月1 日時点: 2538 施設)
(5) 抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準に係る届出を行っている施設(平成27 年7月1 日時点:1284 施設)

①-2 肺癌の化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師(下表のいずれかに該当する医師)が、当該診療科の本剤に関する治療の責任者として配置されていること。

・医師免許取得後2 年の初期研修を終了した後に5 年以上のがん治療の臨床研修を行っていること。うち、2 年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修を行なっていること。
・医師免許取得後2 年の初期研修を終了した後に4 年以上の臨床経験を有していること。うち、3 年以上は、肺癌のがん薬物療法を含む呼吸器病学の臨床研修を行っていること。

② 院内の医薬品情報管理の体制について
医薬品情報管理に従事する専任者が配置され、製薬企業からの情報窓口、有効性安全性等薬学的情報の管理及び医師等に対する情報提供、有害事象が発生した場合の報告業務、等が速やかに行われる体制が整っていること。

③ 副作用への対応について
③-1 副作用発現時の対応体制に関する要件
間質性肺疾患等の重篤な副作用が発生した際に、24 時間診療体制の下、当該施設又は連携施設において、発現した副作用に応じて入院管理及びCT 等の副作用の鑑別に必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応可能な体制が整っていること。

③-2 医療従事者による有害事象対応に関する要件
がん診療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者が副作用モニタリングを含めた苦痛のスクリーニングを行い主治医と情報を共有できるチーム医療体制が整備されていること。なお、整備体制について、がん患者とその家族に十分に周知されていること。

③-3 副作用の診断や対応に関して(オプジーボ)
副作用(間質性肺疾患に加え、重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症、大腸炎、重度の下痢、1 型糖尿病、肝機能障害、甲状腺機能障害、神経障害、腎障害(腎不全・尿細管間質性腎炎を含む)、副腎障害、脳炎、重度の皮膚障害、静脈血栓塞栓症、infusionreaction、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、過度の免疫反応、胚胎児毒性、心臓障害(心房細動・徐脈・心室性期外収縮等)、溶血性貧血等)に対して、当該施設又は近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し(副作用の診断や対応に関して指導及び支援を受けられる条件にあること)、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること。

③-3 副作用の診断や対応に関して(キイトルーダ)
副作用(間質性肺疾患に加え、大腸炎・重度の下痢、肝機能障害、腎機能障害(尿細管間質性腎炎等)、内分泌障害(下垂体機能障害、甲状腺機能障害、副腎機能障害)、1型糖尿病、ぶどう膜炎、筋炎・横紋筋融解症、膵炎、重度の皮膚障害(皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、類天疱瘡等)、infusion reaction、脳炎・髄膜炎、重症筋無力症、神経障害(ギラン・バレー症候群等)、心筋炎等)に対して、当該施設又は近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し(副作用の診断や対応に関して指導及び支援を受けられる条件にあること)、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること。

原文はコチラ(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
ニボルマブ遺伝子組換え)製剤及びペムブロリズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(非小細胞肺癌及び悪性黒色腫)について
https://www.pmda.go.jp/files/000216377.pdf
別添1: ニボルマブ(遺伝子組換え)~非小細胞肺癌~
https://www.pmda.go.jp/files/000216373.pdf
別添2: ニボルマブ(遺伝子組換え)~悪性黒色腫~
https://www.pmda.go.jp/files/000216374.pdf
別添3: ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)~非小細胞肺癌~
https://www.pmda.go.jp/files/000216375.pdf
別添4: ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)~悪性黒色腫~
https://www.pmda.go.jp/files/000216376.pdf

記事:可知 健太

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